猫のしぐさ「ふみふみ」→安心して甘えている
null猫のふみふみとは?

猫が前足でやわらかいものを押す「ふみふみ」は、子猫が母猫のおっぱいを前足で押すことで母乳を出やすくするため
離乳して成長するに従って見られなくなりますが、家庭で暮らしている猫は飼い主さんという甘えられる存在がいるので、子猫の気分が抜けず成猫になってもふみふみをします。成長した犬ではほとんど見られない、猫ならではの行動です。
ふみふみしているときの気持ちは?

ふみふみの対象は、母猫のおっぱいのようなやわらかい触り心地のもの。たとえば飼い主さんのおなか、クッションやぬいぐるみなどにふみふみします。安心して甘えている証拠で、ふみふみしているうちにウトウトしてきて眠ってしまうこともあります。どちらかといえばやわらかみのある女性にふみふみすることが多いですね。
ふみふみする猫としない猫の違いは?

もとは授乳をうながす行動なので子猫のほうがよくふみふみをします。離乳前に母猫と引き離された猫は成長してもふみふみをしやすく、私の主観ではメスより甘えん坊の傾向があるオスによく見られます。
きちんと離乳して自立した猫はあまりふみふみをしない傾向があります。ふみふみしなくても、飼い主さんへの愛情が薄いわけではないので心配しないでくださいね。
私の愛猫のビビリン(メス)はふみふみをしませんが、かすかにコロコロとのどを鳴らしてくれたり「なでて」とニャーニャー鳴いたりして、別の表現で甘えてくれるので寂しいと思ったことはありません。
ふみふみをしてほしいと思ったら?

ふわふわしたクッションや服を用意してみてはどうでしょうか? もしかしたら猫がふみふみしたくなる気持ちをくすぐるかもしれません。
愛猫のボンズも私がふわふわしたフリースジャケットを着たときにふみふみを始めます。ちょっと爪を立てるので洋服が毛羽立ってしまうため、ふみふみ専用の服にしています(笑)
【にゃんポイントアドバイス】
実はストレスや不安を落ち着かせるためにふみふみをする猫もいます。いつもと違う行動は心身の不調のサインと考えて、特にウールサッキング(ウールなどの布製品をおしゃぶりする行動)も同時にしている場合は動物病院に相談しながら対処しましょう。
猫のしぐさ「香箱座り」→まあまあリラックスしている
null猫の香箱座りとは?

猫の香箱座りとは、前足と後ろ足を折りたたんで座り、さらに前足の手首から先を折りたたんで体の下に挟み込んだ姿勢です。日本語では香箱座り、英語ではcatloaf(猫・パン)といわれています。
香箱座りしているときの気持ちは?

香箱座りは後ろ足を床につけて、いつでも動けるような体勢。完全にリラックスしているわけではないけど、まあまあリラックスしているという位置づけです。たとえば、ごはんを待ちながら、その場でウトウトしたいときにちょうどいい体勢なのでしょう。
詳しく読み取るポイントは、そのまま目をつぶってウトウトしている、人間が近づいても動かないといった場合はリラックスの度合いが高いと考えられますが、前足を浮かせていたり体を硬くしていたら、警戒や緊張も感じているのかもしれません。
先日も愛猫のビビリンが私の背中で香箱座りをしていたときに、なでるチャンスと思って触っていたらかまれました(笑)。 意外といつでも動ける体勢なんですよ。
香箱座りをする猫としない猫の違いは?
香箱座りはおとなの猫に多い座り方で、子猫ではあまり見られません。子猫は動いているか寝ているかのどちらかで、まあまあリラックスするときが少ないからでしょう。また、体型によってはしにくい猫がいるかもしれません。リラックスの度合いの高い、横向きやおなかを出した姿勢で寝ているなら、香箱座りをしなくても特に問題はないと思います。
香箱座りをしてほしいと思ったら?

香箱座りをさせるのは難しいですね(笑) 暑い時期よりは寒い時期のほうが香箱座りをしやすいと思いますが、見かけたらラッキーくらいの気持ちでいたほうがいいでしょう。
【にゃんポイントアドバイス】
あまり動かない体勢をとることで、体力を温存していることもあります。いつまでたっても香箱座りの足を崩さない、眠いはずなのに横向きにならない場合は、体調もあわせて確認しましょう。
今回椎木先生が解説した「ふみふみ」「香箱座り」のほかにも、猫のかわいいしぐさはたくさんあります。シリーズ2回目は「イカ耳」と「しっぽブンブン」について。猫好きのみなさん、お楽しみに!

【監修】
椎木 亜都子(しいき あつこ)
獣医師・「往診専門のペット問題行動クリニックBLISS」院長。一般企業の会社員と小学生向けの学習塾の経営を経て、40代で「獣医師になる」という子どものころの夢をかなえる。2017年に往診専門のペット問題行動クリニックBLISSを設立。いろいろな社会経験を生かしながら、犬猫と飼い主の心に寄り添う治療を行う。現在の愛猫はボンズとビビリン。
ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。













