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うちの猫がトイレや風呂についてきます…そのワケは?獣医師が解説。かわいすぎる理由に悶絶!

猫と暮らしていると、不思議な行動を目の当たりにすることがありますよね。飼い主さんたちが日ごろから「なぜ?」と思っている“愛猫の謎行動”についてアンケートを実施。その中から、今回4つの行動(1)お風呂についてくる(2)何もない空間を見つめる(3)ダンボールが好き(4)猫語がわからない、について獣医師の椎木亜都子さんが解説します。

謎行動の理由(1)お風呂やトイレについてくる→「開かずの扉が開いた」

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「人がトイレやお風呂に入ろうとしている時に一緒にはいってくるのはなぜ?」(35歳/女性/総務・人事・事務)

「風呂場やトイレについてくる」(55歳/男性/その他)

好奇心旺盛なタイプの猫は、いつも閉まっているトイレやお風呂のドアの奥に興味津々。人についていけば開かずの扉が開き、普段は行かれないところを探索できると思っているのでは? 同じ理由で、クローゼットや押入れに入りたがる猫もいますよね。また、飼い主さんのことが大好きだからどこへでもついていくことも考えられます。

【にゃんポイントアドバイス】

微笑ましいエピソードですが、猫を閉じ込めてしまう事故には注意が必要です。猫がバスタブに落ちて溺れたり、熱中症を起こしたりする危険があるので、探索は飼い主さんの目が届くときに留めましょう。

「水に濡れるのが苦手なのに、お風呂についてくるのはなぜ? しかもバスタブのふちギリギリに座って、しっぽが濡れるとへこんでいる」(44歳/女性/主婦)

「風呂に入っていると湯船のふちに乗ってくることがあった」(82歳/男性/その他)

警戒心が強い猫はバスタブに近寄りませんが、好奇心旺盛な猫はギリギリまでチャレンジします。私の愛猫もバスタブに落ちてもめげません(笑) 若くてやんちゃなオスは好奇心が強いタイプが多いと思います。

【にゃんポイントアドバイス】

猫の飲み水の温度はぬるま湯(3040度)が適温なので、バスタブのお湯を飲むためにチャレンジしているケースもあるかもしれません。猫が無理をしなくてもぬるま湯を飲めるように、部屋に置く飲み水を人肌に温めましょう。

謎行動の理由(2)何もない空間を見つめる→「幽霊ではなくゴキブリを発見!?」

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「壁の隅っこや天井の辺りをじっと見つめている事があって、私には何も見えないので不思議だし少し不気味です」(43歳/女性/その他)

「壁をじっと見ていることがよくあります。幽霊がいるのかなと思います」(45歳/男性/その他)

猫の視力は0.040.3程度と、かなりの近視ですが、動体視力は人間の約10倍ともいわれています。人間には見えないくらい小さな虫が飛んでいたのかもしれません。実際に飼い主さんから「何もない天井を見つめる。脳の病気かもしれない」と相談されたのですが、数日後に「ゴキブリでした」と連絡がありました(笑)

「人間には見えないものが見えるのか、突然毛を逆立てるときがあること」(46歳/女性/その他)

猫には紫外線が見えていることもわかりつつあり、人に見えない何かが見えているとしたら紫外線の可能性もあります。

【にゃんポイントアドバイス】

気が済めば見つめるのをやめるので、そっとしておきましょう。コミュニケーションのひとつとして一緒に気になるものを探してあげてもいいですね。ただし、猫が集中しているときに驚かせると八つ当たり(転嫁性攻撃行動)されることも。やめさせたいときには、ちょっと離れたところから声をかけるくらいにしてください。

謎行動の理由(3)ダンボールが大好き→「暖かくてお気に入りの隠れ家」

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Amazonのダンボールにだけは毎回必ず入るのはなぜ?」(30歳/女性/主婦)

「ダンボールなどの狭い場所に入りたがる」(61歳/男性/営業・販売)

「机の引き出しによく入っている」(64歳/男性/営業・販売)

