今回『kufura』では、20~50代の女性263人を対象に“膀胱炎”に関するアンケート調査を実施。泌尿器科専門医の大藪真理子先生のアドバイスとともに、その結果をご紹介します。
「膀胱炎」になったことがある人は4割弱
nullまず、これまでに“膀胱炎”になったことがあるかを聞いたところ、「ある」と回答した人は4割弱という結果に。
【これまでに膀胱炎になったことはありますか?】
ある・・・99票(37.6%)
ない・・・151票(57.4%)
わからない・・・13票(4.9%)
どうして膀胱炎になるのか、原因について大藪先生に伺ったところ、「膀胱炎とは、陰部に付着している大便の菌などが尿道から膀胱内に侵入・増殖し、炎症が生じている状態」なのだそう。細菌の感染によるものなんですね。
排尿痛や残尿感…つらい「膀胱炎」の症状
null続いて、膀胱炎になった経験のある人に、「膀胱炎かも?」と思う症状に当てはまるものを選んでもらいました。
第1位:排尿時に痛みがある・・・50票(50.5%)
第2位:残尿感がある・・・26票(26.3%)
第3位:頻尿になる・・・12票(12.1%)
第4位:血尿が出る・・・7票(7.1%)
第5位:ずっとトイレのことを考えてしまう・・・2票(2.0%)
第6位:お腹が痛くなる・・・1票(1.0%)
第6位:その他・・・1票(1.0%)
約半数の人が回答したのは「排尿時に痛みがある」でした。そして「残尿感がある」が続きます。経験者からは、「残尿感があるのに、トイレに行くたびに痛みに耐えなくてはならなくて、正直気がおかしくなりそうでした」(49歳女性/主婦)、「トイレに行ったら突然血尿が出てびっくりしてすぐ病院に行った」(58歳女性/主婦)など、膀胱炎のつらさが伝わるエピソードが寄せられました。
もしも「膀胱炎」になったと思ったらどうする?
nullアンケートでは、膀胱炎になったと思ったときの対応についても聞いています。
第1位:すぐに病院に行く・・・160票(60.8%)
第2位:水をたくさん飲む・・・75票(28.5%)
第3位:市販薬を飲む・・・59票(22.4%)
第4位:その他・・・20票(7.6%)
第5位:特に何もしない・・・5票(1.9%)
最も多かったのは「すぐに病院に行く」で半数以上の人が選んでいます。次いで「水をたくさん飲む」「市販薬を飲む」となり、「特に何もしない」という人も1割ほどいました。
できるだけ早く病院で診てもらうのが安心ですが、忙しくてすぐには病院に行けないなどの事情があるときなど、「膀胱炎かも?」と思ったときに取り入れるべきセルフケアを、大藪先生に教えていただきました。
「膀胱炎かも?」と思ったらすべき行動
null・こまめにトイレに行く
・水分摂取を多めにして、排尿回数を増やす
・市販の膀胱炎用の漢方薬を使用する
・体調を整える
市販薬については、「膀胱炎の初期なら有効なので、こまめな水分補給と併せて使用するといいでしょう」と大藪先生。市販の漢方薬というと小林製薬の『ボーコレン』などを思い浮かべますが、そういったものも含まれるのでしょうか。
「五淋散(ゴリンサン)を主成分とした『ボーコレン』(小林製薬)や『腎仙散(ジンセンサン)』(摩耶堂製薬)が人気です。五淋散は血行改善や利尿作用、膀胱壁の浮腫改善、抗炎症作用があります。
類似の漢方も似たような効能を持ち、様々な生薬のちからで膀胱にいる菌を追い出す手助けや、膀胱炎の痛みなどの症状を緩和したり、菌が炎症で荒らした膀胱粘膜の修復に効果を発揮します。
しかし、細菌数が増えたり、菌を追い出せないときは治癒が難しいため抗生剤を併用する必要があります」(大藪先生)
膀胱炎の症状に気付いたときは、どのタイミングで病院に行くといいのでしょうか?
「排尿痛や血尿が継続する際、数日様子を見て改善しない場合は病院を受診しましょう。医療機関では菌の有無の確認や抗生剤治療ができます。
重症化し、腎盂腎炎(じんうじんえん)になると、倦怠感が増して寒気や発熱、片側の腰痛などがでてきます。その場合は、受診しての抗生剤の服用が必須です」(大藪先生)
膀胱の痛みが増したり、腎盂腎炎につながるリスクもあるため、無理をせず、違和感があったときはできるだけ早い受診がベストですね。
「膀胱炎」を予防するためにみんながしていること
nullできればなりたくない膀胱炎。みんなが膀胱炎予防のためにしていることを教えてもらいました。
【膀胱炎予防のためにしていることは?】
第1位:トイレに行くのを我慢しない・・・168票(63.9%)
第2位:水をたくさん飲む・・・76票(28.9%)
第3位:デリケートゾーンを清潔に保つ・・・70票(26.6%)
第4位:やっていることはない・・・65票(24.7%)
第5位:ストレスをためない・・・23票(8.7%)
第6位:睡眠をたくさんとる・・・16票(6.1%)
第7位:その他・・・2票(0.8%)
1位は「トイレに行くのを我慢しない」で、6割以上の人が選択しています。アンケートでも、「産後にワンオペが続き、トイレに行き損ねることが増えて膀胱炎になりました」(33歳女性/総務・人事・事務)、「接客業で多忙時にトイレに行けなくて、ずっと我慢していたら、膀胱炎になってしまい、逆に何回もトイレに行くはめになりました」(48歳女性/主婦)など、トイレを我慢し過ぎて膀胱炎になったという人が多く、多くの人が“トイレは我慢しない!”と心がけているようです。
「膀胱炎」を再発させないための予防策
null膀胱炎は再発しやすい病気と言われますが、どのようなことに気をつければ予防できるか、大藪先生に伺いました。
しっかり抗生剤を飲みきり、今の「膀胱炎」を完治させる
「症状がなくなったからと、薬の服用をやめてしまうのはNG。しっかり抗生剤を飲みきって、完治させることが大切です」(大藪先生)
膀胱に菌の入る習慣を排除する
大藪先生によると、膀胱炎は以下のような点に気をつけることで予防できます。
・こまめにトイレに行く
・尿を我慢しない
・性行為後に排尿する
・便を後ろにふく
・濡れた生理パッド、尿漏れパッドを早めに交換する
・身体を冷やさない
・体調を整える
トイレを我慢したり、水分摂取が少なくて尿量が少ないときに起こりやすい膀胱炎。GWなどの行楽時期には、渋滞などでトイレを我慢してしまうシーンが増えがちです。サービスエリアやパーキングエリアなどでは必ずトイレに行くなど、心がけたいものです。そして違和感があったら、放置せずに適切な治療で早めに完治させましょう。
エディター/ライター。大学在学時からライターとして活動、気付けばもうすぐフリーライター歴20年。webサイトや書籍の編集・ライティングなどを担当。料理と暮らしまわりの手仕事が趣味。根っからのインドア派だが、3児の母となりアウトドアの楽しさにも目覚めたところ。