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コタキナバルに家族で移住!子どもの教育やお金のこと…【タビカゾク#3】

35カ国を1年かけて家族とともに旅した木南仁志さん(45歳)一家。世界一周を経て、現在はマレーシアのコタキナバルで暮らしています。

前回は、子どもと家族4人で世界一周の旅をしたときの様子をご紹介しましたが、今回はコタキナバルでの暮らしぶりについて話を聞いてきました。

【参考】

世界35カ国を家族と旅したぼくが、いまコタキナバルで暮らす理由【タビカゾク#1】

家族で世界一周の旅!子どもたちが一番気に入った国は…【タビカゾク#2】

「世界で暮らすこと」で子どもたちに変化は?

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コタキナバルのキナバル山。

コタキナバルは、世界第3位の広さを誇る島、ボルネオ島にあります。コタキナバルの中心地から車で約2時間のところには、東南アジア最高峰のキナバル山があり、ここ一帯のキナバル公園は世界遺産に指定されています。

木南さん一家が住んでいるのは、遠くに海を臨むコンドミニアム。小学2年生(8歳)のサナちゃんは現地の日本人学校に通い、妹のレナちゃん(5歳)はインターナショナルの幼稚園に通っています。

いろいろなことに「なぜ?」「どうして?」と好奇心

世界旅を終えて定住を決めたとき、子どもたちふたりに変化はあったのでしょうか。

「ふたりが旅して、いちばん強く感じたのは、世界は広いんだ、ということだったようです。

山には山の生き物がいて、海には海の生き物がいる。大自然の中、植物も動物も、ありのままの姿に触れることができて、感じ取ることが多かったのではないでしょうか。大人から見ていても、感性が磨かれたと思います。

またいろいろ新しいことに触れることが、“なぜ、どうして?”という好奇心につながっていきました。動植物だけではなく、人間にもさまざまな暮らしがあることがわかり、もの怖じしなくなりました。親としては、ふたりの環境適応能力の高さにびっくりします」

「家族としての時間の使い方」を大事にできているか?

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超多忙なサラリーマン生活から180度変わり、家族と24時間過ごすパパになった木南さんですが、大人にとっても思うところは大きかったと言います。

「特にヨーロッパを回っていたときに考えたのは、家族としての時間の使い方です。夕食は必ず家族と共にする、夏休みは長期旅行に出かけるなど、家族の時間を大切にしていると感じました。子どもたちが小さい頃の時間は大切です。この時間を大切にしないと、中学生や高校生になったときにどうなるのだろう……。

家族といる時間の大切さをこのときほど感じたことはありません」

定住場所は、日本人学校があることが条件

前回の記事でも紹介した通り、ビザが取りやすいこと、物価が安いこと、自然が豊かなこと、そして“日本人学校があること”で、コタキナバルを“まずは10年間”の定住の地に選びました。木南さんは、それまでの経験から日本語での教育が子どもたちには絶対的に必要であると確信していたからです。

「仕事で海外に出かけたり、旅していると、日本語はできるけれど、日本語での読み書きができない在外日本人の方とも出会いました。彼らは日本人というよりも外国人で、“日本で暮らす自信はない”と言っていて、少し残念だなと。

僕としては、漢字が書けない、日本語で本が読めない子に育ってしまうのは、さみしいことだと思いました。

まずは日本人としてのアイデンティティーが確立されていないと、大きくなったときに、自分がどこの国の人かがわからなくなってしまわないかと……。そのためには、日本人学校が子どもの教育には必要だと思いました」

日本人学校に通うサナちゃんは、学校での英語の授業、習い事のレッスンは英語で行われるため、日本語に加えて、英語の会話もできるそうです。

生活は…不便?

さて、コタキナバルでの生活ぶりです。

一家が住むのは、ジムや50mプールがついた部屋の広さが200㎡を超えるコンドミニアム。海の望めるマンションは、リゾート感にあふれ、暮らしやすそうなところに見えます。

「生活は不便ですよ(笑)。日本のようにスーパーマーケットに行けば、すべてが揃うということはありません。野菜は市場、魚はフィッシュマーケット、豚肉は豚肉専門店に行かないと新鮮で良いものを買うことができません。日本の食材や調味料の一部は、入手困難なものもあります。

また子どもたちを1人で外出させることはできません。日本では、1人で電車やバスに乗って塾に行かせることもできますが、こちらでは無理ですね。近所の友達の家にひとりで遊びに行かせるのも無理。必ず親が送っていきます。子どもだけでというのは、海外ではありえませんから。それはどこの国でも同じですね」

世界で暮らすことで、他にお子さんについて何か心配なことは?と聞くと、こんな答えが返ってきました。

「いろいろなところに行きすぎたせいか、子どもたちはビーチに行くよりも家のプールでいいと言います。出かけようと言うと“家で、お人形で遊びたい”と言うのです(笑)。

(外出を好まないことを)若干、危惧していますが、今はそういう時期なのかもしれませんね」

コタキナバルでの生活費は…?

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ところで、木南さん、会社を辞められて3年。お仕事はどうしているのでしょう。

「海外移住したいと決めた時点で、定期収入を作る必要がありました。そのために、奈良にゲストハウスを作り、大阪では“家族で暮らす旅”をコンセプトにした民泊の施設を運営しています。これは海外にいてもインターネットを通じて仕事ができるので、そちらからの収入で生活をしています。

世界一周旅は、航空チケットを除き、ホテルなどの宿泊費、毎日の食費、海外保険代やローカルでの移動代など、4人で600万円くらいかかりました。日本で1年暮らすよりも高かったのですが、これは貯金を取り崩して工面しました」

現在のコタキナバルでの生活費の内訳を教えてもらってもよいでしょうか?

「コンドミニアムの家賃、光熱費で月に約10万円。食費で3、4万円です。生活費の合計は日本の半分くらいではないかと思います。

医療に関しては、日本の国民健康保険に加入しているので、こちらの病院で診療した料金を請求すれば、還付されます。医療のレベルは高く、安心していられますよ」

子どもの教育費は、高いのでしょうか。

「日本人学校が月2万9,000円(スクールバス代込み)。レナのインターナショナルの幼稚園が月3万9,000円。バレエ、スイミングの個人レッスン、ピアノの個人レッスンをさせていますが、いずれも月に2,500~3,000円以内の月謝です」

 

妻も含め、家族もいまの暮らしに満足している、と話してくれた木南さん。大自然の中、一家は毎日、笑顔で暮らしています。

 

次回は、子どもを海外留学させたいという機運が高まる中、木南さんが感じた留学事情について話してもらいます。

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