子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

夏の水分補給、熱中症対策のベストな飲み物はこれ!麦茶、水、スポーツドリンク…それぞれのメリットは?【夏の飲み物、どう選ぶ?#2】

例年、厳しい暑さが続く夏。大人も子供も、熱中症対策が欠かせません。

そこで、管理栄養士のFUKAさんが、熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院の十河剛先生に「熱中症にならないための飲み物の選び方」について取材。シリーズ【夏の飲み物、どう選ぶ?】として、全3回でお届けします。

第2回の今回は、「結局どんな時に何を飲んだらいいの?」という気になる疑問にお答え! 熱中症対策になる飲み物の選び方について取り上げます。

ポイントは「いつ飲むか」!大人の水分補給だけでなく、子供についても聞きました

null

こんにちは。管理栄養士のFUKAです。暑い日が続いていますが、皆さま、熱中症対策はしていますか?

シリーズ【夏の飲み物、どう選ぶ?】、前回の記事では「麦茶の熱中症対策効果」について取り上げました。そのなかで登場した熱中症対策のポイントとして、特に重要だったのは「水分と塩分を同時に摂るのが大切」ということ。

そこで今回は、麦茶以外の飲み物に視野を広げて、シチュエーションごとにおすすめの飲み物と、その飲み方の注意点を見ていきます。教えてくださるのは前回に引き続き、熱中症の専門家・十河剛先生です。

十河先生、よろしくお願いします。

「よろしくお願いします。早速ですが、シチュエーションごとのおすすめの飲み物について、まずはこちらの表を見ていただきましょう。

日常生活では水やお茶類、運動前・運動中・運動後は経口補水液やスポーツドリンク、熱中症になったときは経口補水液を特におすすめします」(以下()内、十河先生)

※十河先生への取材を元に編集部が作成

日常生活:「水・麦茶・緑茶・紅茶」などがおすすめ。飲みやすいものでしっかり水分補給!

null

日常生活では水やお茶類がおすすめとのことですが、塩分は摂らなくてよいのでしょうか?

「はい。運動をせずに室内で過ごすような場合については、汗をかかなければ体から塩分がほとんど出ていかないので、3食の食事から摂取できる塩分で十分に足ります。水分補給は、塩分の入っていない水やお茶類で問題ありません。

子供の場合でも同様で、汗をかかないような過ごし方であれば、幼稚園や保育園に持って行くのは水や麦茶などでOKです」

汗をかくか、かかないかが飲み物選びの基準になるんですね。緑茶や紅茶はカフェインが気になるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

「緑茶や紅茶に含まれるカフェインには利尿作用がありますが、そこまで強いものではないので、大人は1日にペットボトル1~2本程度であればほとんど影響はありません。

ただし妊婦さんや乳幼児、体質的にカフェインが合わない人の場合はその限りではありません。厚生労働省の指針なども参考にして、十分に気をつけるようにしてください」

運動前:体のなかの水分を、事前にしっかり整えて熱中症予防!塩分補給をしておくのも◎

null

続いて、運動前におすすめの飲み物について詳しく教えてください。

「まだ汗をかいていないなら、水や麦茶など塩分の入っていないものでもOKです。ただし、体の中の水分が足りていない状態からスタートすると熱中症の危険性が高まるので、少なくとも必要分まで補給しておく必要があります」

必要な量はどのくらいなんでしょうか?

「必要分=尿がある程度出るくらい、というのが1つの目安です。運動中も、トイレに時々行きたくなるくらいの水分を摂るのが良いでしょう」

私自身、思い返してみると運動中にトイレに行くことがほとんどありませんでした。思った以上に水分は必要なんですね! では、水や麦茶以上に経口補水液・スポーツドリンクがおすすめなのはなぜでしょうか?

「ナトリウムが含まれているものを運動前に摂取し、血液中のナトリウムが十分ある状態にしておくことで、体のなかに水分を保持してくれる効果があります。水や麦茶などと一緒に塩分を摂取するのも効果的ですし、普段の食事からの塩分摂取も同じく重要です」

たくさん汗をかきそうな夏の運動前は、あらかじめ塩分と水分を体にチャージしておくとなお安心ですね!

運動中・運動後:「経口補水液・スポーツドリンク」で失った塩分を補給

null

それでは熱中症リスクの高い運動中・運動後についてはいかがでしょうか。

「体育や遠足などの汗をかく時は、経口補水液・スポーツドリンクがおすすめです。

経口補水液は塩分が多め、糖分は少なめで、体に一番吸収されやすい組成で作られています。スポーツドリンクは、経口補水液と比べて塩分少なめ、糖分多めです。甘くて飲みやすいですが、飲みすぎによる糖質の過剰摂取に注意が必要です。

どちらも熱中症対策としては有効ですが、運動中に失われる塩分量を考慮すると、よりしっかりナトリウムが補給できる経口補水液が特におすすめです。

また、飲み物は水やお茶類でも、梅干しなどで塩分を摂取することで同様の効果が得られます」

前回の記事で、夏場の激しい運動時は、1時間に梅干し1個分ほどの塩分補給が必要とうかがいました。経口補水液などであれば、その分の塩分を一緒に摂取できるということですね。

「はい、大切なのは汗で失われた水分・塩分を、その分しっかり補給してあげることです。そのためには、汗をかいたらこまめに水分を摂ることが欠かせません。夏場に激しい運動をするなら、1時間につき、最低でも500mlペットボトル1本分は飲むようにしましょう。

