「ゆば」の仲間は意外と種類が多い
nullこんにちは。栄養士の道添明子です。料理家「あーぴん」として、時短簡単・おいしい・お洒落な、“みんなが笑顔になれる幸せごはん”の料理教室を主宰、簡単レシピを毎日SNSで発信しています。
今回は、精進料理の材料にも欠かせない「ゆば」について学びます。
大豆の栄養を集めた「ゆば」
ゆばは、日本には平安時代に中国から僧侶が持ち帰ってから広まったと言われています。肉食ができない僧侶の貴重な栄養源として重宝されてきました。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/80436395-FD06-44CE-A4B4-AA9F47050F45-1440x1127.jpeg)
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/B510A76C-9999-478D-B944-A15A762FCA83-1440x1080.jpeg)
ゆばは大豆製品のひとつで、濃い豆乳を加熱し、たんぱく質と脂質が固まって表面にできた薄い膜を竹串や棒でシート状にすくい上げたものです。これが「生ゆば」で、この生湯葉を乾燥させたものが「干しゆば」です。生ゆばは日持ちしないので、乾燥させることで長期保存を可能にしていました。
湯葉と湯波
ゆばの産地としては京都と日光が有名です。おもに京都では「湯葉」、日光では「湯波」と表記されています。
京都は豆乳に串を入れ、薄く1枚になるよう引きあげますが、日光では膜の中央に串を入れて二つ折りになるように引きあげます。これが2枚重ねになり波のように見えるので「湯波」と呼ぶという説があります。
形状も様々な乾燥ゆば
半乾燥の時に巻いたり(巻きゆば)、結んだり(結びゆば)、シート状に干したり(板ゆば)と、仕上げ方によりいくつかの種類があります。
生ゆばもやわらかさなどで各種
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/5EAD8464-768C-415A-A72C-0DDB65510D90-1440x1080.jpeg)
生ゆばは、豆乳を加熱して固まる寸前のとろりとした状態のものを汲み上げて作る汲み上げゆばやとろゆばと、これを少し固めて食べやすくした刺身ゆばがあります。
メーカーや商品によって食感や風味も様々。ぜひ食べ比べてお気に入りを探してみてください。
ゆばには大豆の栄養が詰まってます!
nullゆば(生)100gあたりに含まれる主な栄養素
・エネルギー:218kcal
・たんぱく質:21.8g
・脂質:13.7g
・カルシウム:90mg
・鉄:3.6mg
・亜鉛:2.2mg
干しゆば(乾燥)100gあたりに含まれる主な栄養素
・エネルギ−:485kcal
・たんぱく質:50.4g
・脂質:32.1g
・カルシウム:210mg
・鉄:8.3mg
・亜鉛:4.9mg
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ゆばは大豆の栄養をぎゅっと集めた食品と言えます。同じ大豆製品の豆腐と比べても、良質な植物性たんぱく質が豊富ですが、脂質も多いので食べ過ぎには注意が必要です。
そのほかにも、骨や歯を作るのに欠かせず、骨粗しょう症の予防にもなるカルシウムも豊富です。貧血予防に役立つ鉄、味覚を正常に保つのにも必要とされる亜鉛、女性ホルモンに似た働きをもつとされる大豆イソフラボン、動脈硬化の予防や抗酸化作用があるといわれる大豆サポニンも含まれています。
干しゆばの扱い方
null■戻して使う
平ゆばなどの乾燥ゆばは戻して、巻きものにしたり、包んで煮たり、揚げたりします。戻し時間はかからず、水に浸してからすぐに使えます。
■そのまま汁物などに
平ゆばを崩したフレーク状のゆばや、小さく刻んだゆばなどが販売されています。それらはそのままお吸い物などに入れて使えます。また、巻きゆばや平ゆばなどは、鍋料理の具材として戻すことなくポンと入れるだけでOKです。
海苔の代わりにゆば使用!カリフォルニアロール
null![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/5C82BA34-FAA7-41AE-B644-6A7FA99086A2-1440x1080.jpeg)
海苔の代わりに平ゆばを使い、カリフォルニアロールを作りました。普通は海苔を裏巻きし、ごまなどをまぶして作りますが、ゆばで巻くと食べやすく、栄養も豊富です。具材はお好みでアボカド、ツナなどアレンジしてください。
ゆばは破れ防止で2枚組で巻いています。出汁に浸して下味を付けているので、お醤油をつけずにそのまま食べられます。お弁当にも、おもてなし料理にもなります。ひとつずつつまみやすいのでパーティーや敬老の日などのお祝いにも最適ですよ。
【材料】(中巻き寿司3本分、直径5cmの寿司12個分)
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/E6BFEBA2-FCDA-4FA3-B765-7AF6290A767E-1440x1080.jpeg)
・ご飯 400g
・すし酢 大さじ2
・平ゆば 6枚(1枚6g)
・カニかまぼこ 100g
・きゅうり 1/2本
・大葉 6枚
・マヨネーズ 大さじ1〜2
・白いりごま 適量
・わさび 適量(お好みで)
・水 100ml
・めんつゆ(3倍濃縮)大さじ1
【作り方】
■下準備
・ご飯とすし酢を合わせてすし飯を作る。
・きゅうりはせん切りにする。
・大葉は洗って水気を拭いておく。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/C4E70AA4-0D13-4C52-A972-D566BEC0B3C4-1440x1081.jpeg)
(1)平ゆばを戻す。バットなどに水、めんつゆを入れて、ふんわりラップをし、600Wの電子レンジで1分加熱し、平ゆばを浸す。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/0B4EC174-51C7-445D-BA9D-F977D8ABF23F-1440x1080.jpeg)
(2)巻きすにラップを敷いて、水気を切ったゆば2枚を縦に置く。すし飯を1/3量のせて広げ、白いりごまをふり、大葉、カニかまぼこ、きゅうりをそれぞれ1/3量ずつのせ、マヨネーズをしぼり、端から巻いていく。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/79BF014F-7894-4B22-92AB-BAD9B3F1161C-1440x1079.jpeg)
