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「ひつじのショーン」クリエイターの新作映画「アーリーマン」を親子で観たい3つの理由

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こんにちは、映画ライターの此花さくやです。

お子さんはどんな映画が好きでしょうか? 10歳になる筆者の息子は、いまや、DCコミックスやマーベルといったスーパーヒーロー映画にすっかり心を奪われているようです。母親としては、もっといろんな作品を親子で楽しみたいのですが……(笑)。

そんな子どもから大人まで、安心して楽しめる1本を発見しました! 7月6日に公開される『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』は、『ひつじのショーン』や『ウォレスとグルミット』シリーズのクリエイターが監督したクレイアニメによるサッカー映画。今回は、ニック・パーク監督に電話でインタビューした内容を盛り込みながら、本作の見所を3つご紹介します。

『アーリーマン~ダグと仲間のキックオフ!~』あらすじ

マンモスがいた頃のむかしむかし。アーリーマン(原始部族)の少年ダグ(声:エディ・レッドメイン)は、ボブナー長老(声:ティモシー・スポール)率いる村の皆と一緒に、小さな谷間で平和に暮らしていました。

しかしある日、ブロンズ・エイジ・シティ(青銅器時代都市)の独裁者ヌース卿(声:トム・ヒドルストン)が大軍を引き連れて、谷間で取れる青銅(ブロンズ)を奪うために村を侵略します。ヌース卿の軍隊に捕まったダグはブロンズ・エイジ・シティに行き、そこで初めて目にしたのは、サッカーと呼ばれるスポーツ。このシティでは、サッカーが崇拝されているのでした。

そこでダグはヌース卿にサッカー試合を申し込みます。もし、村のアーリーマンが勝てば、谷間を返してもらう……。しかし、アーリーマンの皆はサッカーを見たことすらありません。ブロンズ・エイジ・シティに住む天才少女グーナ(声:メイジー・ウィリアムズ)は見かねて、助け船を出します。果たして、アーリーマンは谷間を取り戻すことができるのでしょうか……?

1:現代のサッカー界にかけたジョークが面白い!

アーリーマン(原始部族)の少年ダグ(右)と相棒のホグノグ(左)
© 2017 Studiocanal S.A.S. and the British Film Institute. All Rights Reserved.

ブロンズ・エイジ・シティの最強チームは「レアル・ブロンジオ」。この名前はもちろん、スペインのプロサッカークラブ「レアル・マドリード」を指したもの。「レアル・マドリード」と言えば、世界1、2の資産価値を争うチームで、クリスティアーノ・ロナウドを始め大物選手を獲得していることで有名ですよね。

そんな「レアル・マドリード」を、文明の進んだお金持ちのチーム「レアル・ブロンジオ」に見立てたパーク監督。

「今のサッカー界にも現代社会にも言えることなんですが、お金は人を堕落させてしまうことがあります。本作の主人公ダグはまだナイーブな子どもです。でも、未来への可能性を純粋に信じている。

彼の村の大人たちでさえ、“レアル・ブロンジオに勝てるわけがない”と彼の信念を壊そうとします。でもダグは自分を信じて成長していき、大人たちもダグから学んで成長していきます。自分を信じること、そして、お金では人は団結しないことをサッカーを通して伝えたかったんです」。

2:“異なる肌の色”や“言葉のアクセント”…多様な登場人物が魅力的!

一方、アーリーマンのチーム「アーリーマン・ユナイテッド」はイングランドのプロサッカークラブである「マンチェスター・ユナイテッド」を指しています。興味深いのは「アーリーマン・ユナイテッド」には、様々な肌の色や言葉のアクセントをもった選手や女性の選手が登場すること。

「実際に、現代のイングランドのサッカーチームには、いろいろな国籍や人種の選手がいますよね。映画内では、同じイギリス英語でも、様々な地方のアクセントを話す選手たちからダイバーシティを表現したかった」と語るパーク監督。

ブロンズ・エイジ・シティから「アーリーマン・ユナイテッド」へ助っ人に来るグーナは、サッカーの天才少女なのに、女性だからという理由で「レアル・ブロンジオ」に入れませんでした。ダイバーシティ&インクルージョンや女性差別への問題提起をさり気なく盛り込んでいる点も、本作の見所です。

3:丁寧に手作りされたクレイアニメがキュート!

アーリーマンのチームに助っ人に来たサッカーの天才少女グーナ(右)。無事、谷間を取り戻すことができるのか?
© 2017 Studiocanal S.A.S. and the British Film Institute. All Rights Reserved.

クレイアニメの素晴らしさはその手作り感にあります。パペットが動くたびに揺れる髪の毛からブロンズ・エイジ・シティの建築物の柱まで、制作にどれぐらいの時間がかかったのか、想像もつかないほど繊細で緻密。

「1体のパペットを作るのに8~10週間かかりました。主人公のダグのパペットだけでも18体。1本の木を作るのにも1週間かかったんです。スケッチからデザインを起こして、粘土で作り、そこに様々な資材を付け加え、照明を調節し、それからやっとアニメーションの作業にとりかかれるんです。1日かけても3秒分の撮影しかできなかったこともありました」

3DプリンターやCGを使わず、キャラクターの表情や素肌を粘土で制作した本作からは、作り手の愛情が伝わり、子どもの創造性や想像力を刺激すること間違いないでしょう。

4度のアカデミー賞受賞歴をもつニック・パーク監督は、13歳の頃からアニメを作り続けてきたました。母はドレスメーカーで父はフォトグラファーとクリエイティブな環境で育った監督ですが、ご両親は常に監督の夢をサポートしてくれたのだとか。

「子どもたちには好きなことを突き詰めて、実験してほしいですね。それがキャリアになるかならないか、なんて心配せずに好きなことをただ続けてほしい。私の場合は、子供のころから絵を描くのが好きで、ディズニー映画を観てはそのキャラクターを描いて遊んでいて、それがいまに至るのです。

母が言ってくれたことでとても印象的な言葉があります。“オスカーを取ったことよりも、あなたがオスカーを取っても自惚れなかったことを誇りに思う”と。地に足をつけて生活するように、いつも言われていました」

 

アニメーション界の頂点に立ちながら、穏やかで控えめなニック・パーク監督。『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』からは、そんな監督の優しい情熱がにじみ出ている作品です。

ちなみに、ダグの相棒の豚、ホグノブの声は監督が担当しているので、注目してみて下さいね!

 

【作品情報】

2018年7月6日(金)、TOHOシネマズ 上野ほか全国ロードショー!

「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!

配給:キノフィルムズ

© 2017 Studiocanal S.A.S. and the British Film Institute. All Rights Reserved.

「アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!公式サイト

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