Q.ひとりで着替えができるのに「ママ、やって!」。「自分でやって!」と突き放してしまいます…
nullA.やってあげればいいんです!服を着せてあげることで、子どもの気持ちを抱っこしてあげているんですよ
【お着替え:実践フレーズ】
子ども「パンツは自分ではいたから、ズボンはママが履かせて!」
親「喜んで!パンツは自分で履けて立派ですねー!」
「子どもの手がまだすごく不器用で、自分で着替えさせるのはとても大変ということなら、“こうやって、こうやって、こうだよ”と着替えの訓練をします。でも、自分でできるとわかっているなら、子どもが“やって”というときにやってあげましょう。
それは、ズボンを履かせることで“心を抱きしめてあげている”ことになるんですよ。子どもの“服を着せて”の意味は、できないからではなく、“やって、という要求を満たしてほしい“ということ。それを、服が着れる着れないとうわべだけで判断して“自分でやって”と拒否するのは、親にとっても子どもにとっても心が通わずマイナスになってしまいます」
Q.自分でできるようになったことは、親が手を出さないほうが早く自立できるのでは…?
nullA. 厳しくしないと、しつけが身に付かないと思っていませんか?実は、逆なんですよ
「衣類の着脱ができるかどうかで、自立心が育つということではないんです。 着せてあげることもそうですが、“やって”と言われたときにやってあげていれば、いつでも親の愛情や行為が得られるんだと安心して、頑張るときには頑張れるようになれます。
それが、自立心が育ったということです。これを続けると、お母さんが、“ごめん、今日は急いでいるから自分で着てくれる?”といった時、自分で着れる子になるので、心配しないで。やがて、いつでも自分で着れるようになります。大人になっても“着せて!”なんて人、いないでしょ?(笑い)」
“早くひとりでできる子にしなくっちゃ!”と張りつめていた気持ちが緩んで、思わずホロリ。優しくされれば、優しくなれる。相手が幼い子どもでもそれは同じ、ということなんですね。
次回は“お片付け”について。“厳しくしつけなきゃ!”の親心をひっくりかえす、目からうろこのお話をご紹介します。
【取材協力】
井桁容子(いげた ようこ)
保育・子育てカウンセラー。東京家政大学短期大学部保育科を卒業後、同大学が併設する乳幼児の保育・研究を実践する保育施設に42年間勤務。2018年4月より保育の現場からステージを移すことになり、全国での講演のほか、『すくすく子育て』(NHK、Eテレ)への出演、『いないいないばぁっ!』(NHK Eテレ)の監修も行う。著書は、『保育でつむぐ子どもと親のいい関係』(小学館)など多数。男女の母でもある。
撮影(井桁さん)/黒石あみ(小学館)
取材・文/駿河真理子