謎行動の理由(1)いきなり怒り出す→「今はそういう気分じゃない」
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「近づいて来るから触ろうとすると、触らせてくれないことがある」(42歳/女性/総務・人事・事務)
「甘え過ぎる時とそうでない時のギャップが大きいのは何故?」(69歳/女性/主婦)
飼い主さんに触ってほしかったわけではない可能性が高いですね。ごはんがほしい、遊んでほしい、トイレが汚れている(片付けてほしい)、といった別の要求だったのでしょう。また、もともと触られるのがあまり好きではない猫もいます。
【にゃんポイントアドバイス】
猫が近寄ってきても手を出さず様子を見てみましょう。猫の行動を見ているうちに、してほしいことがわかるかもしれません。もし避けられたり怒られたりすることが頻繁にあるなら、猫がなでさせてくれるときに気持ちよさそうなところを短時間だけなでて終わりにしてみてください。
「ゴロゴロと甘えていたのにふとした瞬間、噛んだり引っ掻いたりする」(53歳/女性/主婦)
これは「猫あるある」の行動です(笑) 最初はなでられて喜んでいたと思いますが、なでる時間が長すぎた、なでてほしいところではなかった、なでる力が少し強かった、といった理由が考えられます。
【にゃんポイントアドバイス】
猫の表情やしぐさをよく見ると、「嫌だな」とサインを出しているはずです。耳をペタンと倒す、瞳孔がパッと開く、体を硬くする、ゴロゴロ音が止まる、といった一瞬の変化を見逃さないようにしましょう。
それぞれの猫にとって許容範囲(閾値・いきち)を超えると、「そうじゃない!」「もうやめて!」と急に機嫌が悪くなることも。また、なでるところも見直してみてください。おなかやしっぽの付け根をなでられるのが好きな猫もいれば嫌がる猫もいます。
「旦那に、もふもふされた後、なぜ八つ当たりが私に来るのか」(41歳/女性/主婦)
おもしろいエピソードですよね(笑) 詳しい状況がわからないので答えるのが難しいのですが、ご主人には我慢して、もふもふされていた鬱憤を、何をしても許してくれる奥様にぶつけているのかもしれません。
【にゃんポイントアドバイス】
人間が大げさなリアクションをするほどおもしろいと思われるので、やめさせたい場合は大きなリアクションをとらず淡々と対応するのも一案です。
子猫のころから人の素手や素足で遊ばせていると、獲物のように狙って容赦なく攻撃してくる場合があります。もし痛いくらいであれば、今からでも遊ぶときに猫じゃらしなどのおもちゃを使いましょう。
謎行動の理由(2)新聞の上でゴロン、パソコン作業を邪魔する→「自分を見て!かまって!」
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「新聞を読んでいると、新聞紙の上に座って邪魔をする」(53歳/女性/総務・人事・事務)
「人間の作業の邪魔をしようとするのは何で?」(38歳/男性/その他)
飼い主さんに注目してほしいという気持ちがあるのだと思います。新聞やテレビ、スマートフォンに夢中になっているとき猫に邪魔されたら、飼い主さんは「やめなさい」と反応せざるを得ませんよね。猫はちゃんとわかっているのです。かまってほしいという気持ちの表れがかわいいじゃないですか。
わが家の愛猫はオンライン会議中にパソコンをのぞき込んでくるので、私ではなく猫の顔がアップで映った状態で進行することもありました(笑) 新聞やパソコンの上は暖かいから居心地がよいということも考えられますね。
【にゃんポイントアドバイス】
やめさせたい場合は、猫がちょっかいを出してきても反応せず、かまわないようにすることです。大事なオンライン会議や集中したい仕事があるときなど、どうしても邪魔をされたくない場合は、その前にたっぷり遊んでエネルギーを発散させることも重要です。それも難しい場合は、猫が入ってこられない別室で作業するようにしましょう。
「外出しようとすると足元にまとわりついてくる」(67歳/男性/その他)
飼い主さんの邪魔をすることでかまってもらえると学習したのかもしれません。詳しい状況がわからないので断言しづらいのですが、エネルギーの発散が足りていないとも考えられます。
【にゃんポイントアドバイス】
家族と楽しく遊んで心身が満たされたあとは、ごはんを食べてゆっくり寝ているはずです。家事や仕事、外出の前におもちゃを使った遊びでコミュニケーションをとってあげるといいでしょう。
謎行動の理由(3)家族の膝やおなかに乗る→「居心地がいい&いつでも逃げられる」
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「いつもはそっけないのに椅子に座ると膝に乗っかってくる」(41歳/男性/その他)
「私がソファに腰掛けるのを見ると、“あっ!行かなきゃ”みたいな様子で、100%の確率で膝に乗って来るから不思議」(68歳/女性/主婦)
抱っこは苦手だけど、膝の上に乗るのが好きな猫はたくさんいます。考えられる理由として、一つは人の膝の上は柔らかく暖かいので、猫にとって座り心地がいいこと。もう一つは、拘束される抱っこは嫌だけれど、膝の上ならいつでも逃げられる状態でなでてもらえること。心地よく安心できる場所だからでしょう。
【にゃんポイントアドバイス】
女性のほうが猫に好かれやすいといわれますが、家族の中では意外と男性のほうが懐かれていると思います。女性は猫へのスキンシップが長くなりがちで、爪切りなどの猫のケアをすることも多いからではないでしょうか? わが家の猫も私が近づいたときに「何かされるのではないか」と身構えることもあります(笑)
「寝ているときに体の上に乗ってくること。布団の中のほうが温かくていいと思うのだが」(43歳/女性/主婦)
布団よりも飼い主さんの温もりや乗り心地が好きで、くっついて安心感を得たいのかも。また、布団の中は逃げ場がないので好まないのかもしれません。
【にゃんポイントアドバイス】
私の愛猫は布をかぶせられて捕獲された経験から布団の中にはなかなか入りたがらず、数年越しで入るようになってからも、すぐ逃げられるように頭を出して寝ています。猫は自分で安心できる場所を見つけるので、見守ってあげてください。
「子猫時代、朝必ず私のベッドにやって来て、眠る私の顔の上で遊んでいたのは何故? 振り払っても振り払っても顔の上に……」(66歳/女性/その他)
子猫とのじゃれ合いを楽しみながら、「やめなさーい!」と振り払っていたのではないでしょうか? 飼い主さんの反応がおもしろくて、エスカレートしていったのだと思います。やんちゃな年ごろならではの行動なので、成猫になった今は収まっているのでは?
【にゃんポイントアドバイス】
顔にくっついてくるようであれば、大好きな人に話しかけられたり寝息を感じたりしていたい甘えん坊タイプ。飼い主さんが苦しくない程度に寄り添ってあげてもいいと思います。
「猫は人間を手玉に取るのがうまいので感心しています」と笑う椎木先生。飼い主さんのほうがご機嫌をとりたくなってしまうことも猫の魅力ではないでしょうか。猫は感情表現がわかりづらいと思われがちですが、じつは耳、目、口といった顔の変化やしっぽの動きや太さ、しぐさで気持ちを表す動物。愛猫をもっと理解するために、謎行動を解明してみましょう!

【監修】
椎木 亜都子(しいき あつこ)
獣医師・「往診専門のペット問題行動クリニックBLISS」院長。一般企業の会社員と小学生向けの学習塾の経営を経て、40代で「獣医師になる」という子どものころの夢をかなえる。2017年に往診専門のペット問題行動クリニックBLISSを設立。いろいろな社会経験を生かしながら、犬猫と飼い主の心に寄り添う治療を行う。現在の愛猫はボンズとビビリン。

ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。