






辛かったら、頑張る自分をやめてみてもいい
null愛する子どもが巣立っていき、心にぽっかり空白ができたところにやってきた心身の不調。仕事は看護師で体力勝負。さらにマイペースな夫は、辛い時に寄り添ってくれない。そんなはるみさんが奮闘する様子はもう他人ごとではなく、読みながら胸がキュウッとなったり、ウルッとしたり……。思わず「頑張れ! はるみさん!」と応援している自分がいました。
著者の原さんも、はるみさんのことはとても印象に残っていると話してくれました。
「自分のリズムが崩されるのは、実はとてもストレスですよね。さらに不調が加わって、イライラするのはなおさら。夫が自分より先に帰宅すると、私もソワソワしてしまいます。毎日何かに追いかけられ、小さいモヤモヤがずっと溜まっていく……このささいなストレスが積もり積もっていく様子に共感してしまいました」(以下「」内、原さん)
はるみさんは54歳で20年間勤めた病院を退職して、障害のある人のデイサービスという、まったく新しい仕事に挑戦します。54歳で新しいことに挑戦するのって、本当に勇気がいるし、怖いことでもありますよね。それでも思い切って、はるみさんはやめることを選びました。
「はるみさんのように、自分で切り替えたり、やめてみたり、諦めてみたり……そうすることで新しいやり方を見つけていく。10年以上通っていたエステをやめて、毎朝の保湿パックにしたり、眠かったらソファで寝ちゃったり、やめることで見えてくる心地よさもある。私たちの年齢って、時には頑張りすぎなくてもいい。そういうことも大事だよねと、気持ちがラクになりました」
辛かったら、頑張る自分をやめてみてもいい。精神的ストレスから解放され、軽やかに毎日を笑顔で過ごすはるみさんに、私も勇気をもらいました。
更年期は一生続かない! いつか必ず抜けるから!
nullそして、はるみさんの最後の叫びにあったように、「更年期は一生続かない。絶対抜ける」ということに取材を通じて気付かされたと、原さんは笑顔を浮かべました。
「監修の関口由紀先生は、“とにかく振り回される時期はあるかもしれないけど、抜けたら女性ホルモンの影響を受けない超ハッピーな人生が待っているから!”と明るく軽やかに話していました。
今回取材した9名の方々も、実はみなさん、更年期を抜けた後に当時の体験談を話してもらったんです。印象的だったのは、“今は抜けたから大丈夫!”と、みなさん笑顔で話してくれたこと。更年期の渦中にいる時は本当に辛かったけど、その時間を乗り越えて、自分らしく、とっても素敵に豊かな人生を歩んでいる。だから“絶対大丈夫だよ!”と背中を叩かれた思いです。
関口先生にも、いざという時に振り回されないために、”今から自分の体や心に耳を傾け、適度に運動して、よく寝る。当たり前のことをして備えておきましょう”と言われました。無理して頑張りすぎるのではなく、甘やかすところは甘やかして、しんどい時は寝ちゃってもいい。備えるのは今からでもできるから、みんなで頑張っていきましょう!」
今まで長い付き合いだった生理とも、いつかサヨナラする日がやってくる。その日を迎えるために、今から自分の体と心と向き合っておきたいですね。
原さんの書籍を通じて、この9人の女性たち(私は特に、不調をあまり感じなかったきよこさん・66歳のエピソードが好きでした!)に出会えたことで、心がとても軽くなりました。なんだか良い友達に出会えたような読後感。気になる人は、ぜひ手に取ってみてください。
取材・文/岸綾香
【参考書籍】

『私の生理のしまい方』(KADOKAWA)
著/原あいみ 監修/関口由紀 1,540円(税込)
イラストレーター・原あいみさんが、閉経前後にバランスを崩した女性たちを取材し、40代からの女性の不調にまつわる体験談をマンガ化。女性医療クリニック関口由紀先生監修の不調に寄り添う医療コラムも。等身大の女性たちのリアルすぎる体験談を通じて、心と体の向き合い方のヒントをきっともらえるはずです。