Q.仕事に行く朝、子どもへの「早くして!」が止まりません…。
nullA.急いでいるのは大人の都合です。子どもが心づもりできるような声掛けと、嫌がる気持ちを考えてあげましょう。
【朝のお仕度:実践フレーズ】「早くして!」より…
「あの長い針がここに来たら、ご飯とかお着替えしようねー」
「下ごしらえだけでも!とキッチンに立ち、起きてほしい時間ギリギリまで子どもを放っておいてしまうこと、私の子育てでも経験がありました。いざその時になって、“もう我慢できない!”という気持ちで“早く起きなさ―い!”というのは、子どもにとっては不親切。子どもは“今”に生きやすいので、ちょっと先の予定を大人が見せてあげましょう。行動してほしい10分か15分前に声をかけておく時間のゆとりを持つといいですよ」
【朝ごはん中:実践フレーズ】「早く食べなさい!」より…
「もうちょっと遊びたかったのね」「昨日は寝るのが遅かったから、食欲ないのかな」
「ほかにも、“嫌いなメニューがテーブルに乗ってるのかな”など、お母さん側が食べない訳を考えて、言葉にしてあげるといいですね。それが、子どもの気持ちに『共感』するということです。“あー、わかった、わかった”という『同感』ではいけませんよ。“お母さんはいつもぼくの気持ちをわかってくれない!”と何度でも子どもの抵抗に遭ってしまいます。子どもは、『共感』してもらったことで“お母さんに、わかってもらえた!”と感じた後は、大人が“早くして!”と言わなくても、早くできるんですよ」
忙しい朝に、子どもが自ら早く行動してくれるなんて夢のよう! まだ寝たいのに「早く起きて!」、まだ食べたくないのに「早く食べて!」と頭ごなしに言われたら、大人だって「ヤダ!」という気持ちになりますよね。ごはんづくりの手を一瞬止めて子どもにひと声かける、どうして食べないのか考えて言葉にしてみる……。明日の朝からすぐに実践できることばかり。母も子も、気持ちよく一日を始められるといいですね。
次回は、夜にありがちな子育ての“困った!”について。一日の終盤、お着替えとお風呂でイヤイヤが始まってしまうと、疲れた体にムチを打たれているようでぐったり度が増してしまいます。さて、どんな声をかけると素直に動いてくれるのでしょうか。
【取材協力】
井桁容子(いげた ようこ)
保育・子育てカウンセラー。東京家政大学短期大学部保育科を卒業後、同大学が併設する乳幼児の保育・研究を実践する保育施設に42年間勤務。2018年4月より保育の現場からステージを移すことになり、全国での講演のほか、『すくすく子育て』(NHK、Eテレ)への出演、『いないいないばぁっ!』(NHK Eテレ)の監修も行う。著書は、『保育でつむぐ子どもと親のいい関係』(小学館)など多数。男女の母でもある。
撮影(井桁さん)/黒石あみ(小学館)
取材・文/駿河真理子