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「小1の壁」もう一度やり直せるのなら、どんな対策をする?サポーター、働き方…先輩ママ達に聞いた

子どもが慣れ親しんだ保育施設を卒園して小学校に入学後、生活環境やタイムスケジュールがガラっと変わります。それに伴い、共働き家庭の親子に何らかの困難が生じることがあるようです。「小1の壁」と呼ばれる問題です。

2024年2月、『kufura』編集部が、小学1年生~14歳の子どもがいる女性88人にアンケートを実施したところ、約半数にあたる45人が「小1の壁を感じたことがある」と回答しました。入学後のネックになっていたのが、「学童の預かり時間」「親の働き方」「子どものサポート」でした。

今回は、回答者が体験した「小1の壁」の内容と、入学後の1年を振り返って感じたことについてうかがいました。

学童以外の「育児サポーター」についての回答

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入学後、共働きの家庭の子どもの多くは、放課後を学童で過ごします。

保護者が迎えに行ける時間が、地域の学童の閉所時間に間に合わないケース、親の出勤時間が子どもの登校時間よりも早いケースも想定されます。

今回のアンケートでは「親のタイムスケジュールと子どものタイムスケジュールの“時間差”を埋めてくれる人・場所」の必要性を実感したという回答がありました。

「朝、子どもが1人で鍵をかけて家を出ないといけなかった。戸締まりできているか、鍵をかけているか?などなど不安だった。祖父母の家の近くに引っ越しておけば良かった」(48歳女性)

「学童には簡単に入れないし、1人で留守番させるのが怖いし、結局仕事どころではなかった。お金がかかってもいいので、シッターさんのような方と契約しておくべきだった」(34歳女性)

「勤務時間が減った。預け先をいろいろ確保すればよかった」(49歳女性)

「学童の預かり時間が短く、自分の雇用形態を変更せざるを得なかった。最近近所にできた、預かり時間の長い民間の学童保育を利用したかった」(43歳女性)

小1の壁を経験した母親からの「頼れる人・場所を探しておけばよかった」という声でした。

事前のリサーチや根回しを通じて、祖父母、地域のファミリーサポート、シッターなど、学校まで送迎つきの安全な居場所が見つかれば幸運ですが、信頼できるサポーターが見つからなかった場合、働き方や家庭運営の調整が必要になることもあります。

「働き方」について、こうすればよかったと感じていること

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続いて、親の働き方についての回答をご紹介します。

「学童に頼りきりになった。もう1度やり直せるなら、仕事のペースを落としたい」(47歳女性)

「PTAや保護者会、学校公開日のお手伝いなど保護者の出席事が意外と多く、月に1回は早退をしたり有給をつかって休んだりすることがありました。冬場になると学級閉鎖となり、学童にも預けられず、職場に迷惑がかかると思うと仕事をするのはキツいと感じました。職場や周りに迷惑をかけない方法は“仕事を辞める”“柔軟に働ける職場に転職する”の2択になってしまうと思います」(31歳女性)

「子どもが1年生に進学した2020年、コロナの一斉休校で子どもの預け先がない状態と入学延期が重なったため、仕事をやめました。“休校あり得ない”ともっと真剣に怒ればよかった。活動すればよかった」(38歳女性)

「仕事を終えて学童に迎えに行って、下の子の保育園に迎えに行って、買い物して、家に帰ると、夕ご飯を作る気力がなくなってしまう。夫は激務だが、もっと協力させればよかった」(42歳女性)

今回のアンケートでは「もっと仕事をセーブすればよかった」「働き方を変えたかった」「転職を考えればよかった」「仕事を辞めざるをえなかった」などの声がありました。必要に応じて働き方を調整するという選択ができればいいのですが、柔軟な働き方が難しい職種・職場もあります。

企業の立場に目を向けると、人手不足に苦しむ企業が増加しています。ギリギリの人員でまわしている現場では、急な欠勤や定時帰宅が難しく、雰囲気が悪化する……という悪循環も生じています。

こうした状況を踏まえ、より働きやすい職場への転職を検討するケースも見られました。

子どもとの接し方について、今、思うことは?

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続いて、子どものサポートに関する回答です。新たな環境にスムーズに適応できる子がいる一方で、アンケートではこんな声もありました。

「新しく勉強が始まり、学校への滞在時間も長くなるため子どもが疲れてしまってメンタルの変調をきたすときがある。やり直せるなら、もっと子どもと一緒にいる時間を作るようにする」(39歳女性)

「環境の変化からのストレスがあった。落ち着いて子どもと接したかった」(39歳女性)

「勉強を見る必要があるから、もう少し心にゆとりをもって接したかった」(35歳女性)

「生活スケジュールが少し変わり、馴染めるまで、子どもも私も時間がかかりました。現在2年生ですが、下の子が幼稚園に通い始め、私自身も仕事に復帰して……今年の方が大幅に変わって大変でした。余裕を持ちたい」(35歳女性)

「保育園と違った生活スタイルで、子どもも慣れるまで親が気にかけてあげる必要があった。そうした情報をいろんな人から事前に聞ければ聞きたかった」(41歳女性)

「本格的な学校生活がスタートして、決まった時間内にいろいろするのが慣れなくて大変だった。保育園時代から時間について慣れさせればよかった」(46歳女性)

「下校時にどうしても1人になる時間が増える。地域の人と交流を持って見守りあえるようにしたい」(29歳女性)

進級後、なんとか時間のやりくりはできても、子どもの“ほっとする時間”“安心”“余裕”が足りていないと感じた人が見受けられました。この問題の解決策を探ろうとすると、先に紹介した“親の働き方”“育児サポーター”の話に立ち戻ってしまうことが、「小1の壁」の難しい点ではないでしょうか。

 

以上、今回は「小1の壁」の経験者の声をご紹介しました。

新学期、新しい学校やクラスの雰囲気に慣れるまでには、ある程度の時間が必要です。

アンケートの回答を読み込んでいくと、入学後に実感する困難の度合いは、地域の環境、学童との相性、職場の柔軟度、頼れる家族の存在、配偶者の働き方など、さまざまな要因が入り組んでいることがうかがえます。

もしかしたら、活用できるサービスや制度をいろいろ組み合わせて乗り越える過程で、疲れを感じることがあるかもしれません。日常生活が軌道に乗るまでは、子どもをサポートしながら、自分自身をケアする時間も大切にしてほしいと思います。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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