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大泉洋「挫折に支えられた僕」が子どもに言えること…映画「探偵はBARにいる3」インタビュー

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こんにちは。映画ライターの此花さくやです。【月イチ映画のススメ】、今回は12月1日公開の『探偵はBARにいる3』です。日本アカデミー賞を始め、映画賞を総ナメにした大ヒット映画『探偵はBARにいる』(2011年&2013年)シリーズ。探偵役の大泉洋と相棒・高田役の松田龍平、ススキノの住人達に加え、新たなヒロインに北川景子、最凶の敵にリリー・フランキーを迎えています。ギリギリのアクションシーン、少しずつ狂い出す探偵と高田の関係、切ない過去を背負ったヒロイン、とてつもなくサディスティックな強敵……。
主演の大泉洋さんへのインタビューと共に、作品の魅力をご紹介しましょう。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

『探偵はBARにいる3』あらすじ

舞台は、妖しいネオンが瞬く、アジア最北の歓楽街=札幌・ススキノ。そんな街を愛する自称「ススキノのプライベートアイ」である探偵(大泉洋)のもとに舞い込んだ依頼は、突然失踪した麗子(前田敦子)を探すこと。暇を持て余していた探偵は軽い気持ちで依頼を受け、麗子が実はモデル事務所を装った風俗店でアルバイトをしていたことを知る。

そして、その店のオーナーである美女、マリ(北川景子)と知り合う探偵。どこかでマリを見たことがあると思う探偵だが、なかなか思い出せずにいるうちに、探偵と高田(松田龍平)は謎の青年、波留(志尊淳)にボコボコにされ、事態は悪化していくばかり。麗子はどこに消えたのか、そもそもマリは何者なのか……?

幅広い年齢の方にシリーズならではの醍醐味を!

―『探偵はBARにいる』パート1や2とは違う、3の魅力はどこでしょう?

大泉:シリーズ3作目は過剰なラブシーンや激しく流血するシーンもなく、いわゆるPGやR(映倫管理委員会が定めた映画観覧年齢制限)がつけられていないので、お子様から年配の方まで、幅広い年齢の方が楽しめる作品になっています。

2作目は派手なアクションが多くエンターテイメント性が強い作品でしたが、今回はアクションシーンも充実しながらも、もう少し1作目に寄せた、しっとりとした大人なストーリーに仕上がっていると思います。

探偵が語る言葉にも、自然と年月が感じられるものになっていて、シリーズ作品ならではの醍醐味が出ているんじゃないかな。

大泉流「原作あり作品」での役作りとは?

―本シリーズは東直己さんの『ススキノ探偵シリーズ』が原作ですが、原作の“探偵”のイメージは気にしましたか?

大泉:原作の“探偵”のイメージは気にしないようにしました。原作をなぞるのはあんまりよろしくないんじゃないか、と実は思っています。自分の外見を原作に寄せられるときは寄せる。しかし、原作をなぞってしまうと原作を超えられない。「原作と全然違うものにする」というくらいの意気込みで演じたほうが、原作と並ぶおもしろい映画が出来上がる気が僕はするんです。

探偵&高田=ルパン三世&仲間の“バディ“関係!?

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

―“探偵”のキャラクターは、レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットの探偵小説に、松田優作さん主演の人気テレビドラマ『探偵物語』やルパン三世の要素が入っているような印象を受けました。

大泉:シリーズ1作目は作品自体にルパン三世の雰囲気があったかもしれませんね。『カリオストロの城』とかが僕も大好きですから。ルパン三世と仲間の“バディ”関係が、本シリーズの探偵と高田の関係と共通すると思いますね。

あとは、高田(松田龍平さん演じる探偵の相棒役)の車が『カリオストロの城』の車にも似ていますよね!(笑) それに、セリフ回しがいわゆるハードボイルド。普段ならあんなキザな言葉を言うことはないですよね(笑)。最近の映画ではあんまり見ない、『探偵はBARにいる』独自の世界観を皆さんにも楽しんでいただければ嬉しいです。

「パンツ一丁」は台本になかった

―毎作“探偵の拷問シーン”がありますが、今回は雪のなか、パンツ一丁で船に磔(はりつけ)になりましたね。

大泉:最悪でしたよ(笑)。冬の小樽の海風は本当に寒くて……。実はね、台本には実は“パンツ一丁”なんて書いてなかったんですよ。しかし、吉田照幸監督が「ガウンにパンツ一丁のほうが絵的におもしろい」とこだわっていて、「じゃあ、おもしろいなら、ガウンも脱いでパンツ一丁でやりましょう!」ってつい言っちゃったんですよね。毎回、探偵の拷問が見せ場なんて困っちゃうんですけど(笑)。パート4ではあっさりやめてやろうかな(笑)。

「大きな挫折がいまの自分を支えている」

ー本作では、探偵がマリの人生を変えるような心に響く言葉をかけています。同じように、大泉さんが書いたエッセイ『大泉エッセイ 僕が綴った16年』(角川文庫)のなかにも素敵な文章がたくさんあるのですが、いま、ご自身のご家族やお子さんに伝えたいような言葉はありますか?

大泉:「とにかく、腐ったら終わりだよね。前向きになるしかない」ということかな。どんなに大変なことが起きても後ろ向きになったらお終いだと思っています。「なにがあっても自分の経験に必要なことなんだ」と思って前向きに生きることを子どもには伝えたい。僕にとっては、大学を2年浪人したという大きな挫折が、いまの自分を支えていますから。

なんて言っても、僕だって本当はめちゃくちゃ暗いし、落ち込むときもあって……朝、車に乗った瞬間から夢も希望もないわっていう人だから(笑)。ただ、なにかのきっかけで前に向くしかないですよね。あとは、やりたいことを見つけたら頑張って行ける。どんな辛い経験も無駄にならないと思っています。

 

アクションやコミカルなシーンが満載ながらも、人間のもつ悲哀や哀愁が繊細に描かれており、小学校高学年なら十分理解できる映画『探偵はBARにいる3』。先が読めぬ展開にドキドキしながらも、最後にほろっと涙して感動する一級の作品に仕上がっています。家族でご覧になるのもおすすめですよ。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

【作品情報】

『探偵はBARにいる3』

2017年12月1日公開

原作:東 直己 「ススキノ探偵」シリーズ(ハヤカワ文庫)

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

■公式サイト

http://www.tantei-bar.com/

撮影/横田紋子(小学館)

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