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「8時10分前集合」は8時8分のこと?それとも7時50分のこと?世代間で違う言葉のズレ

「8時10分前に集合ね!」と言われたら、みなさんは何時に集合しますか? 筆者(40代)は、7時50分のことだと認識し、7時50分に集合すると思います。「8時10分前」とは「8時の10分前」と捉えているからです。

しかし、令和の若者たちは「8時10分前」は、「8時8分」もしくは「8時9分」といった「8時10分の前」だと捉えているそう。驚きです。このように「当然」と思っていた言葉に思わぬズレがあることを知っていましたか!?

今回は、令和になって変わった!? 言葉のズレを調査していきたいと思います。

言葉も時代によって通じ方が変わる?

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20〜60代の男女333人に『「8時10分前に待ち合わせ」と言われたら、あなたは何時に待ち合わせだと理解しますか?』というアンケートをとってみました。

7時50分……83.2%

8時10分……16.8%

大半の方が「8時の10分前」という認識でしたが、一部「8時10分の前」と認識している方がいました。この「前」が何に対してかかっている言葉なのかはSNSでもかなり論争になっていたようです。

「8時前」なら「7時59分とわかる」この理論でいくと「8時10分前」は、「8時8分」で間違いないのではないかという意見を見つけました。

筆者(40代)の「8時10分前」は、数学的に「8時から10分引いた時間=7時50分」という感覚です。でも最近では「8時を基準にして → そこから10分後に近づく手前」と解釈。そうなると8時9分を思い浮かべてしまう。つまり「前」を「手前」と考えるか、「差し引く」と考えるかの違いがあるということのようです。

また、今はスマホやデジタル時計が主流で「7時50分」「8時10分」とハッキリ数字で見ることが多い。そのせいで時間を感覚で理解するよりも「文字通りの直訳」で捉えてしまうことが多いからではないかという意見も見受けられました。「前」を“before”ではなく“just before”という風に捉えているのかもしれないですね。

「7時50分」とハッキリ伝えれば、誰も間違わないところ「8時10分前」という遠回しな伝え方で余白を残すのは、なんとなく日本人らしいとも思ってしまいました。

40代の筆者は「8時10分前」は7時50分だと思いました。

続いて『「100g弱」と言われたら、あなたはどう理解しますか?』の質問結果です。

100g未満……79.9%

100gと少し……20.1%

国語辞典的にいうと

「100g弱」=100gより少し少ない → 95〜99gくらい
「100g強」=100gより少し多い → 101〜105gくらい

のことを指します。でも実際には「弱=おおよそ」「強=だいたい」ぐらいに思っている人もいて、100g弱を「100gちょっと」と誤解するケースもあるそうです。

同じように「1時間弱」は、1時間に満たない時間、つまり55分〜59分ぐらいのことを指すと思いますが、「1時間弱=だいたい1時間」くらいのニュアンスで使うこともあるため、誤解が生まれやすい言葉です。「弱」は「弱い」や「少ない」というのが本来の意味ですが、ニュアンス的に「だいたい」や「おおよそ」とも読み取れるので、解釈のズレがあるのかもしれません。

333人中、20代が13人(約3.9%)、30代が33人(約9.9%)だったので、少数派が若者世代の答えかな?と思ったのですが、意外と50代、60代の方でも「8時10分」、「100gと少し」と答えた方がいました。

言葉のズレは世代ギャップがかなり大きな理由になると思いますが、社会環境やコミュニケーション文化の変化とも密接に関わっているのかもしれませんね。

「100g弱」は100gには満たないのです。

間違いでも正しいでもない。お互いを理解することが大事

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今回の質問について「どちらかが正しい」はないと思います。国語辞典的にいえば、従来の使い方が合っていますが、言葉はその時代の文化や価値観に影響されるものなので、その使い方はどんどん変わっていきます。世代を超えて完全に統一するのは難しい問題でもありますよね。とくに今は世代で「情報源」が明らかに違うため、よりニュアンスの違いは出てくるのではないかと思います。

若い世代も筆者世代も「言葉の意味は文脈や相手によって変わるもの」と考えることが大事なのではないでしょうか。伝わりにくいのであれば「8時10分前」にこだわらず、「7:50集合」 と明確にする。「100g弱」ではなく 「95〜99gくらい」 と具体的に示す。誤解を生まない言葉で伝えることは、難しいことではありません。 言葉の感覚のズレを数字で補えば、ほぼ誤解はなくなりますし、お互いが気持ちよく理解ができます。

世代間の感覚の違いを理解して、「若い人はこう受け取るかも」逆に「年配の人はこう受け取るかも」と心の準備をするのもいいかもしれません。とくに筆者(40代)は狭間世代。どちらの世代とも関わることが多いので、柔軟に対応していきたいものです。

子どもの教育はどうする?

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筆者には5歳になる子どもがいます。子どもの教育としては、どちらの言葉で説明するのがいいのかなとも考えました。

国語辞典的に「弱=少ない、前=手前」という正しい意味を伝えつつ、人によって違う受け取り方をすることもあるから、数字や具体的な言い方をするともっと確実であるとも伝えることも大事そう。

「昔の正しさ」だけではなく「基準となる正しい言葉の意味」と「現在の使われ方」の両方をセットで教えることで、ひとつの言葉をとっても「多様なんだ」と理解できるのかもしれないな?と思いました。

しかし、40代の筆者には、まだまだ理解できない「今の言葉」があると思うので、まずはそこを学ぶところから始めないと、子どもへ正しい教育はできないかもしれません。

ライターとして言葉と日々向き合っていても、環境によるニュアンスの違いまで網羅するのは非常に難しいですね!

中山夏美
中山夏美

山形県出身在住。一児の母。出産を機に2020年に東京からUターン。アウトドアとエンタメを得意とするライター。雑誌やWEBメディアに携わる。

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