とはいえ、孫のケアを担う女性の中には、再び訪れた子育て体験を余すことなく楽しんでいる人がいる一方、ちょっと疲れてきてしまった人もいるようです。
というわけで今回は、子育て中でなおかつ仕事を持つ娘をサポートする経験があるシニア女性45人に「孫の育児を手伝っていることに対して、内心思っていること」についてうかがいました。
疲れるけど嬉しい!「孫がかわいいからそれほど負担ではない」
nullまず最初に、「頼られてうれしい」と感じている女性たちの声をご紹介します。
「週に2回会えるのが楽しみ。保育所に預けているので負担に思うことはない」(52歳・その他)
「孫がかわいいので、あまり苦にはならない」(63歳・主婦)
「子どもが熱を出したり、具合が悪い時に手伝いに行っている。娘が安心できるなら、私もうれしい」(67歳・主婦)
親の手を借りることを前提に働き方を確立した女性にとっては、自分も助かって、親も喜ぶ……という両者ハッピーなパターンなのかもしれません。
とはいえ、この声は少数派。孫のケアを多く担っているシニア女性からは、不満の声の方が多くあがっています。
ここからはちょっと辛辣な本音が続きます。
「手伝って当たり前」という態度に不満の声が最多という結果に…
null続いて、孫の母親、つまり実の娘への不満の声をご紹介します。いったいどのような点に不満を感じているのでしょうか。
「できることは、かなりサポートしているが、あまり感謝されずに残念です。体力や気力がなかなか伴わない」(59歳・その他)
「協力して当たり前みたいなところが頭にくる」(58歳・営業・販売)
「かなり協力しているので、体力的にきついことがあるので感謝の言葉が欲しい」(72歳・総務・人事・事務)
「娘と孫が中心で、こちらの都合は関係ない。今は皆そうだと言う」(62歳・その他)
「毎日協力している、最近大きくなってきたので食費も掛かるようになったので、少し食費を入れてもらえたらと思うことがある」(65歳・主婦)
母と娘が遠慮のない関係の場合、「孫はかわいいから、それほど負担でないはず」という預ける側の思いと、「せめて感謝はしてほしい」という預けられる側の思いが、すれ違っているようです。そして、中にはこんな意見も。
「孫の教育についてアドバイスをすると大変嫌がります」(65歳・主婦)
「手を貸してほしいのに、口を出してほしくないなんて、ちょっと都合がいいのでは……」という思いを抱いている女性も少なくないようです。
孫育ての責任が重いと疲れてしまうことも…
nullまた、孫のケアの頻度が高かったり、責任が重かったりして、疲れを感じている女性も見受けられました。
「間に合わないときには、保育園の送り迎えをしている。また、孫が風邪のときに、預かる。家が近いので、よく来て、お風呂を入れる係となる。正直言って、きついこと、面倒なときもある。でも孫の笑顔はかわいいから、できると思う」(58歳・営業・販売)
「育児の相談を受けるのは構わないが、夜中に熱があるとか、泣き止まないとか連絡が来ると、翌日に疲れが残るのが困る」(58歳・主婦)
「極力預からないようにしているが、余りのワンパクぶりにいったいどう子育てしてるのだろうと考えさせられる事がしばしば。叱るべきことも親が叱らずのときは、『どうして私が……』と思う」(56歳・主婦)
以前、「来てうれし 帰ってうれし 孫の顔」という川柳が話題になったことがありました。孫を預かっている時間は、育児の責任を担う時間でもあります。風邪などの緊急事態のときにばかりケアを任せられると辛いといった声や、預かる頻度が高すぎると疲れてしまうという声も。
体力的な問題に加え、いつも子どもと一緒にいるわけではないからこそケアが難しいという側面もあるのではないでしょうか。
遠方に住んでいる場合は「もっと手伝ってあげたい」の声も…
nullちょっとネガティブな声が続きましたが、一方で「もっと手伝ってあげたい」という声も。
「近くにいるなら、とても協力してあげたい」(65歳・総務・人事・事務)
「遠いのでそんなに行けないから、近くに引っ越してきて欲しい」(62歳・主婦)
「たまに帰って来たときくらい、家事や育児から解放させてあげたいので、特に何も思わない」(58歳・主婦)
「他県に嫁いで離れているので手伝えない。いつも忙しくしている娘は偉い」(66歳・主婦)
上記のように、「今以上に手伝ってあげたい」と考えている女性は、娘の自宅が遠く離れているケースがほとんどでした。
中には、娘が頼ってこないことを不満に思っている女性も見受けられました。
「孫にしてやりたいことがあっても娘がいやがるから手がだせない」(48歳・総務・人事・事務)
このように、子育て中の家庭が多様化しているのと同様に、孫や娘とのかかわり方も多様化しており、お互いの心境をひとくくりにすることはできないよう。
孫育て世代は、長い歴史の中でも特異な“専業主婦全盛時代”を過ごし、常に誰かのケアをしてきた経緯があります。「孫はかわいいものだから、面倒をみるのは嫌ではないはず」という娘の思いと、「自分が手伝わなければ娘の家庭がまわらない」という母親の気負いがセットになると、しばしば人間関係の火種となるケースになることも。
母親の年齢や気力・体力を踏まえて「まかせる子どものケアの量は適切か」という点を、頼む側も、その都度振り返る必要があるのかもしれませんね。