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「古代メキシコ展」がすごい、謎に包まれた文明の至宝が大集合!

こんにちは! 漫画家兼イラストレーターの新里碧(にっさとみどり)です。
現在上野の東京国立博物館で開催中の特別展『古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン』のレポートをお届けします!

(イラスト内:「鷲の戦士像」テンプロ・マヨール博物館)

15世紀から後16世紀まで3,000年以上にわたり繁栄したメキシコの古代文明。

厳しい自然環境の中で築かれた文明は、いまだに多くの謎に包まれ、その独自の世界観と造形美は人々を魅了してやみません。

古代メキシコ文明をざっくり説明

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まずは、古代メキシコ文明についてざっくりと。

ここで言う、古代メキシコ文明とは、メソアメリカと呼ばれる地域(北アメリカ大陸と南アメリカ大陸のつなぎ目にあたる、現在のメキシコ、グアテマラ、ベリーズを中心とした地域)で、栄えた文明のことを差します。

ちなみに、マチュピチュで有名なインカ文明よりも3,000年ちかく前からメソアメリカでは文明が栄えていたとされています。

16世紀のスペイン侵攻により文明は衰退しましたが、伝統は現在もその地域に暮らす人々へ受け継がれているそうです。

東京ディズニーシーにある「インディ・ジョーンズ(R)・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮」はユカタン半島にあるマヤ文明の遺跡、チチェン・イッツアをモチーフにしているそう。

さて、本展ではそんな古代メキシコ文明のうち、「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明に焦点をあて、多彩な出土品約140件が展示されます。

ユニークな造形物の数々

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「球技をする人の土偶」 マヤ文明600~950年 メキシコ国立人類学博物館。

今回の展示でまず目を引かれるのが、なんとも独創的で魅力的な造形物たち。

その一部をご紹介します。

この“まわし”のようなものを含めた防具は、球技をする時に身につけたもので、大きな重いゴムボールから身を守るためのものであったそう。

かなり危険なスポーツかつ、勝敗が人身供犠とも深く関係していたそうで、楽しめそうな要素が全く感じられず、それを知ってからこの像の見え方が変わりました……。

ゴムボールも展示されているので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

「クモザルの容器」 中央ベラスクス950~1521年 メキシコ国立人類学博物館。

メキシコのジャングルに生息する長い手足が特徴のクモザル。

日中の“パンダ外交”のように、マヤの高官からテオティワカンへ外交的な絆を深めるためにクモザルが贈られていたという論文もあります。

「鳥形土器」テオティワカン文明250~550年 メキシコ国立人類学博物館。

なんともコミカルな見た目の、貝で装飾されたこちらの土器は、多くの貝製品と共に見つかり、メキシコ湾との交易をおこなう貝商人のものだったのでは?と推測されているそう。

「テクパトル(儀式用ナイフ)」 アステカ文明1502~20年 テンプロ・マヨール博物館。

発掘したときの人の気持ちをつい想像してしまう、目と歯が、なんともキモかわいい&怖いこちらのナイフ。

刃には使用された痕跡が無く、切断作業には使われなかったか、柔らかい組織に一度だけ使われた、とのことです……。

かわいい派と怖い派で意見が分かれそうですね。

ちなみに、こちらの2つのナイフは、展覧会限定グッズとしてブローチになっていますので、そちらもチェックしてみてください。

「エエカトル神像」 アステカ文明1325~1521年 メキシコ国立人類学博物館

エエカトル神は、くちばしのような形をした赤い口で描かれているそうなので、こちらの像も当時は口が赤く塗られていたかもしれません。

まるでそこは世界遺産!? 臨場感あふれる展示

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大型パネルやピラミッドのようなデザインの展示台で、まるで現地にいるような気分になれます。

「チャクモール像」 マヤ文明900~1100年 ユカタン地方人類学博物館 カントン宮殿。

羽毛の蛇ピラミッドの壁面を飾っていた大石彫。

実物大のピラミッドのパネルの前で見ると、その迫力もひとしおです。

(左から)「シパクトリ神の頭飾り石彫」、「羽毛の蛇神石彫」 ともにテオティワカン文明200~250年 テオティワカン考古学ゾーン。
「赤の女王」展示コーナー。

そして、『古代メキシコ展』の見どころのひとつでもある、赤の女王の展示ブースは、赤の女王が覆われていた辰砂(しんしゃ 硫黄と水銀の化合物で顔料や防腐剤として古くから世界中で使われてきた物質)をイメージした赤で彩られ、並々ならぬ存在感がありました。

赤の女王と呼ばれたイシュ・ツァクブ・アハウは、その骨組織の分析、研究により、箱入り娘として大事に育てられ、10歳上の夫に嫁ぎ、夫婦関係も良好で晩年も穏やかだったそうです。

少しホッとしました。

チョコレートの起源? 食文化を覗こう

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個人的に興味を引かれた展示が、こちらです。

ローストしたカカオ豆をすりつぶして飲んだもの「ショコラトル」と呼ばれる飲み物。

スペイン人がヨーロッパに持ち帰り、その後オランダ人のバンホーテン氏がココアパウダー、すなわちココアの素を発明。

その後1847年イギリスでカカオパウダーから板チョコレートが発明され、現在のチョコレートに至るそうです。

ちなみにクックパッドにショコラトルの作り方を見つけたのですが、まずカカオを輸入するところから始まっていました……!

「円筒形土器」マヤ文明600~850年 メキシコ国立人類学博物館。

「チコメコアトル神の火鉢(複製)」アステカ文明1325~1521年 メキシコ国立人類学博物館。

お次は、メキシコ料理と言えばの“タコス”のトルティーヤの材料、トウモロコシです。

トウモロコシを持った神様の姿や壁画も展示されていました。

マヤ神話では、人間はトウモロコシから作られ、アステカ神話では人々が生きるために不可欠なものとして神よりもたらされたとされているそうです。

余談ですが、現在でもメキシコの人々に愛されているタコスについて、もっと知りたい方は、Netflixで配信されている『タコスのすべて』がおすすめです。

今回取材した展覧会は、

特別展「古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン」

東京国立博物館 平成館にて2023616()93()まで開催中です。

 

【開催情報】

特別展「古代メキシコ ーマヤ、アステカ、テオティワカン」
会期:2023616日(金)~93日(日)
休館日:月曜日、718日(火)
※ただし717日(月・祝)、814日(月)は開館
開館時間:9:3017:00、土曜日は19:00まで、6月30日(金)~72日(日)、77日(金)~9日(日)はメキシコウィークのため20:00まで ※総合文化展は17:00閉館 ※入館は閉館の30分前まで
会場:東京国立博物館 平成館
観覧料:一般2,200 円、大学生1,400 円、高校生1,000円、中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料
公式サイトはこちらhttps://mexico2023.exhibit.jp/

新里 碧
新里 碧
取材漫画家/イラストレーター/アーティスト
芸大を卒業後、広告業界を経て独立。2018年、自身の体験を元に描いた『アプリ婚 お見合いアプリで出会って1年で婚約→結婚しました』(小学館)発売。旅と工作が大好きな新米キャンパーです。
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