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キッチンや浴室リフォームがお得に!? ミサワホームに「子育てエコホーム支援事業」の賢い活用法を聞きました

新築で最大100万円、リフォームでも最大60万円が補助されるという「子育てエコホーム支援事業」は、国土交通省による、新たな住宅の省エネ化支援制度です。

前回は「基礎知識」として、事業内容や申請方法などについて詳述しましたが、2回目となる今回は、どんな設備にいくらの補助金が支払われるのか、補助金のお得な活用法などを具体的に紹介していきます。教えてくれたのは今回も、大手ハウスメーカー『ミサワホーム』営業企画部の鈴木僚太さんと、高宮秀樹さん。

注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入を考えている子育て世帯・若者夫婦世帯はもちろん、リフォームを予定している人は必読です!

新築・新築分譲購入の場合…子育て世帯必見の使い道とは

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補助額をおさらい!

「子育てエコホーム支援事業」では、子育て世帯または若者夫婦世帯が、住宅事業者などと契約し、長期優良住宅またはZEH(ゼッチ)住宅を新築するか、新築分譲住宅を購入する場合、1戸あたり最大80万~100万円が補助されます。

ただし、注意しないといけないのが“立地”です。

「『市街化調整区域』かつ『土砂災害警戒区域または浸水想定区域』(洪水浸水想定区域または高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域をいう)に該当する区域に立地する住宅は1戸あたり最大40万~50万円の補助となります」(鈴木さん)

つまり、補助額が半分になってしまうので、補助を予算に組み込もうと考えている人は、立地も調べたうえで検討しましょう。

賢い使い方

子育て世帯・若者夫婦世帯が注文住宅を新築するか、新築分譲住宅を購入し、その住宅が長期優良住宅のケースに限り、最大100万円がもらえるわけですが、この場合、「どこの部分にいくら分、補助してもらうか」という考え方ではなく、「100万円全額をどのように使い切るか」を住宅事業者と相談した方がいいといいます。

おすすめの使い方が、“グレードアップ費用に充てる”ことだと、鈴木さん。

「新築の設備をグレードアップしたいと思うと、その都度、10万円、20万円とかかります。住宅は数千万円単位の高額な買い物。日常の買い物と異なり金銭感覚が麻痺して、その程度の金額なら出してもいいかなと考えてしまう方も多いのですが、日常の買い物で考えると数十万円はかなりの金額です。

しかし、100万円分使えるお金があると考えたら、グレードアップしやすいですよね。ですから、私たちは、グレードアップするかお客さまが迷ったときに、“その分は補助金で賄いましょう”とお伝えしています。

特に、水回り、キッチン、風呂、トイレ、洗面所の設備は、もともとの価格が高額なので、補助金を使ってグレードアップするのがおすすめです」(鈴木さん)

「子育てエコホーム支援事業」を活用すれば、80万~100万円分のグレードアップ費用がもらえると思えばお得感がありませんか?

リフォームの場合…工事するとお得感が得られる場所は!?

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リフォームなら子育て・若者夫婦世帯以外も最低20万円まで補助

リフォームの場合、「どこをどうリフォームし、いくら補助してもらうか」を考える必要があります。世帯構成によって上限も工事内容も違うため、補助金額も千差万別、というわけです。

たとえば、最も上限額が多いリフォームのケースは、「子育て世帯または若者世帯夫婦が、既存住宅を購入してリフォームを行う場合」で、1戸あたりの上限補助額は60万円となります。

「『子育てエコホーム支援事業』では、子育て世帯または若者世帯夫婦が優遇されており、新築や新築分譲の購入での補助はこれらの世帯に限定されます。ただしリフォームでは、すべての世帯が対象となり、最低でも上限20万円は補助されますので、お子さんがいない世帯や、高齢者でリフォームを検討している方は、まず申請できるか確認してみましょう」(高宮さん)

ちなみに、新築にせよリフォームにせよ、申請は住宅事業者やリフォーム事業者といった登録事業者が行ないます。建築主である私たちは申請したい旨を伝えるだけでOKです。

「必須工事」と「任意工事」を知っておこう

「子育てエコホーム支援事業」を活用してリフォームをする場合、さらに知っておくべきことがあります。それは、補助額は「必須工事」と「任意工事」の合計となる、ということです。

「『必須工事』を行わないと補助金は申請できません。『必須工事』のいずれかの工事を行った場合のみ、『任意工事』も補助金の対象となります。ただし、同一のリフォーム工事が、複数の『任意工事』に該当する場合、いずれか高い補助額のみ合算します。

また、1申請あたりの合計補助額が5万円未満の場合は補助申請できません」(高宮さん)

さらに、「省エネ基準レベル」と「ZEHレベル」で補助額が異なる……など、リフォームに関してはさまざまな条件があり、覚えるのが大変です。

まずは単純に、窓や扉、外壁、屋根、天井の“断熱改修”、節水トイレやエコ給湯器といった“エコ住宅設備の設置”を検討していて、5万円以上かかりそうなら申請できるかも、と覚えておきましょう。

リフォームするなら浴室とキッチンがお得!

