キャップにトラウマがあるのに、似合うデザインを探した理由
null昨年からリモートワークが劇的に増え、意識的に散歩をするようになりました。ときには大きな公園へ行って、気分転換することも。緑の中を散策したり、季節の花を愛でてみたり、無邪気に遊ぶ子どもたちを眺めているだけで、心なごみます。
そういうライフスタイルになると、絶対に必要となってくるのが帽子なのですが、実は私、以前から大の苦手で。オシャレとして帽子をかぶることが本当にできなくて、日差しが強いとか、反対に防寒したいとか、必然性がなければ、まず手にしていませんでした。
しかーし! 長時間外に出るということは、UVケアのためにも帽子は必須。今までも、夏にときどきストローハットをかぶることはあったのですが、ちょっとかさばるし、もっと気楽な感じで取り入れたいと、キャップを探すことにしました。 しかし、ここで苦い思い出が……。
随分前のことですが、ある展示会で、キャップをプレゼントしていただいたことがあったのです。ハイブランドとのコラボアイテムで、巷では入手困難というレアもの。当時から帽子、特にキャップは最も苦手意識が高く、上手にこなせないネガティブな自信があったので(苦笑)、何度もお断りしたのですが、「どうしても!」というプレスの方の情熱に負けてしまい……。
でも、そもそもキャップ慣れしていないのに、さらにハイブランドのデザインともなると、ハードルが高すぎるんです。鏡で見ても、ニュースによく出てくる、詐欺グループの犯人がATMでお金を引き出している映像にしか見えなくて(涙)。なくなく、知り合いのバンドマンの男性に譲ってしまいました。彼、似合ってたなー。あのキャップも救われたのではないでしょうか。
そんな過去があるので、「私にキャップは無理」とあきらめていたのですが、コロナ禍になっていよいよ必須に。ここまでキャップが似合わない私でも、かぶれるものなんてあるのか!? と、思っていたのですが、なんと「ユニクロ」にありましたよ。やっぱりこのブランドはすごい!
「なんてことない」からこそ優秀! 多くの人が似合う“プレーン”という強み
null「ユニクロ」には、たくさんの種類のキャップがそろっていますが、その中でも、なぜこれを選んだかというと「とにかく特徴がない」から。これ、褒め言葉です。
苦手意識が高い私としては、キャップを主張させたくない。どちらかというとコーディネートの中になじませたいのが本音。だからクラウン(かぶる部分)に刺しゅうやワッペンがないものを、色もナチュラルな雰囲気のベージュにしました(意外と黒はスポーティな印象が強く、洋服を選びます)。
かぶりが深くて頭がすっぽり入るのも、安心感が。あと、つばに丸みがある点も重要。一時、フラットなつばのキャップが流行しましたが、あれは本当に人を選びます。私が詐欺グループみたいになっちゃったときもそうでしたけど、顔まわりで、すごく存在感を放つんですよね。慣れていないなら、避けたほうが賢明かと。
全体的に、これといった特徴のない(繰り返しますが褒め言葉です)、プレーンな佇まいが、似合うキャップのなかった私にも希望を与えてくれました。というわけで、次はどうコーディネートするか。正直、子育て世代のkufuraの読者の方のほうが、キャップスタイル上手なのでは……と思いつつ、自分なりに模索してみました。
ちょっとだけ都会的に見せたい、大人のキャップスタイル
null東京以外の人にはわかりにくいかもしれませんが、目指したのは「表参道には行けないけど、代々木上原なら行けるよ」な着こなし。ハイブランドのショップは抵抗があるけれど、オシャレなパン屋さんは大丈夫、くらいに都会感があるドレスコードです(最初からそう言えばいい)。まずはワンピースとのコーディネートから!
【Style01】ボリュームワンピースとの今年らしい組み合わせ
キャップ×ワンピースは、この夏のトレンドスタイル。女性だからこそ楽しめる組み合わせです。キャップの雰囲気に合わせて、ボトムにはカジュアルなスキニーデニムをレイヤードしました。耳元に大きなピアスをすると、程よい女らしさが。キャップ×イヤリングという組み合わせもおすすめ。顔まわりが洗練されて、カジュアル度が軽減されます。
【Style02】オールブラックにマイルドな表情をプラスして
「さっき、キャップは主張させたくないって言ってたじゃーん!」という声が聞こえてきそうですが、違うんです! 想像してみてください。このキャップが黒だったら、コワい印象じゃありませんか? これは、ベージュのキャップが、着こなしをやわらげてくれるという例。洋服の色のほうが強いので、実際に身につけると、キャップはそこまで主張しないんです(必死)。
辛口なオールブラックの着こなしに、キャップで外しを加えることで、親しみやすさを出しています。時計とバッグは、キャップのベージュの延長線でブラウンを、足元は白いスニーカーで軽やかに仕上げました。
苦手なものは、無理をせずに取り入れるという選択
null今回、苦手ながらも必要不可欠なアイテムとして、キャップを取り上げましたが、実際に選んで、コーディネートして思ったのは、「得意じゃないアイテムは、主張させないほうがいい」ということです。
キャップスタイルに憧れはあったものの、特に詳しくもないし、似合うほうでもない。だったら、「いちばんイケてるブランド」や「おしゃれなセレクトショップで売ってるもの」よりも、あえて「なんてことないもの」を取り入れたほうが、身につけていて落ち着きます。これはキャップに限らず、自分が「苦手だけど身につけてみたいな」と、思うアイテムには、すべてあてはまりそう。
そう、ときにオシャレは、積極的に“事なかれ主義”でいることも大事なんですね!
今回も、いいお買い物できました!
editor_kao
エディター。大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。