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「アルミホイル」の裏表はどっち?何でできているの?実は種類も豊富なアルミホイルの基礎知識

オーブンやフライパンで食材を焼くとき、調理器具に食材がくっつくのを防いでくれるだけでなく、包み焼き料理や冷凍保存、おにぎりを包むのにも重宝するアルミホイル。いまや料理をするうえで欠かせない存在ですよね。

でも、ピカピカした光沢面とマットな面ではどう使い分けるのかや、食品用ラップフィルムとの違い、料理以外での使い道など、意外に知らないことも……。そこで全5回に分けてアルミホイルの徹底活用法を紹介していきます。

第1回目となる今回は、家庭用アルミホイルを日本で初めて発売し、現在は『サンホイル』を製造販売する東洋アルミエコープロダクツ株式会社 広報担当の和田美香さんに、アルミホイルの基礎知識を教えてもらいました。

表裏に違いはない!? アルミホイルの基礎知識

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そもそもアルミホイルって、何でできているの?

アルミホイルは、その名からもわかるように「アルミニウム」という金属の一種からできています。聞いたことがある人も多いでしょうが、一体どんな金属なのでしょうか?

「アルミニウムは、工業化されてから約130年という、鉄や銅に比べると歴史の浅い金属です。しかし、軽くて強く、錆びにくいうえ、リサイクルもしやすいなど、数々の特性を持っているため、急激に普及しました」(以下「」内、和田さん)

アルミニウムの原料は、ボーキサイトという赤茶色の鉱石で、1886(明治19)年~1887(明治20)年にかけて、アメリカ、フランス、オーストリアの研究者たちによる発明を経て、ボーキサイトからアルミニウムを製造する方法が発明されました。

「簡単にいうと、アルミニウムの原料であるボーキサイトでアルミナという白い粉を作り、そこに含まれている酸素とアルミニウムを分けたら、アルミニウムを溶かして型に入れ、固めます。その固まったアルミニウムの塊(スラブ)をローラーで圧延し、薄くのばしたものがアルミホイル(アルミ箔)です」

資料提供:東洋アルミエコープロダクツ

日本で家庭用アルミホイルが発売されたのはいつ?

1958年に発売された「クッキングホイル」 写真提供:東洋アルミエコープロダクツ

日本で初めて、家庭用のアルミホイルが販売されたのは1958(昭和33)年のこと。テレビ、冷蔵庫、洗濯機が“家電の三種の神器”などと呼ばれ、急激に普及した時代、欧米で主流だった家庭用のオーブンも発売され、オーブン調理のためにと、アルミホイルが発売されたといわれています。

「当時は『クッキングホイル』という名で発売されました。オーブンがもともと富裕層向けの調理器具だったため、『クッキングホイル』もハイグレードアイテムとして百貨店で売り出されました。30cm幅×5mで約50円もしたといいます」

1958年のサラリーマンの平均月給は1万6,608円(賃金構造基本統計調査より)でしたから、現在の価値でいうと約935円(編集部の計算による)。一般的なアルミホイルはいま、200円前後(25cm幅×14m)ですから、料理用の消耗品としてはなかなかのお値段だったんですね。

その後、1960年代にオーブントースターが発売されて普及すると、アルミホイルを使う人が増えたため、手ごろな価格となり、現在と同じ25cm幅の商品が主流になっていったといいます。

なぜ光沢面とそうでない面があるの?どう使い分けたらいい?

さて、アルミホイルには、ピカピカした光沢面と、そうではないマットな面がありますが、どちらが表でどちらが裏なのでしょうか。

資料提供:東洋アルミエコープロダクツ

実は、アルミホイルに表も裏もありません。アルミホイルは効率よく製造するために、薄いアルミ箔を2枚重ねにしてローラーとローラーで挟んでのばし、薄く仕上げていきます。そのとき、ローラーに当たっている面が光沢面となり、アルミニウム同士が重なっていた面は光らない面(マット面)となります。見た目が違うだけで材質も機能も全く変わりません。ですから使い分ける必要はありません

表裏があるアルミホイルもある⁉

一般的なアルミホイルには表裏がなく、使い分ける必要がありませんが、最近は特殊な加工をして機能性を加えたアルミホイルも数多く開発されており、それらは表と裏で使い分けないといけないので、注意が必要だと和田さんは言います。

「たとえば、片面にシリコーン加工をしたフライパン用アルミホイルは、加工が施された側に食材を置きます。

焼きいもや焼き野菜、包み焼きを作るのに適したアルミホイルは、片面に熱吸収効果を高める黒印刷加工を施しているため、黒い面を外側にして食材を包む必要があります。

また、片面に抗菌コートした吸湿紙を施した、おにぎりを包むためのアルミホイルは、吸湿紙側を内側にして、おにぎりをのせて使用します」

いまは、使用目的によってアルミホイルも多様化し、より便利になっています。機能性アルミホイルはどちらの面を表にするか裏にするか、パッケージやアルミホイル本体に記載されているので、きちんと読んで用法を守って使いましょう。

アルミホイルにはどんな特性があるの?

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耐熱性や熱伝導性など主に8つの特性が!

これまで紹介してきたアルミホイルの使い道といえば、おもに“料理”だけでしたが、実は掃除や防災など、日常生活のさまざまな場面で活用できるといいます。

「アルミホイルには多くのメリットがあるため、それらの特性さえ覚えておけば、使い方はかなり多いといえます」

ではどんな特性があるのでしょうか。主に以下の8つがあげられます。

・「保形性」作りあげた形状を保つ

・「遮光性」光(紫外線、赤外線等)を遮る

・「防湿性」水分の透過を防ぐ

・「耐油性」油分と接触しても変化を起こさず、透過を防ぐ

・「耐熱性」高温状態において、その物性を維持し続ける

・「熱伝導性」熱を早く伝える

・「遮蔽性」酸素や水蒸気、ガスなどの気体を通しにくい

・「電気伝導性」電気を通せる

「これらは、一般的な生活環境下で発揮する特性です。他にも、無味無臭、包んだものの香りを逃さない(保香性)、無害といった特性もあります」

8つの特性を生かしたさまざまな使い方は、3回目以降に詳しくご紹介します。

食品用ラップフィルムとの違いは?

アルミホイルと比較されがちな食品用ラップフィルムの主な特性は、素材によって多少異なりますが、透明で軽量、接着性、耐熱性、耐水性、防曇性などにすぐれている、といった点があげられます。

アルミホイルよりものばしやすく破れにくいというメリットもありますが、耐熱性は約150℃までと、アルミホイルの耐熱性約660℃に比べて低く、熱伝導性、電気伝導性などはありませんから、幅広く使えるのは、確かにアルミホイルといえるかもしれません。

そんなアルミホイルですが、使い方を誤ると火事など思わぬ事故に繋がることも……。次回は具体的な使い方と、使用の際に気をつけるべきことをご紹介します。

 

【取材協力】

東洋アルミエコープロダクツ株式会社

嶋田久美子
嶋田久美子

エディター/ライター。大学卒業後、出版社に勤務し、その後、フリーの記者として主に週刊誌の編集・執筆に携わる。歴史や美術をはじめ、マネー・車・健康・ペット・スピリチュアル・夫婦関係・シニアライフスタイルといった多岐にわたる女性向け実用情報を手掛ける。1児を持つシングルマザーで、趣味は漫画・アニメ鑑賞、神社巡り。

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