重曹の正しい保管方法…浴室のそばなど湿気のある場所は厳禁?
null重曹の保管で気を付けたいのは、湿気対策。水分を含むと固まる性質があるので、長期保存するのに高温多湿の場所は不向きです。湿気を避けるために密封容器に入れて、風通しがよく乾燥した冷暗所に保管しましょう。
とはいえ、岩尾さんによれば、重曹の保管はそれほど神経質になる必要はなく、もう少し緩やかにとらえてもよいとのこと。
「重曹とは、正式名称を“炭酸水素ナトリウム”といいますが、ものすごくかみ砕いて表現すると、要するに“塩”の仲間です。一般の家庭で塩の保管にこだわらないのと同様、重曹の保管に関しても、よほど特殊な環境でなければ、家のどこに置いてもそれほど心配することはありません。
特に、グラニュー糖のような粒子の荒い重曹は固まりにくいので、たとえば、風呂掃除に使うものを洗面所に置いても問題ないと思います」(以下、「」内は岩尾さん)
まとめ買いして長期保存するものは、なるべく乾燥した涼しい場所で保管。ただ掃除のたびにそこから取り出すのは大変なので、キッチンやトイレ、浴室など使いたい場所の近くに小分けにしたものを配置しておくと便利です。湿気は厳禁!……というわけではないので、そこはご安心を。
重曹の保管容器…どんなものがおすすめ?ダイソーでも買える?
null重曹の保管容器は、こぼれないように蓋をしめられるものであれば何でもよく、ダイソーなど100円ショップで買えるものでももちろんOKです。
使いたい量をさっと取り出せる調味料入れなどのケース、重曹粉を振りかけるシェーカー、重曹水を入れるスプレー容器など、自分にとって使いやすいものを用途に応じていろいろ準備するとよいでしょう。
正しく保管すればどれくらいもつ?期限切れのものはもう使えない?
null重曹は正しく保管すれば、開封してからでも3年以上は保存が可能です。また、食用の重曹には賞味期限が記載されているので、基本的にはそれを目安にすると安心でしょう。
ただ、期限切れのものでも、全く使えなくなるわけではないと岩尾さんは話します。
「食用の重曹は、食品添加物の一種にあたり、販売するメーカーは賞味期限の表示を義務付けられています。
ただ、賞味期限はあくまで目安であり、それが過ぎたからといっていきなり重曹の性質が変わるわけではありません。
もし古い重曹がまだ使えるかどうか心配な場合は、酢でチェックする方法をおすすめします。重曹に酢を加えてみて、シュワシュワと泡が発生するのであれば、重曹の性質が失われていない証拠です。その場合、山菜などのアク抜きに使っても、特に問題はないと思います。もちろん、食品に使うのは抵抗がある場合は、掃除や洗濯、消臭など調理以外に使うとよいでしょう。
他方、酢を加えて反応がない場合、残念ながら何らかの事情で重曹は変質してしまっています。その場合は、燃えるゴミとして処分してください」
期限が切れたものは、掃除に使うのがおすすめかもしれませんね。古くなっても変質していない重曹は惜しみなく使い切りましょう。
重曹が固まってしまった!崩して使うのはOK?
null正しく保管すれば長く使える重曹ですが、ほったらかしていると、いつの間にか固まってしまうこともありますよね。これって崩して使うのはOKなのでしょうか?
「湿気や重曹自身の重みの影響で固まってしまった場合でも、重曹の性質が変わるわけではありません。フォークなどで崩して使っても差し支えありません。どうしても気になる場合は、さきほどご紹介した酢を使う方法で変質していないか確認してみてください」
固まっても重曹自体が劣化しているわけではないので、使ってもOK。ただ、使いたいときにすぐ使えないのは厄介なので、もし固まってしまったら、保管場所や容器を再考する必要はありそうですね。
重曹水の保管方法…沈殿して使いづらいときはどうしたらよい?
null重曹は粉状で使う以外に、水に溶かして重曹スプレーとして活用するのも便利。ただ、スプレー容器内で重曹が沈殿したり、スプレーが目詰まりを起こしたりすることもありますよね。重曹スプレーを適切に保管するにはどうすればいいのでしょうか?
「重曹が沈殿するのも、スプレーが目詰まりを起こすのも、重曹水が濃すぎることが原因です。重曹水の濃度は、水200mlに重曹小さじ1を目安にしましょう。それ以上、濃くしても、効果が上がるわけではありません。
重曹スプレーが沈殿したら水で薄めましょう。また、目詰まりは重曹が再結晶化したものなので、水で洗い流すか、酢水で中和して解消することができます」
重曹水をむやみに濃くしても使いづらくなるだけ。適切な濃度で保管、活用しましょう。
消臭剤として使った重曹は再利用できる?最後は生ゴミの臭い消しに活躍!
null重曹はトイレや玄関などにおいが気になる場所の消臭にも使え、その効果は2~3カ月程度。においを吸い取った重曹は、掃除に再利用することもできます。たとえば、トイレの消臭に使った重曹をそのままトイレ掃除に再利用すると効率的です。
ただ、においを吸い取ったものを再利用するのは何となく抵抗があるという人もいるかもしれませんね。岩尾さんにおすすめの使い道を教えてもらいました。
「においを吸い取った重曹は、最後のお役目として、生ごみに振りかけるという方法もあります。重曹はにおいを吸収するだけでなく、においの元である雑菌の繁殖を遅らせ、においの発生を抑える作用もあるので、ただ振りかけておくだけで、生ごみ臭の解消が可能です」
重曹をただ捨てるのではなく、生ごみに振りかけることで、最後の最後まで働いてくれるんですね!
重曹は掃除だけでなく、洗濯や調理など幅広く使える便利なアイテム。今回の記事をご参考に、適切な保管方法で末永く活用してくださいね。
【監修】
岩尾明子・・・未来型ナチュラル生活研究家。博士(栄養学)。1998年に始まったインターネットサイト「地球に優しいお掃除」を運営する環境NGOクリーン・プラネット・プロジェクト代表。衣食住における楽で自然な最新の情報をテレビ、雑誌、ネットなど多方面で発信している。
【参考】
岩尾明子(2021)『重曹&お酢 ガンコな汚れもつるんと落ちる!ナチュラルクリーニング』(日東書院本社)