2022年10月からは、今までより柔軟な育児休業の枠組みとして「産後パパ育休」が開始される予定です。
今回は、子どもがいる20〜50代の男性192人にアンケートを実施。
現時点での育休取得に対する意識や職場の環境、さらに実際に取得した人の経験談についてお届けします。
「育休をとれなかった」「育休をとらなかった」理由は?
null今回アンケートにご協力いただいた192人の男性のうち、育休取得の経験があるのは29人でした。
育休を取った経験がない163人の男性に取得しなかった理由を聞くと、以下の4つの理由に集約されていました。
(1)職場で男性が育休取得した前例がなかった
「育休の前例がなくて、申請しにくい状態であった」(43歳・営業・販売)
「周りに育休を取る人がおらず、取りづらかった」(29歳・技術職)
(2)仕事・収入への影響を配慮
「仕事を押してまでは出来ない。昇進等に影響する可能性がある」(38歳・コンサルタント)
「お金も必要であるし、仕事の復帰時に大変になるため取りたくなかったから」(41歳・その他)
(3)実家のサポートがあった
「妻の実家でしばらく子育てしていたので、育児休暇を取る必要がなかった」(40歳・営業・販売)
「妻が専業主婦、かつ実家の助けもあったので自分は育児休業を取る必要が無いと思ったから」(40歳・コンピュータ関連技術職)
(4)妻が育児に専念していた
「妻が家にいたので」(31歳・公務員)
「妻が仕事を辞めたから取らなかった」(53歳・営業・販売)
「世間的に育児休業は女性がとるものという風潮があるため」(35歳・その他)
最も多かったのが、職場の制度や取得の前例がない、職場の理解がないという職場絡みの理由です。2番目に多かったのが、親のサポートを得られたために、育休を取得する必要がなかった、という声です。
ちょっと気になるのが「妻が育児に専念していたから」という理由です。しばしば産後の女性の体の状態を例える表現として「全治1カ月~3カ月程度のダメージを受けている状態」などと言われることがありますが、それを踏まえると、産後の女性の体に対する理解がやや不足しているようにも感じられます。
実際に育休をとってみてどうだった?
null続いて、実際に育休を取得した男性に取得した感想についてうかがいました。
「妻1人で2人の子どもの育児は無理なので育休を取得しました。子育ての大変さが本当にわかりました」(37歳・その他)
「子どもが生まれたときは、男性が育児休業を取る風潮がまだほとんどなかったが、取得したらゼロから学ぶことばかり、うまくいかないことばかりで大変だったが、子どもの世話に専念することで親としての自覚が生まれ、社会に対しても新しい視点を持つことができたと思う」(32歳・その他)
「共働きで交代でとる必要があったから。自分の時間が取れずに育児で忙しかった」(45歳・総務・人事・事務)
「自分が会社のお手本になりたかった。ひたすら大変だった。もう取りたくない」(46歳・研究・開発)
「仕事を休みたかった。育児休業はちょうどいいリフレッシュになると思った。仕事を休めたので、子育ては苦にはならなかった」(42歳・その他)
「大変だった」という声、「父親としての実感がわいた」という声のほか、しばし仕事から離れて“育児・家事”という別の仕事に没頭することがリフレッシュになったという声もありました。
一方、以下のような感想も寄せられています。
「育休を使ってみたかったから。自分はあまり役に立たなかった」(54歳・総務・人事・事務)
「うちの会社は育休取得がマストだから。生まれてすぐはあまりやる事がない」(32歳・金融関係)
このように「あまり役にたたなかった」「やることがなかった」という声も寄せられています。
産後直後には、授乳、おむつ替え、沐浴、寝かしつけなどの育児が休みなく続き、洗濯、掃除、料理、哺乳瓶の煮沸など、家事は山積みの状態です。
ところが、2019年に日本財団と株式会社コネヒトが共同で行った調査によれば、育休中の父親の約3人に1人が一日の家事・育児に携わった時間が「2時間以下」と答えており、“とるだけ育休”という言葉とともに問題提起されています。
同調査では、育休中の父親が5時間以上家事・育児をしている場合と、2時間以下の場合は、夫婦のパートナーシップに明確な差が見られました。
「育休中に何をしたらいいかわからない」というケースも多いと思いますが、同調査では、父親の育休中に母親が期待することとして、以下のようなことがあげられていました。
〈育休中に期待すること〉
・細かい家事や育児のタスクを分担する以上に、心理的負担を分担したい
・しっかり自分の子どもだということを知ってほしい
・主に家事と上の子のケア
・家事も育児も一通りできるようになって欲しい
・新生児の大変さを感じて欲しい。新生児のうちから育児を手伝ってほしい
(『【「変えよう、ママリと」 × 日本財団 調べ】~』)
冒頭で紹介したように育児・介護休業法の改正に加え、6月には東京が育休の「休む」というイメージを一新する愛称を“育業”とするなど、今年度は、育児休業を取り巻く職場の環境に変化が訪れる予定です。
実際に育休を取得した場合も、1度の出産ごとに母体のダメージの度合いは異なり、赤ちゃんの育てやすさには個人差があり、「そのときが来ないとわからない」ということが数多くあります。
その都度、夫婦で「何ができるのか」「父親の育休中に何をして欲しいのか」という点を話し合い、その後も長く続くパパ・ママの育児ライフを軌道にのせたいものです。
【参考】
「令和3年度雇用均等基本調査」プレスリリース – 厚生労働省
育休中のパパの約3人に1人が一日の家事・育児「2時間以下」。「育休を取得しない」場合よりママの家事・育児役割分担納得度が低い結果に【「変えよう、ママリと」 × 日本財団 調べ】
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