個人差はありますが、50歳前後に女性に訪れる更年期。卵巣の機能が低下することで、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、ホルモンのバランスが崩れた状況をいいます。とくに閉経の前後2年はこの変動が激しく、更年期の不調がピークになるそうです。
不安感、イライラ、落ち込みなどの精神的な症状だけでなく、ホットフラッシュ、頭痛、寝汗などの身体的な症状。また、肩こり、腰痛、下痢、便秘といった日常的に起こっていた症状がさらに酷くなる人もいます。
すべての女性に重たい症状が出るわけではなく、さまざまな症状に気づかずにその時期を過ごす人がいる一方、日常生活が送れないほどに深刻な症状が出る人も。その原因のひとつには、心身ともにストレスの多い環境であったり、性格的なものが大きいとも言われています。
今回、『kufura』では、40〜60代の女性167人に更年期についてアンケートを実施。現状、更年期を迎えている人も、これから迎える人にも参考になる「リアルな声」をお届けします。
なぜか無性にイライラする。それは更年期のせいかも?
null「もしやこれは更年期では?」と感じた症状の中で1番多かったのが「イライラする」でした。とくに理由はないけれど「イライラする」は、女性なら多くの人が経験したことがあるかと思います。生理前のPMS(月経前症候群)の時期にイライラすることがあっても、それが頻発するのは更年期症状のひとつかもしれません。
Q あなた自身に起きている「もしやこれは更年期では?」と思う症状は?
1位 イライラする 31.7%
2位 ホットフラッシュ 28.1%
3位 肩こり 22.2%
4位 めまい 20.4%
5位 疲れ目 19.2%
症状があるものについては複数回答していただきましたが、1〜5位すべて当てはまる人もいました。イライラするだけでも辛いのに、それにプラスされて症状が出るなんて想像するだけで壮絶。しかし、更年期ということを周りがすぐに理解してくれるわけではないので、「ただイライラしている人」、「やたらと汗をかいている人」と間違った認識をされて、さらに苦しい思いをしているとの意見もありました。
ただ「更年期ではと思う症状がない」と答えた人も22.8%いたので、やはりすべての人が悩まされているわけではないようです。
不眠、めまい、ホットフラッシュ。突然やってくる不調の嵐
null症状が出ている方に「とくに困っていること」を伺いました。更年期症状の出方は、年齢でも違いがあるようです。
「やる気が出ない。出かける計画をしても体がついていかない」(56歳女性/その他)
「何をしていても、いろんなことを考えてしまい、すぐにイライラします」(40歳女性/主婦)
「イライラが急にやってきたかと思うと、ホットフラッシュも急にきます」(60歳女性/主婦)
「寝ても疲れが取れないから、仕事でミスすることが増えている気がします……」(46歳女性/営業・販売)
「寝ても寝ても疲れが取れません」(57歳女性/その他)
「電車や人混みで立ちくらみや吐き気が起こるようになりました」(41歳女性/総務・人事・事務)
「熟睡ができず、疲れが取れないので、日中もダルい。思うように行動ができずにイライラが止まりません」(48歳女性/その他)
「夜のトイレが近く、眠りも浅いのでぐっすり寝た気がしません。そのせいで体がダルく、頭痛もします」(69歳女性/主婦)
「何もやる気が起きず、夢中になっていた洋裁もやりたくなくなりました」(62歳女性/主婦)
「感情の起伏が抑えられません」(48歳女性/研究・開発)
「どこでもすぐホットフラッシュが起こるので、恥ずかしいです」(59歳女性/主婦)
50歳前後で起こると言われている更年期ですが、40代前半でもすでに症状が出ている人も多く、その状態が70歳近くなっても続いている人もいる様子。ホルモンバランスは個人差が大きいので、適齢だから必ずというわけではないのも、困っていることにあげられていました。
みなさんのリアルな声を聞くと「絶好調!」と思える日が少なく、症状が軽い日でも「なんとなく不調」と感じているようです。1日中イライラで疲れ果てているのに、夜は眠れず……。やっと寝られても眠りが浅い。この負のループのせいで、更年期症状以上に自分を追い詰めてしまっているのかもしれません。
更年期の対象法を知らない人が多い!?
null更年期の症状が出ていても、「対処をしていない」と答えた人が58.9%も! みなさん、辛いとは思っていても「加齢による自然現象だから仕方ない」と何もせずにその症状と戦っているようです。
対処をしていると答えた人の方法は以下。
漢方薬、市販薬を飲んでいる 8.5%
専門医に時折診てもらっている 7%
厚生労働省が2022年に発表した女性2,409人に聞いた「更年期症状・障害に関する意識調査」(※)によると、更年期症状を自覚していても専門医を「受診していない」と答えた割合が40歳代で 81.7%、50歳代で 78.9%の結果に。
「辛い」と明確にわかっていても「病院を受診するほどではない……」と捉えている人が多く、更年期症状を抱えながら日々苦しい生活を送っていることがわかりました。
「更年期で」と言いづらい環境にあり、気軽に不調を伝えられないとの声も多く聞こえてきました。市販薬などに頼るのもいいですが、1人で解決しようとせず、友人や家族に相談。そして専門医へ相談をして、治療をするのが解決の1番の近道です。
負のループから抜け出せなくなる前に、医療機関を頼ってみても良さそうです。また、更年期に向けて40代前半から、規則正しい生活や正しい知識を身に着けておくのもいいかもしれません。
※参考文献:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」
山形県出身在住。一児の母。出産を機に2020年に東京からUターン。アウトドアとエンタメを得意とするライター。雑誌やWEBメディアに携わる。