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梅仕事に追われる日々を送っています【脱都会!野ざらし荘だより#7】

30数年住んだ東京を離れ、神奈川県の横須賀へ移住を決めた私。「野ざらし荘」と名付けられた100段の階段を登った高台にある平屋に、親子3人で暮らしています。最近は娘の自主保育の活動拠点でもある、近所の山のふもとの畑と田んぼを行き来する毎日。連載第七回目の今回は、梅仕事の様子をお届けします。

今年はどこも梅が豊作!

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娘も梅採りに夢中。落ちている梅はちょうどよく熟れていて梅干しに最適

家の近所を歩いていると丸い実がころころ足元に落ちていて、見上げるとたわわに実をつけた梅の木。待ちに待った梅の季節がやってきました。落ちているのをみると、ついついもったいない病がでて、拾ってはポケットに入れて持ち帰るのが最近の日課です。拾った梅は家に帰ったら瓶にぽとりと入れて梅貯金。一緒に氷砂糖も入れて、梅シロップにします。一度に拾う数は数個といえど毎日拾い集めていくと結構な量になり、徐々にかさが増えていく梅シロップの瓶を眺めてはにんまりしています。

またこの時期は梅だけでなく、桑の実や枇杷の実も食べ頃を迎えます。実のなる木に目がない私は、歩いていてもあちこちに目がいってしまって気もそぞろです。春の桜に心踊るのとはまた違った感情が入り混じって、この季節を迎えています。

今年はどこも梅が豊作だったようで、梅狩りに行った友だちからお裾分けをもらったり、ご近所さんの梅採りに呼んでもらったり、自主保育をしている畑にも十数本の梅の木があり、子どもたちと木に登ってたくさん採りました。

家に帰ったらまずは選別をし、大量のヘタ取り、塩漬けに氷砂糖漬け……と果てしない梅仕事が待っています。娘もお手伝いしてくれるのですが、ヘタ取りにものすごい集中力を発揮し、私の梅への執念のようなものがしっかり娘にも受け継がれているのだな、と少しむず痒い気持ちになります。部屋にぷわんと梅の甘い香りが漂ってきて、その中で黙々と二人でやる梅仕事は至福の時間です。

氷砂糖とお酢で作る甘い梅酢シロップ

今年はたんまり梅があるので、まずは梅ビネガーシロップを大量に仕込みました。作り方は簡単で、瓶に梅と同量のお酢と氷砂糖をドボドボ入れて1カ月ほど置いておけば飲み頃に。ソーダと割って飲むのがオススメです。梅と氷砂糖だけで作る梅シロップだと甘ったるさが気になってしまうのですが、お酢を入れることで酸味が増し、さっぱりと飲めます。汗だくになりながら100段の階段を登って帰路について飲む一杯、生き返ります。我が家の夏に欠かせないエナジードリンクです。

よく熟れた梅は梅干しに

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熟れた梅は梅干しにする

桃のようなぷっくりとした大きな梅はシロップや梅酒として漬けてしまうのがもったいなくて、梅干しにします。焼酎に潜らせた梅に梅の重量の15%の塩をまぶし、重石を置いておいたら3日たらずで水が上がってきました。あとは冷暗所に1カ月ほど置いて、梅雨が明けるのを待ちます。晴れた日を見計らって外に三日三晩干して梅干しが出来上がります。

梅を漬けたときに出てくる梅酢はドレッシングに重宝する

庭の畑は随分とスローペースで育っていて、なかなかすぐに食べられそうな夏野菜ができないのですが、何はともあれ味噌と梅干しさえあれば我が家の食卓は安泰です。今年は梅ジュース、梅酒、梅干しと色々作ってもまだ梅が余っているのでこれから梅肉エキスを作ってみようと企み中です。

おやつは庭の桑の実を

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紫に色づいたら食べ頃
下から見上げると桑の実が探しやすいと必死

越してきたときに庭の真ん中にどんと植わっている木があって、なんだろうと思っていたら、翌年実をつけ、桑の木だと判明しました。つぶつぶとした食感とその甘い果実に娘はすっかり虜になって、庭に出るたびに「桑の実取ってー」と言ってきます。桑の実は鳥も好物なようで食べ頃を狙って毎日、娘との争奪戦を繰り広げています。

桑の実ジャムを入れてスコーンを焼いた

そのまま食べても美味しいし、ヨーグルトに入れたり、スコーンに混ぜ込んで焼いたり、たくさん採れた日は砂糖と煮込んでジャムを作ります。ジャムにするとそのまま食べるよりとろみのある甘さになり、パンやパンケーキにつけても美味しいです。

ドクダミの花を摘んで虫除けチンキに

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焼酎を入れて数ヶ月置き、虫除けチンキを作る

子どもたちが外で遊ぶ時間が長くなるにつれ、蚊たちの動きも活発になってきました。毎年この時期、庭のドクダミが一斉に小さな白い花を咲かせ、その花を焼酎につけてどくだみチンキを作っています。半年以上寝かせてからが使いどきで、今は去年漬けていたものをスプレーに入れて持ち歩いています。爽やかな香りがするレモングラスのアロマオイルを数滴加え、出かける前に全身にシュシュっと吹きかけます。香りもよいので汗をかいたときにかけるとさっぱりして気持ちいいです。

自主保育で田植えしました

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稲の苗を植えたばかりの田んぼ

自主保育の活動拠点としている場所で田んぼをやれることになり、先週田植えをしてきました。田んぼの水は雨水が溜まるのを待つ昔ながらのやり方で、このところあまり雨が降らなかったので田植え前だというのに田んぼはカラカラ……。どうなることかとヒヤヒヤしましたが、ギリギリで雨が降り、田んぼに水が溜まって、なんとか田植えまでこぎつけました。これほど雨水の有り難みを感じたことはありませんでした。

なぜかこの日娘は甘えて背中にくっついて離れないので、おんぶして田植えするハメに

田植え当日。ぬかるみに足を取られながら、子どもたちとわいわい言いながら、稲の苗を植えました。なかなか全員の足並みが揃わず、くねくねと曲がってしまいましたが、それもご愛嬌。

まだまだ始まったばかりの小さな田んぼですが、おたまじゃくしが泳ぎ回り、オケラが顔を出し、小さな生き物たちがいっぱいです。来週には蛍もでてくると言います。探り探りですが、自分たちが毎日口にするお米の成長とともに周りの生き物たちの様子も見守っていきたいと思います。

次回は最近ハマっている釣りの話をお届けします。


【著者】

清土奈々子

都内から階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に移り住み、夫と3歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。

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