では、どこをどうリフォームすれば「子育てエコホーム支援事業」を活用できるのでしょうか。具体的には以下のようなお悩みがあると、補助金を使ってお得にリフォームできる可能性が高いと、高宮さんは言います。

「子育てエコホーム支援事業」を活用できるリフォーム場所の例

  • お風呂場が寒い・古い
  • 家事負担を少なくするために食洗機を付けたい
  • トイレの汚れが気になる
  • 部屋が冬は寒く・夏は暑い
  • 給湯器を10年以上使っていて、湯の温度が安定しなかったり、リモコンにエラー表示が出る
  • 室内や玄関などの段差が気になる。欲しいところに手すりがない
  • エアコンを10年以上使用していて、においやカビが気になる
  • 価格が上昇している光熱費の支払い負担を軽くしたい

「『子育てエコホーム支援事業』では特に、浴室やキッチンのリフォームに関して、対象項目が多く、その分補助額も多く見込めるため、お得感が高いといえます。

浴室リフォーム工事としては、たとえば『高断熱浴槽の設置』『節湯水栓の設置』『浴室乾燥機の設置』『段差解消』などが、キッチンリフォーム工事としては、『キッチン対面化』『ビルトイン食洗機の設置』『掃除しやすいレンジフードの設置』『ビルトイン自動調理対応コンロの設置』などが該当します」(高宮さん)

該当する項目がある場合はこの機会に、リフォームを検討してみてもいいかもしれません。次からは、kufura読者向けにおすすめのリフォーム例をピックアップしてみました!

◼️家事ラク「ビルトイン食洗機」の設置で2万1,000円の補助金が!

写真提供:ミサワホーム

「子育てエコホーム支援事業」では特に、浴室やキッチンのリフォームに関して、対象項目が多く、その分補助額も多く見込めるため、お得感が高い、と前述しましたが、実際にリフォームで人気なのが「ビルトイン食洗機の設置」なのだそう。

「食洗機は家事効率を上げることはもちろん、手洗いよりも水を使う量が少ないため、水道代やガス代が節約できます。共働きのご家庭が増えたことで導入を検討される方が多くなったようです。 古い食洗機を新しい食洗機に交換する場合も補助金の対象となります」(高宮さん)

「ビルトイン食洗機」の設置は、「任意工事」の「子育て対応改修」に含まれるので、「必須工事」のいずれかを行う際は、あわせて検討するとよいかもしれません。

「最近は宅配ボックスの設置も需要が多く、これも『子育て対応改修』に該当します。住戸専用の場合1万1,000円/戸、共用の場合1万1,000円/ボックス(最大20ボックスまで)の補助額となります」(高宮さん)

◼️扉のリフォーム補助額は4万9,000円!

ドアや窓といった開口部の断熱リフォームによって、省エネ効果が期待でき、光熱費を削減できます。

「例えば、ドア(開戸1.8平方メートル以上、引戸3平方メートル以上)を交換する場合、『省エネ基準レベル』では1カ所あたり3万7,000円の補助額が、同様のドアを『ZEHレベル』で交換する場合は、1カ所あたり4万9,000円の補助額が支払われます」(高宮さん)

◼️光熱費削減に!高効率給湯器のリフォーム補助額は3万円

「必須工事」のうち「エコ住宅設備の設置」については、「省エネ基準レベル」「ZEHレベル」は関係ありません。太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器、蓄電池については、設置を行った設備の種類に応じて、戸当たり1台分までが補助の対象となります。

節水型トイレ、節湯水栓については、設置を行った設備の種類に応じた補助額に、その台数を乗じて補助額を計算し、それらを合計した補助額となります。

「たとえば、高効率給湯器に交換した場合、戸あたり3万円の補助金がおります。太陽熱利用システム、高断熱浴槽も、同じく戸あたり3万円になります」(高宮さん)

「エコ住宅設備の設置」の場合、もともとの費用が高額になりがちですが、水道光熱費の大幅な削減につながるので、先行投資と思うといいかもしれませんね。

いかがでしたか? 新築を希望する子育て&若者世帯はもちろん、リフォームを希望する方も幅広く活用できる「子育てエコホーム支援事業」制度。2024年3月から申請が始まっていますが、予算がなくなり次第終了の早い者勝ちのため、工事と申請はなるべく早めに行いましょう。

※工事条件の詳細などは、工事施工業者または子育てエコホーム支援事業の専用サイトでご確認ください。

 

【参考】

・国土交通省 子育てエコホーム支援事業 専用サイト
https://kosodate-ecohome.mlit.go.jp/

 

【取材協力】

ミサワホーム

嶋田久美子
嶋田久美子

エディター/ライター。大学卒業後、出版社に勤務し、その後、フリーの記者として主に週刊誌の編集・執筆に携わる。歴史や美術をはじめ、マネー・車・健康・ペット・スピリチュアル・夫婦関係・シニアライフスタイルといった多岐にわたる女性向け実用情報を手掛ける。1児を持つシングルマザーで、趣味は漫画・アニメ鑑賞、神社巡り。

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