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保育園どうだった?って親が聞くべきじゃない理由は…【井桁容子先生に聞く 保育園との付き合い方】#2

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子どもが1日のほとんどを過ごす保育園。我が子がのびのびと過ごせて、親は安心してお任せできるような関係を築くためにはどうしたらいいのでしょうか。

そんな“保育園との付き合い方”について、保育士歴42年・乳幼児教育実践研究家の井桁容子さんにお話を聞く本連載。

前回は、先生の経験年数を気にかけるよりも、子どもが心地よく過ごせていることに気を配る大切さを教わりました。

今回は、「うちの子は引っ込み思案だから、お友達の輪に入れるように助けてほしい」とか、「のんびり屋さんだから、先生にはあまり急かさないでほしい」など、我が子の性格をふまえた保育を望む時、親はどうすればいいのか聞きました。

Q.我が子の性格に合った保育をして欲しいけれど、どこまでお願いしていいですか?

A.親が先回りしなくても、子どもが困っている時点で考えてあげれば大丈夫。

お父さんお母さんが保育園にしてほしいと思っていることと、子どもが本当にしてほしいことは、実は違っていたりするんです。

そのことに気づかないで、お料理をオーダーするようにお父さんお母さんが勝手にお願いするのではなく、子どもの心の育ちにとってマイナスなことが起こった時にお願いすれば大丈夫。その時が、ちゃんとオーダーするべきタイミングです。

例えば、お子さんが“みんなと同じことをしたくない”と言った時には、保育の内容で何が優先されているのか聞いてみましょう。

“みんなと同じことができることがいいと思っています”という保育園だったら、“うちの子が嫌がっているときは、無理してやらせていただかなくても結構です”と、子どもの思いを代弁する役割を親がすればいいわけです」

心配のあまり親の出番のタイミングを間違えると、子どもにとってはありがた迷惑になってしまうかもしれませんね。

でも、子どもが困っていることを話してくれればいいのですが、保育園での出来事をあまり語らない場合はどうしたらいいのでしょう? 筆者の子どもは男の子(5歳)のせいか、「別に」、「普通」、「何もしてない」(!?)など、楽しく過ごせているのか心配になってしまう返事ばかりで……。

子どもに保育園の様子を聞くときの声かけは?

【NGフレーズ】「今日、どうだった?」

【OKフレーズ】「何か楽しいことあった?」「何か困ったことあった?」

「“どうだった?”というのは、結果を聞いているだけでその過程を知ろうとしない聞き方です。しかも、いい結果を期待していませんか? 日頃から成果を求められる経験を重ねていると、いい結果を話さないとお母さんが喜ばない、と思ってしまいます。よくない話をすると余計なことを言われちゃうと思って、特に男の子は面倒がって話さなくなりますね。

“何が楽しい?”も結果だけを聞いていますね。子どもが話したくなるのは、“何か楽しいことあった?”と過程を知ろうとする聞き方なんです」

子どもが本音を漏らすのは、こんな時!

「“何か困ったことあった?”と聞いた時に口ごもったら、“あるけど言わない”ということです。そんな時に、早く答えが知りたいと思って根堀り葉掘り聞こうとすると、絶対に話しません。

子どもがどんな時に話すかというと、お母さんにゆとりがある時です。お風呂にはいっている時や、寝る前などに、話したくなるほどたまっているものがポロッと出てきます。

それから、子どもに聞く前にまずはお母さんが自分のことを話すべきですね。

“今日、こんなことがあって面白かったんだ~”とか、“仕事に行く途中で花を見つけて、きれいで思わず写真撮っちゃった”とか、お母さんが心を動かして感じたことがあった体験を話すと、子どもも忘れていたことをフッと思い出したりします」

何気なく投げかけていた「どうだった?」がNGフレーズだったとは! 確かに、“お母さん、今日楽しかったよ!”という返事をいつも待っていたように思います。早速、井桁先生に教わった方法で子どもの様子を聞き出します! 意気込む筆者ですが……。

「できれば毎日は聞かないでくださいね。子どもって、今を生きているので、過去を振り返らないんです。わざわざ振り返るということはよっぽどのことなので、無理に引きずり戻すことはありません。

美味しそうにご飯を食べたとか、鼻歌を歌いながら機嫌よく遊んでいるとか、そんな様子を見て“今日は幸せに暮らせたんだな”と思ってあげればいいんです。何も見もしないで“どうだった?”とお母さんが納得するような結果を求められても、子どもはあんまりうれしくないですよね。

もし落ち込んだ様子でも、1週間の中で浮いたり沈んだりするのが人間なので、全体の様子が下がらなければ、困ったことがあっても解決しているということです」

間違った聞き方をしていると、思春期に大変なことが起こるかも!

「子どもの結果で一喜一憂する親ではなくて、その途中で頑張ったとか過程を大事にする親であってほしいですね。結果よりも過程を大事にされた方が、人の意欲は下がらないといわれています。

なので“どうだった?”と結果だけを聞くような育児を続けていると、思春期に親子関係が壊れてしまって、子どもが人生で大変なときに親にだけは話したくないということが、現実に起こりますよ」

保育園時代の間違った声掛けが、思春期に影響するなんて! 子どもだからといって、安易な聞き方をするのではなく、どうしたら話したくなるか親も考えなければいけませんね。

また、集団生活をしていれば、子どもにだって楽しいことも楽しくないことも起こって当たり前。過保護に予防線を張ったり過干渉せず、いいことも悪いことも受け止められる大人でありたいと思いました。

次回は、親が見ていないことろで起こるお友達とのトラブルについて、どんな風に受け止めればいいのか、どんな声をかければいいのか聞きました。

【取材協力】

 井桁容子(いげた ようこ)

 20183月まで保育士として東京家政大学ナースリールムに42年間勤務。現在は、乳幼児教育実践研究家として、全国での講演のほか、『すくすく子育て』(NHKEテレ)への出演、『いないいないばあっ!』(NHKEテレ)の監修も行う。また、20186月に立ち上げた“子供から学び、豊かに生きる”をテーマにした非営利団体『コドモノミカタ』の代表理事を勤めワークショップを開催するなど、保育士からステージを移した後も精力的に活動している。小中学生が職業を学ぶために出版された各ジャンルのスペシャリストが集う『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』(ポプラ社)に、元保育士として登場。

撮影(井桁さんインタビューカット)/黒石あみ(小学館)

【井桁先生の大好評連載】

「叱り言葉より子どもに届く【井桁先生の魔法のフレーズ】」

 

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