野生時代の猫は狭いところに隠れて外敵から身を守っていました。その習性が現代の猫にも受け継がれ、ダンボールのような狭い箱や場所が安心できるという認識をもっているのでしょう。ダンボールはほのかに暖かいことも理由では? Amazonのダンボールに入る理由は謎ですが、厚みや形がフィットするのかもしれませんね(笑)

【にゃんポイントアドバイス】

ダンボールは上部が空いているので、いざというときに素早く逃げられることも安心感につながっていると思います。保護されるときや動物病院を受診するときに閉じ込められた経験がある猫は、密閉された空間ではパニックを起こすことも少なくありません。ダンボールで寝ているときにフタを閉めるのはやめておきましょう。

「袋を見ると頭をつっこんでくるのはなぜ?」(57歳/男性/学生・フリーター)

袋が小動物の巣穴のように見え、獲物がいるかどうか確認するために頭を突っ込んでいるのでしょう。猫らしい狩猟本能の現れです。

【にゃんポイントアドバイス】

持ち手がついている紙袋やビニール袋には入らせないほうが無難です。持ち手の輪が首に引っかかって取れなくなると、パニック状態で家中を走り回り、けがをしてしまう恐れもあります。袋で遊ばせる場合は、持ち手を切っておいてください。

謎行動の理由(4)猫語がわからない→「ニャーと鳴くのは要求があるとき」

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「意味が分からないタイミングでにゃーにゃー騒ぐ」(35歳/女性/会社経営・役員)

鳴いたことで飼い主さんが注目したりおやつをあげたりしたのではないでしょうか。猫にとって良いことがあれば、学習して繰り返すようになります。

【にゃんポイントアドバイス】

やめさせたい場合は、鳴かれても無反応でいればいつかはあきらめます。ただし5分、10分、20分……と時間がかかるかもしれません。根負けして途中でかまってしまうと、次からは「かまってもらうためには鳴き続けなければいけないんだ」と学習してしまいます。

ただし、体調が悪くて鳴いている場合もあるので、いつもと違うと思ったら、かかりつけの獣医師に相談してください。また、高齢になると不安や認知症などから鳴き続けることもあります。この場合も、一度獣医師に相談してみるといいでしょう。

「名前を呼んだら尻尾で返事をすること。名前、分かってやってたのかなぁ」(42歳/女性/主婦)

寝ているときにわざわざ振り向くのがちょっと面倒くさいのかもしれません(笑) 背中を向けたまま「はいはい」と返事をしているようなものではないでしょうか。

【にゃんポイントアドバイス】

私たちにもそんなときがありますよね。「またあとで」くらいの気持ちでそっとしておきましょう。

「餌を食べるときに見ていて欲しそうにしているのはなぜ? 食器が置いてあるところまでついて行っても、食べる前にこちらが離れると食べない」(58歳/女性/その他)

かなりの甘えん坊タイプです。「ごはんを食べている間に飼い主さんがいなくなってしまうのではないか」とちょっと不安を感じていることも考えられますね。

【にゃんポイントアドバイス】

飼い主さんがいなくなると食欲が落ちてしまう場合は、飼い主さんの存在とは関係なくごはんが出てくる自動給餌器を利用するのも一案です。

「猫の謎行動を読み取るのは難しく、獣医師の私でも間違えることがあります」と椎木先生。鳴き続ける愛猫が心配で付き添っていたら、食器のほうにどんどん誘導されてごはんを催促された……というオチがついたこともあるとか。とはいえ不思議に見える行動にも必ず理由があります。解明することでもっと仲良くなれるかもしれませんね!


【監修】

椎木 亜都子(しいき あつこ)

獣医師・「往診専門のペット問題行動クリニックBLISS」院長。一般企業の会社員と小学生向けの学習塾の経営を経て、40代で「獣医師になる」という子どものころの夢をかなえる。2017年に往診専門のペット問題行動クリニックBLISSを設立。いろいろな社会経験を生かしながら、犬猫と飼い主の心に寄り添う治療を行う。現在の愛猫はボンズとビビリン。

往診専門のペット問題行動クリニックBLISS

金子志緒
金子志緒

ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。

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