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ミネラルたっぷり!「あさり」の美容や健康にいい栄養情報を解説します

【管理栄養士監修】貝類の中で最も身近なもののひとつ、あさり。貝類には、魚とはまた違った、体にうれしい栄養がたっぷり含まれています。あさりの栄養情報に加え、あさりの砂出しの方法や保存方法などについても解説します。

旬は?栄養は?あさりの基礎知識

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あさりの旬の時期

あさりは、愛知県、北海道、福岡県、静岡県など日本各地の干潟に生息しており、古くから身近な食材として親しまれてきました。

しかし、さまざまな原因によって国内の流通量に占める輸入あさりの割合は増加する傾向にあり、令和2年には国内流通量の約9割となっています。

あさりは一年を通して手に入れることができますが、本来の旬の時期は春と秋の2回。この時期のあさりはふっくらとしていて身が詰まり、特においしいといわれています。

あさり100gあたりに含まれる主な栄養素

・エネルギー:27kcal
・たんぱく質:6.0g
・脂質:0.3g
・ビタミンB1:0.02mg
・ビタミンB2:0.16mg
・ビタミンB6:0.04mg
・ビタミンB12:52.0μg
・パントテン酸:0.39mg
・カルシウム:66mg
・カリウム:140mg
・鉄:3.8mg
・亜鉛:1.0mg

それぞれの栄養素の働きをみていきましょう。

ビタミンB群

ビタミンB群は、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝に関わるビタミンとして知られています。水溶性ビタミンであるため、余分なものは尿として排泄され、体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられていますが、不足すると疲労感や炎症をはじめとして様々な症状があらわれます。

あさりに多く含まれているビタミンB12は、赤血球の合成を助ける、神経の働きを正常に保つ、などの役割をしています。

体の成長・免疫力・美肌にも欠かせない亜鉛

アミノ酸からのたんぱく質の合成、DNAの合成などに関わるため、新しい細胞の成長と分化に必須とされるミネラルです。特に成長期の赤ちゃんや子どもには不足することのないよう摂取したいですね。

また、活性酸素を除去する酵素の構成成分でもあるほか、味覚機能や免疫反応にも関与していて、不足すると味覚障害や皮膚炎などが起こることが知られています。

貧血予防に!あさりで鉄分補給

体内に存在している鉄の70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに、残りの30%は、肝臓や骨髄・筋肉などに存在し、これらが不足すると貧血を起こしてしまいます。

肉や魚に含まれるヘム鉄は、野菜などに含まれる非ヘム鉄よりも吸収がよいのが特徴。非ヘム鉄の吸収をアップさせるには、同時にヘム鉄を利用することや、動物性たんぱく質・ビタミンCを一緒に摂ることが挙げられます。

骨の健康に役立つカルシウム

神経の刺激の伝達や筋肉の収縮に必要不可欠なミネラルです。カルシウムは99%が骨や歯に貯蔵されており、ホルモンの作用により血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。

不足すると骨が十分に成長できませんが、逆にサプリメントなどによる過剰摂取は、マグネシウムやリンなどの吸収が妨げられてしまうというリスクがあるため注意が必要です。

あさりに期待できる効果効能は?

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和食でも洋食でも!

タウリンやミネラルの力で健康力を上げる!

あさりがもつ、健康維持に関して期待できる効果はどんなものがあるでしょうか。まず特に注目したいのは、タウリンを多く含んでいるということです。

タウリンの働きは、消化管内でコレステロールの吸収を抑える、心・肝機能の向上、視力の回復、インスリンの分泌促進、高血圧予防といったさまざまなものが報告されており、健康の維持に欠かせないと考えられている成分です。

また、ヘモグロビン合成赤血球の合成を助けるビタミンB12、鉄などのミネラル分も豊富なため、肝機能の強化や貧血予防にも有効であるといわれています。

あさりは、多くの魚に比べると、脂質、エネルギー量は低くなっているので、エネルギーや脂質が気になる人の食事にぜひ取り入れたいですね。

美容面でもうれしい効果が

あさりには、新しい細胞の成長と分化に必須とされる亜鉛が豊富に含まれており、肌や髪などを健康に保つ働きがあるとされています。

そのほか、余分な水分を排泄する働きをもつカリウムも含んでいるため、むくみ防止にも。

ヘモグロビンの生成に関わる鉄や造血作用のあるビタミンB12を豊富に含むことから、無理なダイエットによって陥りやすい貧血予防に最適です。

うま味成分であるコハク酸を多く含むあさり。このうま味を利用すれば調味料の使用量を控えめにしても料理の満足感が高くなります。塩分やドレッシングの脂質などのとり過ぎを防ぐことができますね。

あさりの上手な砂抜き・保存方法

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店頭に販売されているあさりは砂抜きされているものが多いですが、中には砂抜きされていないものも。砂抜きはコツをおさえれば簡単です。

まずは、ボウルとザル、またはバットとあみのセットを用意します。海水と同程度の3〜4%の塩水を作り、あさりを入れたら、新聞紙などで覆って暗くしておくだけでOK。

基本的には常温に1-2時間おいておけば砂抜きができます(潮干狩りでとったあさりは3時間から半日。長時間になる場合、夏場は冷蔵庫に入れておくこと)。

このとき、あさりが酸欠にならないように、ひたひたの水につけることと、あさりの下にザルやあみを置き、一度吐いた砂を再度吸わないようにしておくことがポイントです。

砂抜き後、さらに30分ほどざるにあげておくと、余分な塩水を吐き出します。新聞紙をかぶせておくと塩水が飛び散りにくくなります。

砂抜きののち、あさり同士をやさしくこすり合わせるようによく洗って下処理完了です。

すぐ食べるときは冷蔵保存それ以上なら冷凍保存

砂抜きは暑い時期は冷蔵庫で行うと安心ですが、寒い環境では砂を吐きにくくなるので、長時間冷やしすぎないようにします。時々冷蔵庫から出すなどして水温を調整するのがポイントです。

砂抜きが終わったら冷蔵庫で1-2日保存できますが、それ以上おいておく場合は冷凍保存がおすすめ。

砂抜きしてよく洗ったあと、水気をしっかりとふき取ってから冷凍用の保存袋へ入れて冷凍庫で保存しましょう。まとめて砂抜きし、1回に使用する分ずつ冷凍しておくと便利です。

自然解凍をすると口が開かなくなるため、必ず凍ったまま加熱調理してください。

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「旬を味わう魚の事典」 坂本一男監修 ナツメ社
・「からだによく効く旬の食材 魚の本」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/棚橋伸子 監修 X-Knowledge
・「食材図典Ⅲ」小学館
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」鉄
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」タウリン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html
・海と魚がもっと好きになるウェブマガジン umito.® あさり
https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article35/
・「アサリをめぐる情勢」水産庁
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/other/attach/pdf/asari-1.pdf

(最終参照日2022/6/27)

大槻 万須美
大槻 万須美

管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。大学卒業後、食品メーカー勤務を経て管理栄養士の道に進む。
食の大切さを伝えるため、コーチングを取り入れたバレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、親子クッキングや離乳食講座などの料理教室、レシピ・コラムの提供、栄養講座、研究機関協力など幅広く活動。
現場の生の声から多くを学びながら、おとなと子どもの食育サポートに力を注いでいる。

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