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保育園の先生が若くて不安…そんなときどうする?【井桁容子先生に聞く 保育園との付き合い方】#1

なんとか子どもを保育園に入れたまではよかったけれど、通い始めると新たな心配事も出てきますよね。子どもが行きたがらない日があったり、園の対応に疑問を感じたり……親としてはどうすればいいのか戸惑いの連続です。

そんな“保育園との付き合い方”について、保育士歴42年、乳幼児教育実践研究家として全国各地での講演活動やテレビ出演などで活躍している井桁容子さんにお話を聞きました。

大好評だった連載「叱り言葉より子どもに届く【井桁先生の魔法のフレーズ】」では、子どもの目線に立った目からうろこ!のアドバイスをたくさんいただきました。今回も、保育の現場で親と子の育ちを応援してきた井桁さんならではの目の覚めるようなお話が盛りだくさんです。

Q.初めて子ども預けるのに、担任の先生が若すぎて…頼りなく思ってしまいます。

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A.経験年数だけが保育の質の高さとは限りません。若い先生の良さもあります。

「親になってまだ数カ月とか数年のお母さんが、ベテランの先生に助言してほしい、寄りかかりたいという気持ちもわかります。ただ、経験主義に陥って、子ども自身を受け止めるよりも、先生の枠の中で“いい子”“悪い子”を決めるような、保育のスキルが先行してしまう先生だっているかもしれません。

若さとか経験年数だけでは測れないものは、“子どもに対して誠実に一生懸命向かってくれる姿勢”です。お父さん、お母さんには、そういう目で保育者を見てほしいですね。

保育者は、家庭とは違った経験をする場所での専門家なので、もちろんそのための勉強もしていますし、その知識をもってお父さんやお母さんとは違った角度で子どもと関わります。

保育をすることに関してのプロなので、仕事や家事で忙しくしているお母さんより、子どもに笑顔を向けられる可能性もありますよ」

確かに、筆者自身のことを考えても、お迎えから寝かしつけまで、やることが多すぎて眉間にシワが寄りっぱなしのお母さんだったかも……。自分のことを受け入れてくれて、笑顔で接してくれる保育園の先生と過ごすのなら、子どもにとって心地いい時間になる、ということなんですね。

どうしても心配なときは、入園後でも見学の交渉を

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「気になるようだったら、保育園に任せっぱなしにしないで、“半日でもいいから見学をさせてもらってよいでしょうか?”と園の雰囲気を見せてもらいましょう。

園によっては他の子が不安定になるからお母さんがはいってくるのは困るとか、感染症の問題があって複数の大人が自由に出入りできないという理由で断られることもあるかもしれませんが、親としては子どもの命を預けるわけですから、何も見ないで任せることはできないという心情には共感してくれるはずです

 入園前にはいくつもの園を見学して回ることはあっても、その後は保育園にお任せという人も多いのでは? 参観日や発表会等で十分と思わず、不安を感じたら日頃の保育を見学させてもらう交渉の余地はありそうです。

また、入園前の見学の際に、どんな心配事が出てきそうか予測しておいたり、前もって聞いておくことも大事だそうです。

子どもが保育園で心地よく過ごすための声かけは……?

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【NGフレーズ】「先生のいうことをちゃんときくのよ」

【OKフレーズ】「困ったときは先生に助けてもらってね」

先生が若くてもベテランでも、子どもが心地よければ、親が思うほど大変な思いをしていないということです。赤ちゃんであれば、楽しそうにしているのか不安そうにしているのかをよく見たり、保育者に“園の中でうちの子が困っていることはありませんか?”と聞いてみてもよいでしょう。

子どもが自分でお話できるようになったら、

“困ったときは、先生にちゃんとお話ししていいんだよ。上手く言えないときは、パパかママが代わりに言ってあげることもできるから、困ったままにしなくていいんだよ。先生と、パパとママとみんなで一緒に考えよう

と伝えておく。

 お父さん、お母さんに知っていてほしいことは、“困ったとき”というのは、先生と子どもの意見が違ったときも含みます。“先生、ぼくは違うと思います”と言える人であっていいということですね。だから、“保育園では先生の言うことちゃんときくのよ”は言っちゃいけない、と私は考えています。

 “先生はこう言うけど、ぼくはやりたくなかったんだ”とか、自分の思いを表現してもいいと伝えてあげることが、21世紀にはとても重要なんです。空気を読んでみんなと同じフリをする必要はないんですよ」

先生の経験値を測ってあれこれ心配するよりも、園の様子をよく確認しておくことと、自分の思いは我慢せず先生に伝えていいことを子どもに話しておくなど、親として具体的にやれることがわかりました!

 

次回は、我が子の性格に合った保育をして欲しいと思った時、どんな風にお願いすればいいのか伺います。

【取材協力】

井桁容子(いげた ようこ)

 20183月まで保育士として東京家政大学ナースリールムに42年間勤務。現在は、乳幼児教育実践研究家として、全国での講演のほか、『すくすく子育て』(NHKEテレ)への出演、『いないいないばあっ!』(NHKEテレ)の監修も行う。また、20186月に立ち上げた“子供から学び、豊かに生きる”をテーマにした非営利団体『コドモノミカタ』の代表理事を勤めワークショップを開催するなど、保育士からステージを移した後も精力的に活動している。小中学生が職業を学ぶために出版された各ジャンルのスペシャリストが集う『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』(ポプラ社)に、元保育士として登場。

 

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