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共働き家庭の「小4以降の放課後」どう過ごしてる?「学童をやめた」後はどう変わった?

家庭の外で働く親を持つ小学生の子どもにとって、学童(放課後児童クラブ)は、大切な居場所の1つ。親の勤務形態、祖父母のサポートの有無、家庭や地域の環境によっては、学童の存在が、親が仕事を継続するための“ライフライン”となる時期があります。

厚生労働省『令和4年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況』をもとに編集部作成

とはいえ、小学校生活の6年間、フルで学童に通い続ける児童は少数派です。昨年の厚生労働省のデータによれば、学童に登録している児童の80.2%は小学3年生以下でした。4年生の進級時に、多くの児童が学童を退所していると推測されます。

地域や家庭の事情にもよりますが、低学年の入所を優先して高学年は学童を利用できない、子どもが留守番をできるようになった、子どもがプライベートな時間を欲している、などさまざまなケースがあると思います。

そこで今回は、共働き家庭(ひとり親家庭も含む)の子どもの小学4年生以降の過ごし方に着目。学童を退所した場合の放課後の過ごし方のほか、学童を継続した場合の困りごとやよかったことについて聞いてみました。

アンケートにご協力いただいたのは、通っていた学童の退所経験がある子どもを持つ29人の母親と、小4以降も学童通いを継続させた20人の母親です(ともに子どもの属性は小4~大学生)。

「学童をやめた」後、放課後はどう過ごしてた?困ったことは?

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まず、小4の進級前後に子どもが通っていた学童をやめたケースです。退所してから子どもが放課後をどのように過ごしたか聞いたところ、5つの過ごし方に分類することができました。

(1)子どもだけで留守番

「きょうだいの歳が近いので、2人で留守番させていた。習い事をさせていたので、そこで待たせる日もあった」(44歳・その他/子・小学4年生~6年生・高校生)

「息子は小学4年生で学童に落ちてしまいました。シングルマザーなので息子を1人で家に残して仕事にいくというのは不安でした。 自宅のモニタリング機能つきのデバイスを購入。携帯で確認したり宿題の催促ができるようになってとても気が楽になりました。火は絶対使わせないようにしています」(37歳・広報・宣伝/子・小学4年生~6年生)

「自宅で過ごしていた。友達が来るようになったり習い事に行けるようになったり自由な時間が増え喜んでいた。困った事は特になかった」(31歳・その他/子・小学4年生~6年生)

(2)習い事・塾に通う

「塾や習い事をさせるようにした」(52歳・ 総務・人事・事務/子・高校生)

「プールや空手などの習い事を入れて通わせた」(45歳・総務・人事・事務/子・大学生)

(3)親が働き方・働く時間を変えて対応

「家で見る人がいなくて心配だったので、私がフルタイム勤務から、扶養内勤務に時短して働き方を変えました」(45歳・営業・販売/子・小学4年生~6年生)

「仕事の帰りを早めた。週の数日は母に来てもらうようになった」(39歳・研究・開発/子・小学4年生~6年生)

(4)友達と地域内の公園・児童館などで過ごす

「近くの公園で友達と遊ぶようになったので、私が仕事から帰ると宿題が終わっていなくて、やらせるのが大変でした。あらためて学童のありがたさを感じました」(50歳・総務・人事・事務/子・高校生・大学生)

「友達と遊ぶ時間が増えた。鍵の使い方や宿題の時間配分のやり方を覚えさせた」(42歳・総務・人事・事務/子・小学4年生~6年生)

(5)祖父母と過ごす

「いつも家に居る祖母の家に帰ってもらって、私が迎えに行くまで宿題等をして待ってもらっている」(43歳・技術職/子・小学3年生以下・小学4年生~6年生・高校生)

「実家で過ごしていたけど、ゲームばっかりになって頭を抱えた」(49歳・総務・人事・事務/子・中学生)

「実家が近かったので、学校から帰ったらそのまま実家に行かせていた。自宅の鍵を無くしたり火を使われるのが怖かったから」(41歳・その他/子・小学3年生以下・中学生)

1人で留守番できるか、遊べる友人がそばにいるか、習い事が通える場所にあるか、祖父母宅が近くにあるか、親は柔軟な就労状況か……など、それぞれの条件に応じて、留守番、習い事、友人との時間をミックスしているケースもありました。

学童の退所後に母親自身が「よかった」と感じたこととしては、以下のような声が寄せられました。

【学童退所後、よかったこと】

  • 放課後、子どもが家庭内外で好きなことをして過ごせるようになった
  • 子どもに防犯意識が芽生えた
  • 習い事に打ち込めた

一方、退所後に困ったことについては、以下のような回答が寄せられました。

【学童退所後、困ったこと】

  • 安全性の不安
  • 学童に代わる居場所確保
  • 鍵をなくすなどのトラブル対応
  • メディア視聴・ゲームの時間の増加
  • 友人の家に頻繁に行く、頻繁に来る

これらの困りごとは、共働き家庭に限らず、高学年以降、子どもが触れる社会が広がっていくことで生じる不安やトラブルなども含まれているような印象も受けました。

子どものまわりで“何か”があったときにすぐに対応できないことが、不安感につながっているケースもあるようです。

小4以降も「学童通いを継続」して、よかったこと&残念だったこと

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続いて、小学4年生以降も学童に継続して通った子のケースです。母親が感じた“よかったこと”“困ったこと”は?

「学童の友達と遊ぶ時間はあるけど、学童外の遊び相手が減るのは残念」(41歳・その他/子・小学3年生以下・中学生)

「家にいるとゲームばっかりやっているので、別な遊びや宿題のできる環境があって助かっています。 ただ“何それ?”っていう変なルールがあるのが嫌ですね」(41歳・総務・人事・事務/子・小学4年生~6年生)

「安心感がある。学童の時間を子どもが楽しんでいる」(45歳・総務・人事・事務 /子・小学4年生~6年生・高校生)

「子どもが障がいを持っているので、信頼できる職員と一緒にいてもらえるのが何よりの安心」(42歳・主婦/子・小学4年生~6年生)

「下の学年の子とも一緒に遊べること。家の周りに同年代も上も下もいないので」(43歳・デザイン関係/子・小学4年生~6年生)

学童を退所しなかった場合の“よかったこと”として、最も多かった理由が、学童指導員の見守りやケアがあることに対する安心感でした。一方、困りごととして、同じクラスの友人と遊べないことや学童への行き渋りに関する回答も寄せられました。

学童に通っていても通っていなくても、“親も子も全方位満足”の放課後を手に入れるのは、なかなか難しいようです。

 

以上、共働き家庭を中心に小学4年生以降の放課後の過ごし方について“学童退所”“学童継続”の2パターンに分類してお届けしました。

現在、学童の利用児童の増加とともに待機児童も増加の一途をたどっており、小学4年生の待機児童が最も多くなっています。学童を必要としても継続が叶わず、親が安全な居場所探しに奔走しているケースも見受けられました。

安心・楽しい・有意義。子どもの日常の放課後にこの3つがそろっていたら、それはとても幸運なことなのかもしれません。

【参考】

令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況 – 厚生労働省

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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