暑中見舞い・残暑見舞いとは?
「暑中見舞い」は、体調を崩しがちな夏の暑い時期に、なかなか会えないや人やお世話になった人などの健康を気遣い、元気に過ごしてほしいという気持ちを伝える夏の挨拶状です。
今のように通信手段が発達していなかった頃から、近況報告などを伝える目的もあり数多くやり取りされてきました。
「夏のご挨拶(贈答品)」から変化
もともと、暑中見舞いは、お盆の里帰りの際に品物を持参して祖先の霊に捧げていた古来の風習から始まっています。それが江戸時代になると贈答の習慣に発展し、郵便制度が発達した明治にはさらに簡素化されて挨拶状を送るという形に定着したようです。
暑中見舞い・残暑見舞いを送る時期(2021年)
暑中見舞い・残暑見舞いをやり取りする期間は二十四節気をもとに決めます。日付は年により多少前後しますが、以下の日付は2021年のものです。
暑中見舞い
「暑中」とは「小暑(しょうしょ)」と「大暑(たいしょ)」を指しますから、その期間に送ります。
つまり、二十四節気でいう「小暑(7月7日)」~「立秋(8月7日)の前日」の期間です。立秋の前日(8月6日)までに届かないようであれば、残暑見舞いとして送ります。
残暑見舞い
立秋からは暦の上では秋。ですから、立秋以降は残暑見舞いに変わります。暑中見舞いの期間のあと、「立秋(8月7日)」~8月末頃を目安に送ります。遅くても「処暑の候」のうちに届くようにしましょう。
※処暑の候とは、「処暑(8月23日)」~「白露(9月7日)の前日」までを指します。
暑中見舞い・残暑見舞いの書き方
暑中見舞いと残暑見舞いの構成は基本的に5つの部分から成り立っています。
1: お見舞いの挨拶
はじめに「暑中(残暑)お見舞い申し上げます」や「暑中(残暑)お伺い申し上げます」など、挨拶の言葉を書きます。本文よりやや大きめの文字で書くことにより見栄えが良くなります。句点(。)は書く必要はありません。
2:時候の挨拶
時候の挨拶と、相手の健康を気遣う言葉を書きます。はがきを出す時期、相手が住んでいる土地柄や気候に合わせた表現を選びます。そのあとに、相手の健康を気遣う言葉を続けましょう。お世話になったことなどのお礼を伝える場合もここに入れます。
3:本文
自分の仕事やプライベートの近況報告。時候の挨拶に相手を気遣う言葉が入っていない場合には、ここに入れても良いでしょう。日頃の感謝やお詫びを伝えたい場合はここで入れます。
そのあとに、自分や家族の近況、夏の帰省についてなど自分らしいエピソードを書くとよいでしょう。夏休みの旅行先から家族や友人に向けて旅先の様子などを伝えるのも喜ばれます。
4:結びのあいさつ
相手の健康を気遣い、無事を祈る気持ちが伝わる言葉で最後を締めくくります。
5: 日付
具体的な日付は入れず、年数の下に、暑中見舞いの場合は「盛夏」、残暑見舞いの場合は「晩夏」「立秋」「葉月」などの言葉を書きます。
※暑中見舞いには「拝啓」「敬具」などの頭語や結語は不要です。
これらの点を踏まえ、以下で一般的な内容の暑中見舞い・残暑見舞いの文例をご紹介します。
暑中見舞いの文例(相手別)
【上司・恩師など目上の人へ】
暑い日が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
おかげさまで私どもは元気に過ごしております。
酷暑の折、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。
令和三年 盛夏
【友人へ】
暑い日が続きますがお元気ですか。
こちらはとても元気に過ごしています。
夏休みには会えるといいなと思っています。
予定が立ったらご連絡しますね。
これからが暑さは本番!くれぐれもご自愛ください。
令和三年 盛夏
【ビジネスの相手へ】
厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
日頃はひとかたならぬお引立てにあずかり、厚く御礼申し上げます。
酷暑の折、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。
令和三年 盛夏
残暑見舞いの文例
立秋を過ぎましても暑い日が続いております。
皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
お陰様で、わたくしどもは夏バテもせず
つつがなく暮らしております。
夏の暑さはまだまだ続きそうです。
どうぞお身体にはお気をつけて
健やかに過ごし下さいますようお祈り申し上げます。
令和三年 立秋
暑中見舞い・残暑見舞いをもらったら?
「暑中見舞い」「残暑見舞い」は、基本的に相手と交換するものです。暑中(残暑)見舞いをもらったら、自分からも送るようにします。特に、目上の人から先にもらった場合は、必ず返信しなくてはなりません。
返信の時期によって、「暑中見舞い」または「残暑見舞い」となるので、時期を必ず確認しましょう。
返信する際の書き方
暑中見舞い・残暑見舞いと基本は同じですが、「時候の挨拶」の代わりに、相手からもらった暑中見舞い、残暑見舞いへの感謝の言葉を書くのも良いでしょう。また、相手が知らせてくれた近況報告やメッセージに触れる文章も好ましく感じられます。
【挨拶文の例】
- お心のこもった暑中見舞いをいただき有り難うございました。
- 酷暑の候、皆様ご健勝のことと、心からお喜び申し上げます。
- お見舞状をいただき、大変恐縮しております。
- ご丁寧なお見舞い状を頂戴し、厚くお礼を申し上げます。
- 皆様のお元気なご様子を伺い、嬉しく存じます。
返信が8月末に間に合わなかったとき
返信が残暑見舞いの期間にも間に合わなかった場合は、冒頭の「お見舞い」の挨拶は書かないで、一般的なはがき文にします。
秋の気配が感じられる時期になるので、「秋晴れの候」「秋冷の候」といった季節の挨拶からはじめ、必ずもらった残暑見舞いに対してのお礼を書きます。
【残暑見舞いの期間を過ぎての返信例】
このたびはご丁寧な残暑お見舞いをいただきまして
誠にありがとうございました。
私どもは八月の休暇を糧に元気に過ごしております。
九月とはいえ暑さは一向に衰えそうにございません。
くれぐれもご自愛下さるようお祈りいたします。敬具
自分や相手が喪中の場合の暑中見舞い・残暑見舞い
暑中見舞い・残暑見舞いは、「お見舞」なので、喪中でも出して良いと考えられています。とはいえ、はがきは派手な色や図柄を避け、文面にも気遣いを。また、出すのは四十九日以後になるようにするなどの配慮も必要です。
去年に続いて今年も、久しぶりの人々と顔を合わせての近況報告は難しい状況です。そんな時こそ、気遣いにあふれた季節の便りは送る側にも受け取る側にも温かい気持ちをもたらしてくれるに違いありません。
夏らしく美しい図柄付きの暑中見舞いはがきや、期間限定の切手などもたくさん販売されています。楽しく選んで、書き、送るという豊かな時間をぜひ過ごしてみてください。
今まで年賀状くらいしか書いたことがないという方も、ぜひこの夏は暑中見舞いや残暑見舞いのはがきを送ってみてはいかがでしょうか。