マラソンなど長時間の運動の場合、国際陸上競技連盟では、スポーツドリンクに塩をひとつまみ足したくらいの経口補水液に近い塩分濃度のものを推奨していて、これも熱中症対策として効果が期待できます」

塩分が足りないと水中毒になる危険も…

これまで水分と塩分を一緒に摂るのが正解というお話を伺ってきましたが、仮に水分のみ大量に飲んだ場合、どんなことが起こるのでしょうか。

「塩分を摂らずに急激に水分だけを摂取すると、急激に血液中のナトリウム濃度が下がることで低ナトリウム血症、いわゆる水中毒になり、めまいや頭痛、吐き気、意識障害が出ることもあります。

室内などでの日常生活であれば、水分を摂り過ぎて水中毒になるケースはほとんどありませんが、運動後のナトリウムが減っている状態ではしばしば見られる症状ですので注意が必要です。

また、汗を多量にかいている時や嘔吐している時も同様に、水や麦茶などを急激に摂取するのは避け、体の中に水分を保持してくれる塩分と一緒に補給することが大切です」

水分だけを摂ると逆効果になる場合もあるなんて、驚きです。

激しい運動をしなくても、汗をかくなら塩分補給を

激しい運動ではなく、通勤中や外回りなどで汗をかくような場合でも、経口補水液やスポーツドリンクが必要なのでしょうか。

「普段摂っているナトリウムの量にもよりますが、外回りが多い人などは、運動をしていなくても汗をたくさんかくと思います。その場合は食事以外でもしっかり塩分を補給してあげると良いでしょう。

通勤でちょっと汗をかくくらいなら、普段の食事からの塩分補給で足りる場合もありますが、特に暑くなりはじめの時期などは、思いがけないタイミングで熱中症になってしまうことも。経口補水液や梅干しなどを意識的に摂って、しっかり塩分を補給するようにしましょう

なるほど。特に大人の場合、塩分の摂り過ぎが気になる人もいると思いますが、熱中症対策の面から考えると、ある程度の量を(自分の体調や活動レベルに合わせて)摂取できるように調整が必要ですね。

熱中症になったとき:体内に吸収されやすい「経口補水液」がベスト!

null

では、実際に熱中症になってしまったときはどうですか?

「経口補水液を飲みましょう。熱中症の症状としては、めまい、頭痛、足がつる、体温が高くなる、下痢をするといった症状があります。

そういった症状が出てからでは、スポーツドリンクでは塩分が足りません。経口補水液は小腸からの吸収が一番効率的にできる組成でつくられているため、スポーツドリンクよりも素早く体に水分を届けることができます」

なるほど。もしもの時に備えて、普段から経口補水液を準備しておくと良さそうですね。経口補水液は、どんなものを買うと良いでしょうか?

「熱中症に適した病者用食品として、消費者庁の特別用途食品に認定されているものに『大塚製薬』の『OS1』や、『五洲製薬』の『G-OS』があります。一般的なコンビニなどでは販売されていませんが、薬局やドラッグストア、オンライン販売などで購入できます。

他の類似商品では効果がない、というわけではありませんが、商品によって成分などが異なるので、特別用途食品のものを選ぶのをおすすめします」

「ジュース」「コーヒー」「牛乳」などは、飲み過ぎに注意

null

それ以外の飲み物で、ジュース、コーヒー、牛乳などについてはいかがでしょうか。これまでのお話から、どれも塩分は入っていないので、熱中症対策には向かない気がしていますが……。

「その通りです。ジュース、コーヒー、牛乳は熱中症対策としては効果が期待できません。

特に子供は糖分の摂りすぎに注意が必要です。夏に清涼飲料水をがぶ飲みして、糖分を処理しきれずに糖尿病になるいわゆる“ペットボトル症候群”や、肥満の原因になったりもするので、ジュース類は適量にとどめましょう。

コーヒーについても、カフェインの摂り過ぎなどに繋がるため飲み過ぎは禁物。熱中症対策には向きません」

牛乳が熱中症対策に良いという話を聞いたことがあるのですが、それについてはいかがでしょうか。

「直接的な科学的根拠はありません。牛乳は水やお茶と比べてカロリーが高く、飲み過ぎは便秘の原因にもなります。1日にコップ1~2杯程度であれば問題はありませんし、過度に控える必要はないものの、水分の補給源としてたくさん飲むのはおすすめしません」

十河先生、ありがとうございました! 熱中症対策には、活動量に合った水分や塩分を、適切なタイミングで補給することが大切なんですね。なんとなくのイメージや聞いた話をうのみにせず「熱中症対策には水分と塩分!」を合言葉に、今年の夏も乗り切りたいと思います。

全3回のシリーズも、次で最終回。「子供の熱中症対策」をテーマに、意外な落とし穴やよくある勘違いなどについて伺います。それぞれの記事を読むことで、より熱中症への理解が深まるので、次回もぜひ読んでくださいね。

 

【参考文献】
・厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
(最終参照日:2023/07/19)


 

十河 剛(そごう つよし)

済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 部長。肝臓、消化器、スポーツ医学を専門とする。「Best Doctors in Japan 2022-2023」に選出、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
幼少時より武道の修行を続けており、躰道七段教士、合気道二段、剣道二段の資格を持つ。高校生と大学生、2人のお子さんのパパ。

FUKA
FUKA

家族が笑顔になれる 【幸せおうちごはん】のレシピを紹介する管理栄養士/料理家。簡単だけど、美味しくてちょっとおしゃれなレシピが大人気。

公式Instagram:【管理栄養士】FUKAの褒められおうちごはん @morifu_popo

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
連載・特集