いつまでも消えないTODOリストは「前倒し化」で解決
今回は、『kufura』編集部のE子に加え、編集部の働く主婦Y子(2児の母)も指導していただくことに!
E子:4回目までに、冨山さんに行動科学の手法を色々教えていただきました! ……が、なかなか続かないのが悩みどころで……どうしたら継続できるのでしょうか?
冨山さん(以下、敬称略):お2人は、どんなところでつまずいていますか?
Y子:役所に提出しないといけない子ども関係の手続きの締め切りが迫っているのに、いつまでもTODOリストに残ったままなんです。仕事のほうが優先度が高いと思っているからか、つい後回しにしがちなんですよね。
冨山:それは、“まだ締め切りが先だからいいや”と思ってしまっていることが原因ですね。自分で期限を決めてしまうことが大事です。10月15日が本当の締め切りであれば、“10月12日までに済ませる”と、前倒しの数値をTODOリストに具体的に入れておきましょう。子どもの用事など、忘れてはいけないことこそTODOリスト化するといいですね。
そして実行できたら必ずチェックして、達成感を味わいましょう。そうすることで継続できます。
新しい習慣を受け付けないのは人間の性!?
E子:私の場合は、新しい習慣を増やすことを嫌がっている自分がいるんですよね……つい怠ける理由を探してしまいます。
冨山:人間の脳は、快楽に弱いのです。だから怠けるほうに流れがちです。
人の行動は、“不足行動”と“過剰行動”に分けることができます。
“不足行動”とは、本当はしたいけどできていないことで、別名“ターゲット行動”と呼んでいます。
一方で“過剰行動”は、本当はしたくないけどやってしまうことで、別名“ライバル行動”といいます。
私たちは日常の中で、常に“不足行動”と“過剰行動”とで戦っているんですね。
例えば、ランニングをしたいけど寝たい。これを戦わせると“過剰行動(寝たい)”が勝ちます。人間はすぐに快楽を選びたくなるから。習慣を続けられない理由は、そういうことなんです。
しかし、“なりたい自分になる”ためには、少し合理的に判断して、ここまでは寝ていいけどここからは起きようという、行動のコントロールをして欲しいです。
Y子:私も週末に作り置きをしようと決めたのに、実際に日曜になると、なぜかどんどん時間が過ぎて「平日帰宅してからやるしかないな」と、結局流されてしまう。
冨山:まずは、11時にスーパーに行くと決めましょう。それから13時から用意して14時までに3品作ろうと決めます。
自分で時間を設定して区切ることと、スーパーに行くという小さな行動に区切ることがポイントになります。以前お伝えした、“スモールステップ”の考え方ですね。
大きなゴールから考えると、「スーパーに行かなきゃならないのに、もうこんな時間! 間に合わないから今週はやめよう」という風になってしまうんです。
「まずスーパーに行こう。せっかく買ったんだから、あえものだけでも作ろう」と、“自分をのせていく”ことが大事です。
頑張りすぎると疲れてしまいますが、習慣になってしまえば、ラクに自然にできるようになりますよ。
タイプ別に攻略「習慣化」のコツとは
E子:同じ働く主婦でも、人によって得手不得手が違うのかも。タイプ別に、“習慣化”するコツはありますか?
冨山:タイプは、以下の4つに分けられます。
(1)張り切りタイプ
・キャリアウーマンに多い。
・目標があれば飛びつきやすい。向上心が高い。
・TODOリストを作ると習慣を続けやすい。
(2)プライベート重視タイプ
・楽しいことが好き。
・SNSやインスタにアップしたり、主婦友と情報交換すると続けやすい。
(3)頭で考えすぎるタイプ
・ハマりやすく、頭を使う研究者タイプ。
・考えすぎて行動しない傾向があるが、突き詰めたいテーマを設定すると続く。
(4)承認欲求タイプ
・自分のためには動けないタイプ。
・女性には多い傾向がある。
・人に褒めてもらえれば続けられる。
・継続が苦手だけど、講座に通ったり、仲間を作ると頑張れる。
働く女性は、“張り切りタイプ”が多いですね。自分のタイプに近いものを試してみてください。
家族にTODOを実行させるコツは「認知と感謝」
E子:家族の家事分担を目指し、TODOリストを作ったのですが、これもまたなかなか続かず……。家族を動かすコツってありますか?
冨山:意外とシンプルなんですよね。「ゴミ捨てやってくれて助かった、またお願いしていい?」と言うだけなんです。
承認をうまく満たすことが大事です。認知と感謝なんです。「ありがとう、助かるよ」というのを伝えることですね。
子どもは、チェックリストを作って自分でチェックさせたり、シールをカレンダーに貼って達成感をもたせるだけでも効果がありますよ。
冨山さんに励まされたE子とY子。果たして3日坊主は卒業できるのか……!?
※次回は、「働く主婦が集中力を身につける方法」についてご紹介します。
構成・文/kufura編集部 人物撮影/横田紋子(小学館)
【参考】