今、第二次お菓子缶ブームと言われており、私のみならず、多くの人の心を捉えています。年間200~300もの新しい缶が生み出される製缶業界(※)ですが、その中からおすすめのものをカテゴリー別にピックアップ。本に掲載していないものもここでは取り上げました。
第2回目は、1,000円以下で買える“地方のお菓子缶”です。
※お菓子缶のみならず、業務用の缶や粉ミルク、入浴剤などの缶も含む。
北海道代表:“小熊のプーチャン”のキャンディ缶
null北海道にあるお菓子屋さん「札幌千秋庵」のキャンディ缶。どこか懐かしさを感じる、なんとも言えないほのぼのとしたデザインがいいんです。
食べ終わった缶をマスキングテープ入れとして使っているのですが、深さがちょうどいいんです。
キャンディ1つひとつのパッケージにもプーチャンがプリントされていて、これまたかわいい! 厳選した砂糖と水飴、そして北海道産のバターを使ったやさしい味わいのバター飴です。
東京代表1:「TOKYO CROWN CAT」のキャンディ缶
null「TOKYO CROWN CAT」はキジトラ猫の“Mr.TORAKICHI(トラキチ)”がマスコットキャラクターのスイーツブランド。ここのブランドは、パッケージに“Mr.TORAKICHI”が使われていて、とにかくかわいいんです! こちらをじーっと見ている“Mr.TORAKICHI”の目線が猫好きにはたまらないはず(笑)。
東京駅や羽田空港に行かないと買えない限定品でしたが、現在はオンラインショップもオープン。家にいながらにして気軽に購入できるようになりました。
ロングフィナンシェやロイヤルミルクティーウエハースなどもありますが、1,000円どころか500円以下で買えるのはこのキャンディ缶。手のひらサイズで、しかもちょっと“コスメ”のような華やかさがあるかわいい缶なんです。
中には、ピーチ、グレープ、ストロベリー、グリーンアップルと4種類のキャンディが入っています。キャンディのパッケージにも“Mr.TORAKICHI”やその足跡がプリントされている芸の細かさ。
東京代表2:伊豆大島の郷土菓子のお菓子缶
null江戸時代、徳川家康が伊豆大島に課した年貢は塩でした。しかし“運搬作業”が多い塩を作る仕事は重労働。そのため伊豆には“働き手”として多くの牛が連れてこられました。そして時代とともに酪農業へ移行。
大正時代、今では“幻のバター”と言われている“大島バター”を作る際、傷みやすいため捨てていた“バタ下(現在の脱脂乳)”を瓦せんべいに用いてできたのが、この“牛乳煎餅”でした。まさにエコでサステナブルな焼き菓子だったんですね!
この牛乳煎餅、すでに100年以上作られ続けており、しかも当時からほとんど材料は変わっていないといいます。当時から変わらず、牛乳100%! 水を使わずに作られているそうですよ。それだけにコクと深みのあるおせんべいになっています。
そしてこの缶のなんともノスタルジーなこと! おしゃれすぎるものが多い今の世の中、逆に新鮮だと思いませんか。
大阪代表その1:くいだおれ太郎のサブレ缶
null大阪・道頓堀のランドマーク“くいだおれ太郎”。未だこのキャラクターの人気は衰え知らず。こうしてお土産もの業界の中でも君臨しています。
大阪のお菓子缶というのは総じて色使いが鮮やかで明るい・わかりやすいものが多いのですが、中でもこちらは秀逸。
鮮やかな黄色にくいだおれ太郎というシンプルかつ、わかりやすいデザイン。
中には“くいだおれ太郎”の顔の形をしたサブレが入っています。
そしてこのお菓子缶、絶妙な深さがあり、わが家では食べ終わったあとはお弁当箱として大活躍しています! ごはんだとものすごい量が入ってしまうので(笑)、私はサンドイッチ用のお弁当箱として愛用しています。何しろこの缶の深さに、サンドイッチがシンデレラフィットするんです。
大阪代表その2:元祖ゆるキャラの飴缶
null缶に描かれたキャラクターの名前は“なにわちょろけん”。江戸時代、京阪地方にあった門付け芸をする“ちょろけん”という今でいう“ゆるキャラ”を、現店主が現代的にアレンジして生まれたのが、この“なにわちょろけん”です。
このキャンディ缶、600円しないのにとにかく丁寧に、細かく作られているんです。缶にはエンボス加工が施されていて、約600円とは思えない出来栄え。まったくもって安っぽくないんです。それよりもこれを600円以下で売っちゃっていいんですか?といういらぬ心配をしそうなほどいい出来栄えの飴缶なんです。
中には“ちょろけん”の顔をした組飴と、ちょっと人に手渡すときのポチ袋まで入っているんです! 本当にこの値段でいいんですか!? と聞きたくなる私の気持ち、わかりますでしょう!
でも、この”飴ちゃんを渡すポチ袋“がついているところなんて、すごく大阪らしい発想でいいですよね。
いかがでしたか? 今回ご紹介させていただいたものは、ほんのごく一部。まだまださまざまな県の素敵なお菓子缶がありますので、ぜひまた紹介させてくださいね。そしてもしあなたの住む県に素敵なお菓子缶があったら教えてください!
撮影/中田ぷう
※掲載商品はすべて中田さんの私物です。
ライター・中田ぷう
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』(光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学4年生、高校3年生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。
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