「こんな家事もできないの?」が妻の心を削る理由
null育児中の男性読者のみなさんは、想像してみてください。仕事を終えて、妻と子どもが待つ自宅に帰ったら、部屋が散らかっていたというシチュエーションを。
中にはこんな気持ちになる男性もいるかもしれません。
自分は、妻よりも遅くまで職場で仕事をしてきたのに、妻は「やるべき仕事」を終えていない。そもそも、家事「なんて」大変じゃないんだから、もっとしっかり取り組んでほしい。少なくとも、自分の母親はちゃんとやっていた。
そして、こんな一言が口から飛び出すことがあるかもしれません。
「なんでこんな簡単なこともできないの?」
著者の大野さんは、この一言について、「妻に対して“何もできない”と言っているようなもの」だと述べています。悪気なく妻に発破をかけているつもりでも、言われたほうが「下に見られている」「責められている」と感じる言い方だそう。
「家事」という仕事と、その家事を担う配偶者を二重に見下している表現とも言えます。
「なんでこんな簡単なこともできないの?」はこう言いかえる
null大野さんによれば、妻に「散らかっているままにしたくない」という気持ちを伝えたい場合「なんでできないの?」「なんでやってないの?」と相手を責めるような言葉を使うのは逆効果だそう。
それでは、どんなふうに言いかえたらいいのでしょうか。
相手に求めるだけでなく「自分もこれだったらできる」という姿勢を示す
相手に求めるだけでなく、自分も「これだったらできる」という姿勢を示すことで、「散らかった状態」を2人で解消したいという気持ちが伝わりやすくなるとのことです。
【言いかえ例】
「片付きやすくなる方法を考えてみようか?」
以前『kufura』が育児中の女性へのアンケートをとった際、子どものケアで手一杯で掃除まで行き着かなかったときにササっと部屋を元通りにしていく夫への感謝の声が寄せられていたことがあります。
言葉と行動をセットにすることが求められる場面もあるかもしれませんね。
そんなつもりはなかった…妻に向けた「悪気のない一言」に要注意
null『お父さんのための言いかえ図鑑 家族関係がすっきりポジティブに変わる』は、家庭の中でよくある夫婦の会話のシチュエーションを例にあげながら、お父さんが何気なく口にしてしまいがちなNGワードを紹介する本です。
その言葉を家族がどう受け止め、ひずみを生んでしまうのか、どんなふうに言い換えたら、お互いがもっと気持ちよく会話ができるのかがわかりやすく解説されています。
同著が「この言葉は、相手にどう解釈されるのか」を考えるきっかけになるかもしれません。次回は「夫婦が2人とも疲れているときのコミュニケーション」についてお届けします。
イラスト/かとうとおる
『お父さんのための言いかえ図鑑 家族関係がすっきりポジティブに変わる』(著/大野萌子・笠間書院、1,870円・税込)
家庭内で不適切な発言していませんか!?
言い方ひとつで夫婦・親子のコミュニケーションが楽になる!
累計61万部突破の“言いかえ”著者が贈る、
仕事も家庭も大事にしたいビジネスパーソン必読の会話本。
大野萌子(おおの・もえこ)
公認心理師。2級キャリアコンサルティング技能士。産業カウンセラー。
(一社)日本メンタルアップ支援機構代表理事、企業内カウンセラーとして長年の現場経験を生かし、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント教育を得意とする。官公庁・企業・大学などで講演・研修を6万人以上に実施。シリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)、『10代のうちに知っておきたい言葉と心の切りかえ術 日常の“あの場面”をどう乗りきればいいかを学ぶ、話し方教室』(笠間書院)ほか著書、『世界一受けたい授業』などメディア出演多数。
上記内容は本書刊行時のものです。