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老眼鏡はかけた方がいい?選び方は?「老眼鏡の基礎知識」を眼科専門医に聞きました

『kufura』世代の女性が気になり始める「老眼」の基礎知識について紹介するシリーズもいよいよ最終回。意外と知らない老眼鏡の選び方などについて、眼科専門医の平松類先生に伺いました。今回もQ&A方式で紹介していきます!

Q. 老眼鏡をかけると度の進みが早くなるのでは?

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A. 老眼の進行と老眼鏡をかける・かけないに関係はありません。

40代以上の女性192人に行った『kufura』のアンケートによると、老眼を自覚している女性の約46%が老眼鏡を持っていませんでした。その理由として、

「老眼鏡をかけると度数が進みそう」(52歳女性/会社員)

「老眼だと思われるのが恥ずかしい」(46歳女性/パート)

「100円ショップで買ったけれど度が合わなかった」(68歳女性/主婦)

といった声が聞かれました。これに対し、平松先生はこう言います。

「老眼が始まってから、何もせずに放置するのはおすすめしません。老眼鏡を活用しても老眼を完治させることは難しいですが、進行を遅らせることは可能です。早めに使い始めるほど快適に使いこなせるので、なるべく早く老眼鏡を使いましょう。

また、老眼鏡を使うことと老眼の進行にはなんの関係もありません。老眼が進むのは加齢や生活習慣などが原因です。ただし、自分の目に合ったものを選ぶことはとても大切。何年も同じ老眼鏡をかけていては度が合わなくなるので定期的に眼科で検査し、度数を変えてもらってください」(以下「」内、平松類医師)

度数チェックは2年に1回の頻度で行うのがおすすめだとか。

Q. 老眼鏡はどこで買えばいいの?

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A. 老眼を自覚したらまずは必ず眼科へ

老眼を自覚し、老眼鏡を手に入れようと思ったら、気軽に手にできる100円ショップに行く人が多いようですが、平松先生は「まずは必ず眼科へ」と言います。

「実は老眼ではなく、別の病気の可能性もあるため、必ず眼科に行ってほしいですね。緑内障、白内障、網膜剥離も、老眼と同じように見えづらくなるところから始まるので注意が必要です。眼科ならこうした病気の検査に加えて、度も測定して処方箋を作ってくれます(保険適用)。眼鏡店では度数は測定できても病気までは分かりませんので」

眼科で作ってもらった処方箋を持って眼鏡店に行き、自分に合った老眼鏡や遠近両用眼鏡を作ってもらうのが理想的だと言えます。

Q. 100円ショップの老眼鏡ではだめなの?

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A. 自分の目に合っていて、短時間の利用ならば問題ありません

取材を元に編集部で作成。

「たとえば、役所の書類にサインをするときにかけるだけ、というなら100円ショップの老眼鏡でも問題ありません。ただし、長く使うのはあまりおすすめしません。というのも安価な老眼鏡の場合、度数はシンプルに4段階程度にしか分かれていない場合も。

眼科で調べれば、近視、遠視、乱視などを測定したうえで、老眼鏡の度数を調整してくれます。左右で違いがあればそれにも対応してもらえます。度数が合わない眼鏡をかけ続けていると眼精疲労などを悪化させるうえ、老眼の進行を早める可能性もあります。自分に合った眼鏡をかける、という意味で、100円ショップの老眼鏡は“応急処置”的な使用にとどめましょう」

最近は100円ショップの老眼鏡も度数の種類が増えているものもありますが、本来の度数にあわないものを選んでしまうことも。たまたま合ったからといって使い続けず、応急処置的に利用し、冒頭にも書いた通り、2年に1回は眼科ヘ行って、度をはかり直してもらいましょう。

Q. 老眼鏡には抵抗が…眼鏡型ルーぺや拡大鏡で代用できる?

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A. ルーぺは老眼鏡の代わりにはなりません。

「ルーペや拡大鏡は、細かい作業をする際、手元を見やすくするには便利な道具です。もちろん、新聞などの小さな文字も拡大できます。ですから、短時間使う分には問題ありません。しかし長く使うとなると、眼精疲労の原因になることも

最近ではおしゃれな眼鏡型ルーペもよくみかけますが、これも手元を拡大してみるための道具で眼鏡ではありません。眼鏡型だからといってかけたまま動き回るのは危険です」

餅は餅屋。代用は考えず、自分に合った素敵な眼鏡を作るのが大切のようですね。

Q. 老眼鏡はずっとかけっぱなしでいいの?

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A. 老眼鏡は使うときだけ。遠近両用眼鏡はかけっぱなしでもOK。

「老眼になった場合、手元など、近い距離のものが見えづらくなります。そのときに使うのが『老眼鏡』です。老眼鏡は近くをはっきり見えるようにするためだけの眼鏡なので、遠くは見えづらい。かけっぱなしでいると、遠くがぼやけるので危険です。基本的に、近くを見るときだけかけるものです。

一方、老眼になったら便利なのが『遠近両用眼鏡』です。これは、1枚のレンズに遠近両方の度数が入っており、遠くも近くもピントを合わせやすい。つまり、老眼鏡と近視、遠視、乱視などを併発している場合でも、1本で対応できるというわけです。こうした眼鏡なら、ずっとかけっぱなしにしていても問題ありません。遠近両用はコンタクトもありますので、必要ならば眼科医に相談してみてください」

いかがでしたでしょうか? 自分はまだ先、と思っていると意外と早くやってくる老眼。いざというときに困らないためにも、覚えておくと安心です。


【取材協力】

二本松眼科病院副院長・平松類さん

眼科専門医・医学博士。福島県郡山市今泉西病院、昭和大学病院勤務、山形県米沢市三友堂病院眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長を経て、現在は二本松眼科病院 副院長。Youtube登録者25万人以上の「眼科医平松類チャンネル」をはじめ、各種テレビメディアにて目の健康情報を提供する。主な著書に『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)、『目の老化を自分で防ぐ!』(内外出版社)など多数。

嶋田久美子
嶋田久美子

エディター/ライター。大学卒業後、出版社に勤務し、その後、フリーの記者として主に週刊誌の編集・執筆に携わる。歴史や美術をはじめ、マネー・車・健康・ペット・スピリチュアル・夫婦関係・シニアライフスタイルといった多岐にわたる女性向け実用情報を手掛ける。1児を持つシングルマザーで、趣味は漫画・アニメ鑑賞、神社巡り。

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