『kufura』編集部は、小学生~高校生の子どもがいる男女282人(男性184人・女性98人)にアンケートを実施して、夫婦のどちらがPTA活動を担当しているのか質問しました。
さらに、その選択に至った理由についても聞いてみました。
9割の家庭ではPTA活動を「母親が担当」
nullまず、PTA役員を担ったことがある家庭にPTA活動を誰が担ったか聞いたところ、以下のような結果となりました(ひとり親家庭も含む)。
【PTA活動は父親と母親、どちらが担当した?】
父親・・・10.2%
母親・・・89.8%
約9割が母親負担という結果になっています。
また、1つ気になる点もありました。
今回のアンケートでは、小学校低・中学年の親を中心に「自分の家庭では、まだPTA活動を経験していない」と回答しています。その割合は男性が42.9%、女性が27.6%と、数字のギャップが生じていたのです。
これからご紹介する回答を読み込んでみると「妻がPTA活動を担ったことを夫が知らないケースも含まれているのかもしれない」という仮説が浮き上がってきます。
それでは続いて、PTA活動を「母親が担った理由」「父親が担った理由」についてお届けします。
PTA活動を「母親が担当した理由」
nullPTA活動を「母親が担当した」と回答した人に、その理由についてうかがったところ、5つの回答に分類することができました。
(1)父親の仕事の都合
「夫は仕事でとても無理だから」(女性・44歳・主婦/子・小学3年生・小学6年生・中学3年生)
「夫は平日会社から出られないそうで」(女性・49歳・総務・人事・事務/子・小学3年生)
「仕事の都合で妻が適任だった」(男性・45歳・金融関係/子・中学1年生)
「夫は単身赴任で不在だった。もしいても、そのような面倒な事は妻の役割だと考えている」(女性・51歳・総務・人事・事務/子・高校3年生)
(2)母親のほうが仕事の時間を調整しやすい
「妻のほうが休みを取りやすい職場なので」(男性・39歳・営業・販売/子・小学1年生・ 小学4年生)
「自分のほうが時間の融通がきくから」(女性・31歳・総務・人事・事務/子・小学3年生)
「妻のほうがコミュニケーション能力が高く、休みを取りやすい職場なので」(男性・44歳・その他/子・小学1年生・小学5年生)
(3)PTA活動の現場に父親がほとんどいない
「ほとんどが女性ばかりで、その中で男性がいるとうまく運営できないと考えたから」(男性・55歳・その他/子・小学4年生・中学1年生)
「ほとんど周りがお母さんが出ていたので」(女性・ 39歳・主婦/子・小学4年生)
「夫は社員でフルタイムで働いていて、私はパートでまだ融通がきくし、お父さんで参加してる人は少ない」(女性・44歳・主婦/子・高校2年生)
(4)「そういうもの」だから
「夫はそもそもそういうことにはノータッチ」(女性・48歳・その他/子・中学3年生)
「子育ては妻が主流」(男性・63歳・総務・人事・事務/子・高校2年生)
「夫はそんなことがあることすら知らないかも。自分とは関係ないと思っている」(女性・44歳・主婦/子・高校1年生)
(5)母親が適任
「妻の方がコミュニケーション能力がある」(男性・40歳・技術職/子・小学5年生・中学2年生)
「妻の方が社交的で役に向いている」(男性・52歳・総務・人事・事務/子・小学2年生・中学2年生)
ネックになっているのが「父親の勤務形態」「母親の参加率の高さ」です。妻も仕事を持っている場合には、活動日の働き方を調整する必要が生じていました。母親が突発的な予定に合わせてスケジュールを調整する役割を担っている家庭が多いことがうかがえます。
PTA活動を「父親が担当した理由」
null一方、父親がPTA活動を担った理由に関しては、以下のような回答が寄せられています。
「妻がそういう集まりには行きたがらない」(男性・44歳・技術職/子・中学1年生)
「自分がやりたいから」(男性・48歳・営業販売/子・小学1年生)
「自分が担当したほうが他の保護者との距離を保てるから」(男性・55歳・研究・開発/子・高校2年生)
「学校からの依頼」(男性・54歳・金融関係/子・中学2年生・高校2年生)
「これまでの概念をくつがえすため」(女性・41歳・金融関係/子・小学1年生 ・小学3年生)
「専業主夫だから」(男性・53歳・主婦/子・小学6年生・中学3年生)
「夫が役員決めでPTA会長や、部長などの大きな役を引き受けてきてしまうから」(女性・49歳・総務・人事・事務/子・中学2年生・高校3年生)
「自分しかいなかったから」(男性・34歳・総務・人事・事務/子・中学1年生)
「子どもの安全を守るため」(男性・48歳・デザイン関係/子・小学3年生)
活動が難しい妻にかわって参加するケースのほか、学校側から白羽の矢が立った例も見られます。また、父親がPTA会長や父母会長などの大役を担うケースもありました。
いずれにしても、“今やるべき仕事”をいったん保留して学校に出向き、母親だらけの集団の中に飛び込んで、雑務や業務を行うことの心理的ハードルを「高い」と感じている男性は少なくないようです。
以上、PTA活動の夫婦分担についてお届けしました。
共働き家庭の割合が増加していますが、地域の中で人間関係の調整や、雑務を担っているのが“母親”という家庭が多数派となっている印象を受けました。
今回は、PTAに特化したアンケートでしたが、地域の中には保育園、幼稚園、学童、スポーツ少年団といった組織があり、それぞれに“役”が発生しています。3人の子を育てている筆者は、それぞれの子が所属する組織でさまざまな役を引き受けてきましたが、いずれの組織も母親の割合が大半を占めています。
近年、PTAの負担感についてのニュースが多く見られますが、誰でも参加しやすいオープンな雰囲気づくりや参加者の就業形態を選ばない仕事内容も課題となっていくのではないでしょうか。
今年もまもなく2022年度の役員選出がスタートします。