(3)ラップの上から3等分または4等分に切り、器に切り口を上にして盛り付ける。お好みでわさびを添える。ラップの上から切ると崩れにくくきれいに切れます。
レンジ2分で料亭の味!ゆばときのこの出汁びたし
null![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/CA307167-69F1-4C11-A4CE-6E7199BD7702-1440x1080.jpeg)
調味料はめんつゆとみりんだけ。材料を合わせてレンジ加熱するだけで完成する簡単な副菜です。きのこはしめじとえのきだけを使いましたが、お好みのきのこで大丈夫です。何種類か合わせて使うと相乗効果でおいしくなります。
乾燥ゆばを使いましたが、生ゆばでも作れます。その場合には水の量を少し控えてください。
【材料】(2人分)
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/EB1E82D4-1B75-4363-BF18-01AB21E01965-1440x1080.jpeg)
・乾燥ゆば 20g
・しめじ 1パック(100g)
・えのきだけ 1/2袋(80g)
・三つ葉 1/3束(20g)
<調味料>
・水 1/2カップ
・めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1.5
・みりん 大さじ1.5
【作り方】
■下準備
・しめじは石づきを取り、小房に分けておく。
・えのきだけは根元を切り落とし、3cm長さに切る。
・三つ葉は3cm長さに切る。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/273BD911-8FD2-497D-B7C2-ECBFA44E7071-1440x1080.jpeg)
(1)しめじ、えのきだけの順に入れ、蓋またはラップをして<調味料>を加えて600Wの電子レンジで1分加熱する。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/603AA9CF-21F8-428F-BB2E-6A8BEC4AD343-1440x1080.jpeg)
(2)乾燥ゆば、みつばを加えて、もう一度ラップをして、600Wの電子レンジで1分加熱する。ゆばが液に浸るようにする。飾り用三つ葉は残しておく。
加熱が終わったら器に盛り、飾り用の三つ葉をのせる。
生ゆばときのこのとろみあんかけ丼
null![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/C316C8E0-CAE8-4C3F-AF80-B83FBD6ED6AA-1440x1080.jpeg)
やわらかな生ゆばを使ったどんぶりものをご紹介します。ヘルシーなのに満足感が高く、ご飯さえあれば5分で作れます。きのことちくわの旨味、生ゆばのとろとろ食感で、優しいほっこりする味です。
生ゆばは豆乳に浸かっているものもあります。豆乳を出汁に加えると汁が濁るので、豆乳は除いて、中の湯葉のみ加えてください(豆乳は捨てずに飲んだり料理に使ったりしてください)。乾燥ゆばでも作れます。その場合には水の量を少し足してください。
今回はご飯に乗せてどんぶりにしましたが、うどんや蕎麦と一緒に食べてもおいしいですよ。
【材料】(2人分)
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/66273B19-F06D-4C0F-8A95-266C99943E40-1440x1080.jpeg)
・ご飯 2膳分
・生ゆば 80g
・ちくわ 2本(50g)
・しめじ 1パック(100g)
・舞茸 1パック(80g)
・エリンギ 1本(50g)
<調味料>
・水 1カップ
・和風だし 小さじ1
・しょうゆ 大さじ1
・みりん 大さじ1
・しょうが 1かけ
・片栗粉 小さじ2
・小ねぎ 2本
・七味唐辛子(お好みで)
【作り方】
■下準備
・ちくわは斜めに薄切りにする。
・しめじ、舞茸は石づきを取り、小房に分けておく。
・エリンギは3cm長さに切り、四つ割りにする。
・しょうがはすりおろす。小ねぎは小口切りにする。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/E475B21C-1339-483B-B32F-E1F5FCF7B512-1440x1080.jpeg)
(1)鍋に<調味料>を入れて、ちくわ、きのこ類を加えて柔らかくなるまで1〜2分煮る。
![](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2022/09/43694728-F356-4D69-9C3E-3948D4952BBC-1440x1080.jpeg)
(2)飾り用を少し残してしょうがを加え、水溶き片栗粉でとろみを付けて、生ゆばを加える。
器にご飯を盛り、きのことゆばのあんをかけて、しょうが、小ねぎを飾る。お好みで七味唐辛子を添える。
ゆばはお店で食べる機会はあっても、家ではあまり使わない食材かもしれません。でも、乾燥ゆばは意外と戻す手間もなく使えてとっても便利な食材。お湯を注げばインスタントの汁物にもなり、手軽にたんぱく質補給もできます。
乾燥ゆばだけでなく、最近手に入りやすくなり、消化も良い生ゆばも、そのまま食べるだけでなくお料理にもぜひ活用してください。
![道添明子(あーぴん)](https://kufura.jp/wp-content/uploads/2021/11/2ED087D6-259A-4828-96BE-7C23D209AE35.jpeg)
栄養士、料理家。
日本女子大学食物学科卒業。大手食品会社にて新製品の企画開発などに携わる。その後企業向けの料理レシピ開発、シルバー大学や料理教室講師、企業の健康栄養セミナーなどで幅広く活躍。
「健康な体は毎日の食生活から」をモットーに、初心者でも作りやすいよう調理法を工夫し、素材を生かしたメニューを得意とする。各種SNSで日々レシピ情報を更新中。
https://lit.link/apinakikomichizoe
新刊『旬と野菜を愉しむあーぴんの絶品おかず』(宝島社)2023年9月13日発売!