Q. 鼻血はなぜ起こるの?
nullA. 主に鼻の入り口付近の損傷
「たいていの場合は、鼻の中の損傷が原因です。
鼻の入り口付近は、入ってきた空気を温める役割があるので、毛細血管が集中しており、血の巡りがとてもいいんです。ちょっとした損傷でも血が出やすい繊細な部分といえます。鼻血は、そんな入り口部分の血管が、乾燥したり強くこすれたりして損傷して起こることがほとんどです」(以下「」内、長友孝文先生)
前回紹介した、鼻の中が乾燥する「ドライノーズ」をはじめ、花粉症や風邪、鼻炎などで鼻の粘膜が炎症を起こした状態で鼻をかみすぎたり、いじりすぎたりすると鼻血が出やすくなるようです。
Q. 子どもの方が大人よりも鼻血が出やすいのはなぜ?
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A. 粘膜が薄く血管に傷がつきやすいから
大人になってからはあまり鼻血が出なくなったけれど、子どもの頃はよく鼻血を出していた、という人も多いのではないでしょうか。実際子どもの方が鼻血は出やすいといいます。
「子どもの鼻の粘膜は大人より薄く、血管も表面近くに集まっているため、少しの刺激で傷ついて鼻血が出やすくなります。特に鼻のしきり(鼻中隔)の前の方は、毛細血管が集まったもろい部分で、わずかな刺激でも出血しがちです。
また、子どもは血管自体も非常に柔らかく、ちょっとした衝撃で切れてしまいます。ただし、成長とともに血管は丈夫になり、鼻血の頻度は減っていきます」
成長過程の子どもは、鼻の粘膜や血管が弱いがために鼻血が出やすい、というわけです。加えて、鼻血が出るきっかけも多いようです。
「子どもは無意識に鼻をほじってしまうことが多いですが、指や爪で鼻の中をいじると、薄い粘膜に傷がつき、鼻血が出やすくなります。空気の乾燥にも敏感で、乾燥すると鼻の粘膜がひび割れしやすく、それも鼻血の原因になります。
また、遊んでいて転んだり、顔をぶつけたりすることもあり、こうした衝撃でも鼻の血管が切れてしまいます。子どもの方がアレルギー性鼻炎や風邪をひきやすい、というのも問題です。鼻の粘膜が炎症を起こして鼻水が増えると、何度も鼻をかむことになり、そのときの摩擦で粘膜が傷つきやすくなるからです」
お子さんには、鼻の中はとてもデリケートなので、あまり触らないよう教えてあげるといいかもしれませんね。
Q. 鼻血の正しい止め方は?
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A. 小鼻を押さえて下を向く
子どもの頃、鼻血を止めるには、鼻筋の上の目頭のあたりを押さえ、上を向いて首を叩けばいいと教わった人もいるのでは? 実は筆者がそうなのですが……。これは大きな間違いだといいます。
「たいていの鼻血は、鼻の中の入り口付近の細い血管(静脈)が損傷して流れるので、小鼻をつまんで強くおさえ、のどに血液が流れないよう少し下をむいて止血するのがおすすめです。血管を収縮させるため、冷やすのも効果的。
出血は鼻の入り口付近ですから、鼻の奥である目頭のあたりを押さえても意味がありません。また、上を向くと血液がのどに流れてしまうので、おすすめしません。ましてや首を叩くのは迷信だと思います」
鼻の入り口に集中している静脈はとても細いので、小鼻を押さえるだけで、たいていの場合はすぐに出血は止まるようです。
Q. ティッシュをつめてもいい?
nullA. 出血中はつめない方がいい
鼻血が出たら、ついティッシュをつめてしまいがちですが、実はこれもおすすめしないと長友先生は言います。
「ティッシュで血をふくのはいいのですが、つめたままにしておくと、血が固まってしまい、ティッシュを出すときにかさぶたがはがれてまた出血する可能性があります。出血し始めのときは小鼻を押さえて止血し、おさまってきたら、軽くつめても大丈夫です」
出血している最中に、鼻の奥までいっぱいにティッシュをつめて止血するのはあまりよくないようです。
Q. 出血がなかなかおさまらないときはどうしたらいい?
nullA. 鼻の奥から出血している可能性が。すぐに病院へ
「鼻の入り口が損傷して起こる鼻血は小鼻を押さえて止血すれば数分ほどで止まります。30分以上な
動脈は太いため押さえてもなかなか止まりませんし、そもそも鼻の奥だと外から血管を圧迫しにくい。医学的な処置が必要となるので、すぐに病院を受診しましょう」
Q. 止まらない鼻血の原因は何?
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A. 重篤な病気が隠れていることも…
「鼻血の原因は、ほとんどの場合、入り口付近に傷がついて起こりますが、脳梗塞や心筋梗塞の治療のため、血液がサラサラになる薬を服用していると、出血が止まりにくいことも。
また、ごくまれにではありますが、鼻の中の腫瘍(良性の腫瘍やがん、副鼻腔炎によるポリープなど)が原因のケースも。この場合は、鼻の奥から出血して止まりにくい。根本的に治すには、手術で腫瘍を取る必要があるため、鼻の奥から出血して止まらないときは、必ず病院へ行きましょう。腫瘍がある場合は、鼻の奥から血が出るだけでなく、片鼻だけ鼻づまりを繰り返すといった症状も出ます」
鼻血や鼻づまりくらいでわざわざ病院に……と思うかもしれませんが、重篤な病気の可能性もあるので、出血が止まらない、鼻の奥から出血しているといったケースでは迷わず受診しましょう。
いかがでしたか? 鼻の中はとてもデリケート。正しく対処し、ケアしたいですね。

【取材協力】
耳鼻咽喉科医・長友孝文さん
池袋ながとも耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。
耳、鼻、のどの疾患はもちろん、アレルギー性疾患などの診療も行う。お子さんから高齢者まで、来院しやすいクリニックを目指す。

エディター/ライター。大学卒業後、出版社に勤務し、その後、フリーの記者として主に週刊誌の編集・執筆に携わる。歴史や美術をはじめ、マネー・車・健康・ペット・スピリチュアル・夫婦関係・シニアライフスタイルといった多岐にわたる女性向け実用情報を手掛ける。1児を持つシングルマザーで、趣味は漫画・アニメ鑑賞、神社巡り。