もっと貯金すればよかった
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「家を建てるまではコツコツ貯金していたが、購入したら一気に節約ムードがはじけて無駄遣いをしてしまった。油断せずもっと老後のための資金を積み立てておいたほうがよかったと感じています」(66歳女性/主婦)
「定年退職後は年金で悠々自適に暮らすつもりだったが、年金だけでは足りない。現役で働く期間を延ばして貯金を増やすべきだった」(70歳男性/その他)
「老後にもお金は必要。とにかくお金がないと生活、医療、介護にとても費用が掛かる」(63歳女性/主婦)
「つましい生活をしてきたつもりだが、それでも今の物価高に対応できるかどうかわからない。これから老後を迎える方はよっぽど先を見通す能力を高めたほうがいいですよ」(72歳男性/その他)
今回のアンケートでまず多かったのは、「もっと貯金しておけばよかった」と後悔する声。仕事をリタイアして年金以外に収入のあてがない状態では、日々の生活がままならないと感じている人も。しかも高齢になると介護や医療などで想定外の費用がかさむこともあります。お金は豊かに生きるための手段であって目的ではありませんが、「お金はいくらあっても邪魔にならない」「お金は万が一のときの強い味方」など、リアルな意見が続出しました。
もっと好きなことにお金や時間を使っておけばよかった
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「老後のために節約したが、楽しいことにもう少しお金を使ってもよかった。節制した生活ばかりしていると、気持ちに余裕がないしストレスがたまる」(64歳男性/総務・人事・事務)
「旅行は老後の楽しみにと節約していたが、加齢とともに長時間飛行機に乗るのが苦痛になり、70歳以降、海外旅行に行っていない。定年前の10年間でもう少し海外旅行に行くべきだったと後悔している」(78歳男性/その他)
「忙しくて、好きな映画や芝居を観るのを我慢してしまったのを後悔」(66歳男性/その他)
「老後は体力の落ち方が予想以上に激しかったです。スキーが大好きですが、体力のあるうちにもっともっと楽しんでおけばよかったと後悔しています」(74歳男性/コンピュータ関連技術職)
さきほどまでの流れと矛盾するようですが、もっと自分の好きなことにお金や時間をかけていればよかったとの声も。“老後のお楽しみ”をとっておくと、いざそのときを迎えた頃には体力・気力の問題で満喫できない……というのはなんとも皮肉な話です。
特に、今回のアンケートで多かったのは、旅行。もちろん、散財するわけにはいきませんが、老後に後悔しないためには、ひたすらストイックに節約に励むのではなく、家計をやりくりするなかで遊びの枠も設けるのが賢明かもしれません。
健康に気を配るべきだった
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「老後は食べ歩きしようと思っていたが、不摂生が祟り検診で悪い数値がでてしまい食事制限をする羽目に」(63歳女性/総務・人事・事務)
「食費をケチらなければよかった。健康のためにはある程度の金額の物を食べたほうがよい」(62歳女性/その他)
「せっかく妻との楽しい老後計画を立て順調に進んでいたが、妻がすい臓がんになり先立たれてしまった。計画的に健康診断を行うことをお勧めします」(79歳男性/その他)
「運動をしていなかったので今になって身体の硬さに後悔している」(68歳男性/金融関係)
健康は何物にもかえがたい財産。若い頃にヘルスケアを怠ったことを後悔する声もささやかれています。
もちろん、加齢にともないあちこちにガタがくるのは避けられませんが、それでも、運動や食事でコンディションを整えたり、検診で病気の早期発見・治療に努めたりしていれば……。トラブルが発覚してから慌てて対処するのではなく、若いうちから心身のメンテナンスにお金も労力も惜しまないようにしたいところです。
自宅は持ち家/賃貸にすべきだった
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「若いうちに家を建てました。これで老後は安泰かと思いきや、超大型台風で屋根も外壁も破損し、修繕費用で500万円かかりました。家の維持費は物凄くかかるので、賃貸住宅に住んでいるほうがいいと思います」(61歳男性/営業・販売)
「早合点して、今の古いマンションを購入してしまった。資産価値が当初よりも大幅に値下がりしてしまった」(63歳男性/その他)
「戸建てを買ってしまったこと。歳を取ってくると維持管理や庭の手入れが大変」(66歳男性/総務・人事・事務)
「賃貸マンションに住んでいるがこの先支払えるか不安。買っておけばよかったかも」(61歳男性/会社経営・役員)
「家を買っておけばよかった。高齢者になると賃貸を探すのが難しい」(68歳女性/その他)
持ち家と賃貸のどちらがお得かというのは、どうやら高齢になってからも決着がつかない問題のもよう。持ち家は維持管理に費用も手間もかかり賃貸のほうが気楽といえば気楽ですが、かといって、賃貸はいつまで住み続けられるかという保証もなく……。いずれにせよ高齢になるほど、体力的にも経済的にも引っ越しのハードルは上がる一方ですので、なるべく若いうちから「終の棲家」をどうするのかについても、しっかり計画を練ったり家族で話し合ったりする必要はありそうですね。
その他、こんな後悔も…
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「車を買ったことは後悔しています。不要です。公共交通機関を使いましょう」(66歳男性/総務・人事・事務)
「あれこれ買い込んで物を増やしてしまったこと。もったいないと処分できずに、色々な物があふれている。あまり物を持たずにいた方がいいと思う」(60歳女性/主婦)
「最近亡くなった数人の友達に関して、もっともっと深い付き合いをしていれば良かった」(61歳男性/営業・販売)
買い物に関する後悔、人間関係にまつわる後悔……経験者の実感のこもった声に何かと考えさせられますね。
人生に後悔はつきもの。どんな選択肢をとったとしても「あのときこうしておけば……」という、じくじたる思いからはきっと逃れられないことでしょう。それでも、少しでも満足度の高い老後を迎えるべく、今回ご紹介したコメントもぜひご参考にしてみてはいかがでしょうか。

成人までの人生を受験勉強にささげた結果、東京大学文学部卒業。その後なぜか弁護士になりたくて司法試験に挑戦するも、合格に至らないまま撤退。紆余曲折の末、2010年よりフリーライターの看板を掲げています。