「書けない」子には「書けない理由」がある?
nullこの本の著者、安藤英明先生は文章の書き方を教えて44年という大ベテラン。「安藤先生の指導法だと、どの学年の子どもたちでも3日間でクラス全員がスラスラと作文を書けるようになる」と評判になり、全国の先生たちが勉強に訪れたそう。
安藤先生は、作文を書けない子どもには書けない理由がある、と言います。
作文が書けない理由
1:正しい言葉を使えているか心配
2:何を書いていいのかわからない
3:言葉が思いうかばない
4:どうやって書くのかわからない
5:文をうまくつなげられない
6:原稿用紙をうめることが難しい
確かに!
これって、大人の私たちがいざ何か「書く」必要に迫られた時にも思い当たることばかり。友人とのメールはもちろん、仕事や子どもの学校との色々なやりとりでも「スラスラ書ける」とはほど遠いのが実際のところ。書いては消しを繰り返して、時間がかかってしまう人も多いのはないでしょうか。
そう、「書く力」って、大人になってもずっとずっと必要になる「一生モノ」の力なんですよね。
まずは「助詞」を抜いてみる」!
この本で目からウロコだったのは「助詞を抜く」という考え方。
「うちの子、普段はよくしゃべるのに、文章になると全然言葉が出てこないみたい」なんていうママの話もよく聞きます。安藤先生によると、その大きな要因は「正しい」文章を書かなくては、と言う気持ち。
その「正しいかどうか」に大きく関わってくるのが「助詞」なんだそう。
友だち 「と」 話す
友だち 「に」 話す
ここで迷ってしまうと、途端に文章が続かないことに。
だとすれば、助詞を使わずに、どんどん言葉をつなげてしまえばいい、と言うのが安藤流の作文法。
具体的には……
バラの花 買った
バラの花 たくさん 買った
バラの花 すごく きれい たくさん 買った るんるん
こんな感じで、子どもを助詞から解放すると、子どもはどんどん言葉をつなげていくようになるのだそう。
「話すように書く」ができたら、書くことが楽しくなる!
null3年生の娘にこの本を渡してみたところ、興味を持ったようで、ひとりで、どんどん書き進めていました。本人いわく……
「すっごく楽しい。もっとドリルっぽのかなと思っていたけど、クイズみたいになっているから、やりやすい。言葉を考えるのが面白い」
とのこと。「言葉を考えるのが面白い」と思ってくれたことが嬉しい発見。そして、イラストの吹き出しにセリフを書き込むページを見てみると……
「ねねのせいだ!」(男の子)
「ちょっとまった、やめなさい」(お母さん)
「いや、〇〇(弟の名前)のせいだね!」(女の子)
我が家で毎日繰り返されている、姉弟のやりとりがそのままに(苦笑)、なんとイキイキした言葉たち……。まさに「話すように書く」が早速できていたわけで、こういうことならドンドン書けるよね、と母も納得です。
「こんなこと、考えてたのか」……子どもの気持ちをのぞける楽しみも
nullこのページ。「使える言葉をふやそう」という項目です。
“様子や気持ちを表す言葉”で埋めていくのですが、「悲しいの木」に書かれていた「心にあながぽっかりあく」なんていう表現、いつのまにか、こういう言葉も覚えていたんですね。
気持ちを表す言葉をたくさん書く、というドリルのおかげで、娘の中にいろんな感情が育ってるんだなあ、ということを改めて発見するきっかけにもなりました。
これからの時代「書く」力は、子どもを長く助けてくれる
nullこの本は、単に「作文力」をアップするだけではないんだな、と子どもの取り組みを見ていて感じました。これは、これから長く子ども自身を助けてくれる「気持ちを言葉にする力」を養ってくれる一冊、なのかもしれません。
「文章を書く」ことに苦手意識がなくなれば、学年が進むと必要になってくる「レポート」や、受験で必要になってくる「小論文」、就職試験の際の「応募シート」や、仕事で必要になってくる「企画書」など、どんな場面でも余計な「苦手バイアス」がかかることなく、スムーズにこなしていけるはず。
そしてもちろん、そんな「お勉強的な」場面だけでなく、そもそも今の時代、子ども同志のコミニュニケーションも、メール(やLINE)が日常化していて、文章でのやりとりが基本なんですよね……と、キッズ携帯を持たせたばかりの娘との、メールのやりとりを思う母なのでした。
個人的には、小学校1、2年生くらいだと親がフォローしながら、3、4年生であれば一人でも楽しみながら進められるかなと思いました。ご参考まで。
『小学校6年生までに必要な作文力が1冊でしっかり身につく本』
安藤英明 / 著 かんき出版 1,200円(税別)
読書感想文の宿題に「あらすじ」しか書けない、「楽しい」「面白い」以外の表現が出てこない、そんな子どもが、3日でスラスラ作文が書けるようになる、と話題の一冊です。