印象派を多数所蔵! 国内の「2つの美術館」共同企画
null『ポーラ美術館』は、神奈川県箱根町に2002年に開館しました。化粧品メーカー、ポーラの創業家2代目の鈴木常司が40数年間にわたり収集した西洋絵画や日本の洋画、日本画、ガラス工芸に化粧道具など1万点にものぼるコレクションを展示しています。
なかでも特筆すべきは、19世紀後半にフランスで誕生した「印象派」のコレクション。クロード・モネやトゥールーズ=ロートレック、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・セザンヌなど主要な画家の作品を数多く保有しています。
『ポーラ美術館』の収蔵品たち
そして国内で『ポーラ美術館』と同じように、印象派の優れたコレクションを持っている美術館があります、その名は『ひろしま美術館』。広島銀行創業100周年を記念して、1978年に開館しました。
今回ご紹介する展覧会「印象派、記憶への旅」は、この2館の共同開催なのです。
『ひろしま美術館』の収蔵品たち
じつは、2002年に『ポーラ美術館』が開館したとき、共通点の多い『ひろしま美術館』から「なにかを一緒にやりましょう」との申し出があったそう。時間が経ちましたが、2019年になってようやく実現の運びとなりました。
奇跡的光景! 同じテーマで描かれた巨匠作品を見比べる
null展覧会は、19世紀前半から活動していたウジェーヌ・ドラクロワ(1798〜1863)やジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796〜1875)などから、アンリ・マティス(1869〜1954)やパブロ・ピカソ(1881〜1973)の時代まで、風景画を中心に、画家たちが都市や郊外、水辺の風景をどのように捉えて表現したのかを見ていくものです。
たとえば、同じ水辺をモチーフとしていてもモネとゴッホでは大きく描き方が違います。
優しい朝やけの光で静かなセーヌ河を描いたモネ。それに対して、希望に燃えてアルルに到着したばかりのゴッホが描いたのは、さんさんと輝く太陽の下を流れるヴィゲラ運河。どちらも同じ水面ですが、雰囲気は全く異なります。
また、異なる画家の作品を見比べるだけではなく、同じ画家の作品を並べて鑑賞するのも楽しいもの。
上記は、さきほど紹介した『ひろしま美術館』が所蔵するモネの『セーヌ川の朝』(左)と、『ポーラ美術館』所蔵のモネの『国会議事堂、バラ色のシンフォニー』(右)を並べて展示したところ。
どちらも両美術館の人気絵画で、アイドルで例えるなら、“センター”的な作品です。この2点が並んでいるだけでも奇跡的な光景!
下記は2点とも、点描画で知られるジョルジュ・スーラ(1859〜1891)の作品。左が『ひろしま美術館』所蔵の『村はずれ』、右が『ポーラ美術館』所蔵の『グランカンの干潮』です。
スーラの油彩画作品は日本では非常に少なく、2点が同じ場所に揃うということはめったにないこと。これも非常に貴重な展示です。
ちなみに、スーラは作品のまわりに点描で枠線を引くそう。
画集やインターネットなどに掲載される小さい画像サイズだと、ほとんど見ることができない部分です。間近で見ると、いろいろな色が使われていることがわかります。
これらのほかにも、ピカソの「青の時代」時期の作品やロートレック(1864〜1901)の作品などが、両美術館からそれぞれ1点ずつ並べて展示されています。
ひとつの展覧会で2つの美術館の名品を見ることができてしまうという、非常に豪華な構成です。
緑輝く美しい遊歩道でリフレッシュ!
null『ポーラ美術館』は、館内にカフェやレストラン、そして敷地内に美しい遊歩道があるのも特徴。緑が美しい遊歩道は、ゆっくり歩いて1時間ほど。気持ちのいい空気をたっぷり楽しめる心地の良い場所で、野外彫刻作品も展示されています。
初夏〜夏のこの時期はとくに緑が美しいので、休日にリフレッシュしたい方にはもってこいですよ!
珍しい印象派の展示を堪能できる『ポーラ美術館』の「印象派、記憶への旅」は2019年7月28日まで。アートと日帰り旅行を一緒に楽しめる箱根に、ぜひ出かけてみて下さい!
【展覧会情報】
「ポーラ美術館xひろしま美術館共同企画 印象派、記憶への旅」
会場:『ポーラ美術館』
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
会期:2019年3月23日(土)~7月28日(日)
開館時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:会期中無休
最寄り駅:JR「小田原駅」、小田急線「小田原駅」「小田急箱根湯本駅」より直通バス「箱根登山鉄道強羅駅」下車後、観光施設めぐりバスにて約13分の『ポーラ美術館』下車
問い合わせ:0460-84-2111