歴史ある日本ブランドが発信するカジュアル靴
nullさて、今回ご紹介したいのは、新作アイテムではなく定番。
私がずーっと愛用しているもので、どこかのタイミングで絶対取り上げたいと思っていました。はいこちら、ムーンスターの「エイトテンス キッチェ」です!
「ムーンスターノエイトテンスキッチェ」……音だけ聞くと呪文のようですが、ムーンスターは、世に運動靴という文化を広めた、私たちの生活に多大なる影響を与えた会社。世代によっては「月星化成」のほうがピンとくるかも。みんなが履いて育った「上履き」をつくっている会社です。
社名が「ムーンスター」となったのは2006年のことですが、なんと創業は1873(明治6)年! 足袋の製造が出発点という、それはそれは老舗のメーカーなのです。その後、ゴム製品の製造からスポーツシューズの開発、海外への輸出も積極的に取り組み、かつてはニューバランスやコンバースとのライセンス契約を結んでいたことも(現在は終了)。
つまり、現在でも冷めやらぬスニーカーブームは、この会社なくしては語れないはず。今でもスポーツシューズに限らず、機能性のあるビジネスシューズや専門職用の靴などを、開発し続けています。 ……と、だれにも頼まれていないのに、ムーンスターについて熱く書いてしまいましたが、そろそろ本題に。
シンプルな顔の中には、ちゃんと機能もあるんです
nullこの「エイトテンス」は、ムーンスターが、飲食店や病院といった専門職用に製造している靴のノウハウを、デイリー靴に落とし込んだライン。どのシューズも無駄がなく、すっきりしたデザインが魅力です。あまり感心する表現ではありませんが、インポートっぽいっていうのでしょうか。
なかでもこの『キッチェ』は、厨房や食品工場で使われるキッチンシューズが原型に。油や水に濡れた床面でもすべりにくいラバーソールや、汚れてもすぐに拭くことができる合皮のアッパーを採用。ムレにくいよう、サイドに通気穴が開いているのも、心憎いポイントです。
これで5,500円とは、到底信じられません。
夏だけなんてもったいない! 秋の白い足元コーディネート
nullローファーやスリッポンよりもカジュアルですが、いわゆるスニーカーとも違うデザインは、コーディネートの幅を広げてくれそうです。この中間地点な佇まい、なかなか見つからないんですよね。
そして、白い靴=夏という印象かもしれませんが、いえいえ、私は一年中活躍させますよ! 特に秋冬の着こなしって重く&暗くなりがちなので、そういったときにも、この靴は便利。ボリューム感もほどよくあって、アウターを着たときにも足元が頼りなく……なんてことにならないんです。
と、いうわけで秋の実践コーディネート、いきまーす。
【Style:01】色×色の着こなしは、足元に抜け感を与えて気持ちよく
キャメルのニットにブルーのパンツと、色に色が重なる組み合わせは、足元が難しい。ブラウンでもいいけれど、全体が濃厚すぎる印象になりそうだったので、白ですっきりさせました。洋服のカラーも際立って、クリーンにまとまります。
【Style:02】モノトーンスタイルの最後は軽快に仕上げて
モノトーン、それもジャケットを羽織ったきちんと感のあるスタイル。シーンが許されるなら、小物で遊びたいところです。
いつもなら黒いパンプスのところを、白い「エイトテンス」に。ミニマルなデザインなので、スニーカーよりなじみがよく、洗練されて見えます。
実際には、これに黒タイツを合わせるのですが、靴のカジュアル感を考えると、透け感のないデニール60以上のものがおすすめ。
「腹八分目」というコンセプトに共感しまくり!
null今回、この連載を書くにあたって、改めて「エイトテンス」についてじっくり調べたのですが、何度も「うん、うん」とうなずくことが。
ちなみに「エイトテンス(810s)」というのは、日本語の「腹八分目」から名付けられたそう。10分の8、つまり満腹でもなく空腹でもない、ちょうどいい心地よさを体現するシューズだとか。公式HPには「満たされすぎず、物足りなくもない」と表現されているのですが、このコンセプトに、なんだか勝手に共感してしまいました。
そう、大人が目指したいオシャレって、結局トゥーマッチでもなく、無難でもない、「ちょうどいい」バランス。ベーシックだけど、どこか心に残る、そして普段の生活の邪魔をしないコーディネートができたら完璧ですよね。そう考えると、やっぱりこの靴は見た目も機能も最適なんです。日本が発信するオシャレって心強い!
今回は、私もたくさんお勉強させていただきました!
editor_kao
エディター。大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。現在Domaniでも「今日からは、自分のために服を着たい」を連載中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。