子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「孫育て」はどこまで関わる?孫のケアを断りたいのはどんなとき?祖父母に聞いた

実家・義実家に育児のサポーターの役割を期待している子育て世代は少なくありません。孫と過ごす時間を楽しみにしている祖父母世代もいることでしょう。

「子育てをサポートして欲しい父母」と、「サポートをしたい祖父母」の思いが一致すれば、両者の満足度が高くなるケースもありますが、必ずしもそんなケースばかりではありません。

『kufura』編集部は継続的に祖父母からの声を収集していますが、しばしば「子育てが終わったら、孫育てをしなければならないなんて」「孫ケアの負担が大きい」といった声も見受けられます。家族だからこそ相手の善意に甘えたり、サポートを期待しすぎる関係になっているケースがあるのかもしれません。

とはいえ、日常的に孫のケアを担う祖父母にとって「孫のケアができない」「したくない」と感じる日もあるようです。

今回は、孫のいる男女に、どんなときに孫のケアを断ったのか聞いてみました。

「孫育て」に関わる祖父母が断った背景は?

null

今回『kufura』編集部のアンケートにご協力いただいたのは、20歳以下の孫を持つ男女288人。

過去から現在にかけて、孫の育児にどの程度関わっている(関わっていた)のか、3つの選択肢の中から回答してもらいました。

【孫の育児にどのくらい関わっているか(回答者:孫のいる男女)】
よく関わっている(関わっていた)・・・36人(12.5%)
少し関わっている(関わっていた)・・・93人(32.3%)
ほとんど関わっていない・・・159人(55.2%)

今回のアンケートでは、288人中129人(44.8%)の男女が孫のケアに関わっていました。

そのうち、35人(27.1%)の男女が、「孫のケアを頼まれて断った経験がある」と回答しています。

断ったシチュエーションについて、以下の4つが寄せられました。

1:体のコンディションが万全でないとき

null

孫の面倒を断ったシチュエーションとして最も多かったのが、自身の体調に関する回答でした。

「息子夫婦は2人で買い物に行きたいときに子どもを連れてくる。自分の体調が悪いときは断る。体力がない」(61歳・主婦/女性)

「身体の自由が効かなくなって、体調不良を理由として面倒見を断ることがある」(71歳・その他/男性)

「自分の体調がとても悪かったとき」(61歳・主婦/女性)

「息子夫婦は共稼ぎで、幼稚園の迎えを頼まれたり、孫の体調が悪いとき病院に連れていくのを頼まれたりしている。私も高齢なので、病院通いが多く、体調が悪いときが多く、引き受けられないことも多い」(83歳・その他/男性)

風邪や病気、体の痛みや体力の低下など、さまざまな回答がありました。子育て世代と比較して祖父母世代のほうが体調面で何かの問題を抱えやすいのは、きわめて自然なことです。

回答者は小さな子どもを安全にケアするための体力がない、と感じたときには孫育てを断っていました。

2:負担感が大きいと感じたとき

null

四六時中、子どもを見守ったり、要求に応え続けるのはどんな世代にとってもかなりの重労働です。責任の重い役割を長時間担う自信がない日には断っているケースもありました。

「孫が公園でキャッチボールやサッカーをしたいとよく誘われた。年齢的に走ったり投げたりすることはできず度々断ることが多くなった」(76歳・その他/男性)

「息子夫婦が共稼ぎです。孫が小さいころは、遊ばせていればよかったのですが、ある程度大きくなると面倒見ているのがくたびれてきました」(77歳・その他/男性)

「ケガをさせないか毎日ハラハラしているとき」(52歳・その他/女性)

孫とのコミュニケーションを楽しめる日がある一方で、その日のコンディションによっては活発に動くようになった孫と思い切り遊んだり、見守り続けることが“しんどい”と感じる日もあるようです。

3:決まった予定があるとき

null

仕事や自分の用事があるときには、孫のケアを断っているという声です。

「自分の変えられない予定がかぶったとき」(72歳・主婦/女性)

「現在、期限つきで孫と同居中。保育園の送迎や家事をしているが、用事があるときのみ送迎を断ってる」(71歳・その他/男性)

「友達とのランチの約束のために孫の世話を断った」(73歳・主婦/女性)

「仕事の段取りを理由に断った」(68歳・公務員/男性)

祖父母のもとに頻繁に“孫育て”のサポート要請が来る場合、全てを引き受けた場合の負担感はかなりのもの。以前『kufura』が子育て世代と祖父母世代に実施したアンケートでは少数ながら「祖父母のサポートなしには生活がまわらない」ことを実感しているケースも見受けられました。

惜しみないサポートをしている場合、互いの生活のボーダーラインがあいまいにならないよう、サポートの重要度に応じて祖父母が自分の時間を優先することも大切なのかもしれません。

4:自分の時間を大切にしたいとき

null

あまり気乗りしないときや、「今預かったら無理をしてしまう」と感じるときに、断っているケースもありました。

「基本子育ては息子夫婦がするべきと思うから無理はしない」(71歳・主婦/女性)

「ひとりになれる時間が必要なとき」(72歳・その他/男性)

近居・同居の場合、自分たちの生活と子・孫の生活の間にある程度の距離感を意識的に設けているケースもありました。

 

今回は、祖父母世代が孫の面倒を見られないときの理由についてお届けしました。

子育て中の家庭をサポートをしてくれる祖父母は、心強い存在です。とはいえ、体力的な理由などから、子育て中の父母より祖父母が感じる育児負担のほうが大きくなるケースもあるようです。

祖父母世代と子育て世代が簡単に会える距離に暮らしている場合、互いの生活リズムを配慮しつつ、ちょうどいい距離感を探っていけるといいですね。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載