子どもをリスペクトできないと、過干渉につながる危険性が
null「親子関係をよくするには、まず、子どもをリスペクト=尊重することです。“親や先生は子どもより上”という意識で、上から目線でしつけたり子どもに強制したりしていませんか?」(以下「」内、親野さん)
日常のシーンで親野さんが例に挙げてくれたのは、例えば洋服選び。
「子どもが“赤い服を着たい”と言っているのに、“似合わないから白にしなさい”と、子どもがやりたいことを尊重しないで親がやりたいことをいつも優先するのは、過干渉につながります。
子どもがどんなに幼くても、危険が無いならばその子の意思を尊重してあげることも大事。
親が子どもをリスペクトすれば、子どもも親をリスペクトするようになる。自分から出たものは、いずれ同じものが返ってくると思って子どもに接してください」
こんな共感的な接し方を心がけたい!【宿題編】&【きょうだい喧嘩編】
null大切なのは、子どもをリスペクトすることを念頭に、“共感的”に接すること。具体的な関わり方を教わります。
「子どもが“宿題やりたくない”と言ったら、何と答えていますか? “ダメだよ、やらなくちゃ!”ではなく、“うん、大変だよね”と、まずは共感的な言葉を最優先して答えてあげましょう。そうすると、“私の大変さをわかってくれる人がいる!”と思って、それだけで元気が出てくるのが子どもです。
きょうだい喧嘩をした時は、喧嘩が再燃しないように別々に話を聞きます。
例えばお兄ちゃんの話を聞くなら、“お兄ちゃんなんだからダメでしょ!”ではなく、“お兄ちゃんだって、遊びたかったのにおもちゃ取られちゃって嫌だったよね”。すると、“お母さんは、ぼくがどんなに嫌だったかわかってくれた!”と安心します。そのうえで、“また取り合いになったらどうする?”と聞けば、“弟もやりたかったと思うから、譲ってあげる”と言えることも。
お兄ちゃんだって本当は答えがわかっている。親が“共感”で気持ちを処理してあげれば、その答えを素直に出せるようになります。
子どもにとって、信頼できる大人というのは、自分のことをわかって許してくれる人。
親の思い通りでないことをしたとき、頭ごなしに叱らず、まずは共感してあげてください」
共感的な接し方で得られる3つの効果
null1:「親に大事にされている」と、自己肯定感が高まる
2:信頼感を親子関係で味わうことで、他者信頼感が育まれる
3:よい親子関係が、思春期における悪い誘惑へのブレーキになる
親子関係というのは、人間関係の一番最初の経験です。「自分はお父さん、お母さんに愛されている。ぼくもお父さん、お母さんのことが大好きだ」と、“人間は信頼できる”ということを十分に味わった経験が、その後の、きょうだい、友達、先生などへの“他者信頼感”にもつながります。
親を信じられない子ども時代の経験が「他人は信頼できない」という認識につながり、他者不信感を常に抱えて人間不信になってしまうパターンは、いちばん避けたいものです。
また、思春期以降は、親の目が届かないところでたくさんの誘惑があります。悪いことに誘われたり、お店のものをとってみたくなったり、親が心配してくれるか試してみたくなったり……。そんな時に、“自分を大事にしてくれる親に心配かけたくない”という気持ちが強烈なブレーキになるんです」
小学生の子育て中の筆者は、我が子の“宿題やりたくない”という気持ちを許していなかったとドキッとしました。いま目の前の子どものことで精いっぱいの日常ではありますが、もっと先のことを見据えた関わりも必要ですね。
良好な親子関係は、前回の“子どもの自己肯定感”と両輪で思春期以降の子どもを支えるそうです。次回は親子関係悪化の原因になりやすい“ゲーム”を媒介にした共感的な関わり方を教わります。
【取材協力】
親野智可等(おやのちから)
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、各種メディアの連載などで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。詳細については「親力」で検索してHPから。
大学卒業後は銀行に就職するも、大好きな雑誌の世界に飛び込む。