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料理家・山脇りこさん「きれいは美味しい!」野菜のとっておき話

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橙(だいだい)のにんじんとともに、ごろりと白皿に盛られた紫にんじん、黄にんじん、そして、みずみずしい葉の緑——。料理家・山脇りこさんの新刊『野菜のたのしみ —私の野菜料理133—』(小学館)の表紙は、野菜の力強さにあふれています。

そこに紹介されている料理もまた、目を奪われるものばかり。にんじんを2〜3等分に切って皮付きのまま“じっくり、じわじわ”蒸しただけなのに、実はにんじんがあまり好きではない筆者が思わず「なんて美味しそうなんだろう……」と呟いてしまうようなレシピの数々。

今回は、野菜をこんなにも美味しそうにあつらえる山脇さんに、野菜料理のコツを伺ってきました。

「いちばん美しい野菜を見ていただきたいと思い、 時間をかけてとっておきの“旬”を集めました」

野菜が美しく、そして美味しそうという印象を与える料理本。その感想を伝えると、「野菜って“きれいは美味しい”なんですよ」という言葉が山脇さんから返ってきました。

「“新鮮は美味しい”は言わずもがな、新しければ水分をたっぷり蓄えているから“重いは美味しい” でもあります。とにかくこの本では、ものすごくきれいな野菜を、いちばん美しく魅力的に撮って、皆さんに見て欲しかった。だから、旬ごとに、4回に分けて撮影しました」(以下「」内、山脇さん)

旬へのこだわりは強く、紹介したいケールが育つのを待ったり、れんこんを撮影するために、撮影の予定を早めたといいます。

「旬のものがやはり美しく美味しいので、そこはこだわりました。ケールは、京丹後市のSORA 農園さんの畑の写真を見て撮影日を合わせたり。

れんこんは、毎年12月〜2月に佐賀の『福富れんこん』を取り寄せていますが、初めて取り寄せした時、箱を開けた瞬間“おおっ……”と、ため息が出るくらい美しかったんです。包丁を入れると現れる純白、しゃきしゃき感、加熱した時のむっちりさに一目惚れでした。この鮮烈な白さをしっかり伝えたかったんです」

その感動たるや、「思わず花束をもらったようなときめき」と山脇さん。こだわりは、旬だけに及ばず、産地にもあるようです。

「西と東で全然違う野菜ってあるんですよ。例えば春菊は東のものだと根+茎+葉というイメージですが、西のものは根+葉といった感じでとても柔らかいんです。そのため春菊、小松菜は、生でも食べられる茎の柔らかい品種を求め、京都と大阪へ探しに行きました」

「美味しいものには必ず理由がある」それが知りたい

山脇さんの生家は長崎の観光旅館。幼稚園の頃から、調理場で出汁を引き、魚をさばく板前の姿を眺めるのが大好きだったそうです。新鮮で質の良い食材が常に身近にあったという環境もさることながら、その無類の好奇心と「美味しい」への探究心が、いまの料理家としての原動力になっているのではないでしょうか。

「美味しいものには必ず理由があります。だからその理由が知りたくなる。気に入ったものはどこでどう作られているかを見たい。それが楽しいんです。今、新しい野菜やこれまで日本に入ってなかった野菜がどんどん流通し始めていますが、私は旅先を含め、生まれて初めて見た野菜は必ず買っちゃいます」

旅行先などで新しい食材を見ると試したくなる気持ち……、キッチンに立つ人であればよく分かる反面、うまく食べられないことが多いかもしれません。

「買って、まずは生で食べてみて学習。そこから塩もみしたり、焼いたり。組み合わせると楽しそうなお友達の野菜を考えてみたり。またそれが楽しいんです。組み合わせは、五味(甘さ・酸っぱさ・辛さ・苦さ・しおからさ)を出来るだけ食材から取りたいので、この料理にもう少し酸味が欲しいと思ったらキウイとあわせてみたり、甘味を足したいとおもったらいちじくを足してみたり。調味料に置きかえて考えます」

「野菜も肉も魚もバランスよく食べてこそ!」

その例として挙げてくれたのがビーツ。

「単体で料理しても美味しいのですが、甘酢に刻んだ新生姜とビーツを漬けておくと、とってもきれいなピンクの生姜ができるんです。紅生姜を作ろうと思うと梅酢がなきゃだったり、結構大変ですけど、これなら一緒につけておくだけですから手軽でしょう? 私は、鶏のささ身をビーツと一緒にゆでて、ほんのりピンクのゆで鶏も作ったりもします(笑)」

そんな探究心旺盛な山脇さんの野菜料理は、どれも写真に鼻を近づけると香りがするんじゃないかと思うほどカラフルで生き生きとしています。

「でも、私は野菜だけで十分だと言うつもりはないんです。野菜も肉も魚もバランスよく美味しく食べてこその健康です。ただ、もう少し踏み込んで野菜に開眼してもらえたら……と、この本を作りました。たとえば、なんとなく腸の調子がよくないという日には、野菜をふやしてみるとか」

これからの季節のおすすめは、やっぱり根菜。

「これから美味しくなる季節なので、整腸作用のある野菜を増やしてみるとか。根菜は蒸すだけでも美味しいし、温かな蒸気が乾燥した空気を潤して一石二鳥です(笑)。あるいはれんこんご飯にして、かさ増しすれば、健康的なダイエットにもなります。無理なく、気軽に元気な野菜を楽しんでもらえたら嬉しいですね」

 

51歳とは思えない張りのある肌、愛する野菜を語る生き生きとした瞳。まさに「キレイなものを食べると元気になる」を体現している山脇さん。次回は、そんな山脇さんの実践的“野菜との暮らし方”をクローズアップします。

山脇さんの「蒸しにんじん」レシピ

材料(作りやすい分量)

  • にんじん(好みのもの) 適量
  • にんじんの葉      適量
  • ブルーチーズ・バター  各適量

作り方

(1)にんじんは長さによって、横に2〜3等分に切る。太いものは、縦半分に切る。

蒸し器に並べて中火にかけ、冷たいうちから蒸し始める。20分以上かけてじっくり蒸す。

蒸し上がる少し前ににんじんの葉を入れ、2〜3分蒸す。

(2)ブルーチーズ、バターを添える。

*にんじんは、紫にんじんや黄にんじんを使っていますが、1種類でも。皮は好みでむいても。

*塩、粒マスタード+はちみつなどもおすすめ。

写真(書籍より)/長谷川潤 撮影(山脇さん)/田中麻以(小学館)

 

【参考】

※ 山脇りこ(2017)『野菜のたのしみー私の野菜料理133-』(小学館)

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