会社員や経営者、学生も週3でフリーランス! 働き方の価値観が多様化
「組織にとらわれないフリーランスという働き方自体は、もともとありましたが、最近では、大手企業が自社社員に在宅ワークを認めるケースが増え始めています。そして、その対象が働くママだけでないというのが特徴。ママだけでなく、すべての人々が柔軟に働く時代が到来している。
“副業・兼業”というのも、非常にホットなキーワードですね。経済産業省も『雇用関係によらない働き方に関する研究会』を立ち上げ、活発な議論がされていました。
じつは弊社にも、企業勤めをしながら副業の機会を求めて登録される方が少なくありません。他にも、会社経営やNPO活動をしながら週3日フリーランスとして働いたり、大学院に通いながらというケースも。とくにここ1~2年で、働き方の価値観が非常に多様化してきているのを実感しています」
いきなりフリーになるのが不安な場合は、会社勤めをしながら副業やボランティアを
未経験の仕事にどうしても挑戦したい!という方は、ボランティアとして無償で業務を引き受けて経験を積むという方法もあるそう。
「いきなりフリーになるのが不安なら、会社勤めをしながらまずは副業・兼業からスタートするのもよいでしょう。
あと、『プロボノ』というのですが、仕事のスキルを活かしてNPOやNGOでボランティアとして働くという方法もありますよ。対価が発生すると求められる成果も大きくなりハードルが上がってしまいますが、その点無償のボランティアなら比較的挑戦しやすいです。
私自身、出版社で記者として働きながら社団法人で広報のボランティアをしていたことがあります。広報の仕事はその当時未経験だったのですが。後々自分の会社(Waris)を立ち上げた際に、ボランティアでの経験を活かすことができています。副業をすることで、本業にメリハリをつけやすくなるなどのメリットもたくさんありました」
寿命100年時代のキャリアプランのカギは“自分の頭で考え、行動する”こと
null生涯にわたって働き続けたいと願う女性のために、メッセージをいただけますか?
「イギリスのリンダ・グラットン教授が書いた『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』という本があるのですが、私たちの今後の働き方を考える上で“必読の書”だと思います。医療技術が発展して多くの人の寿命が100年まで伸びる時代に、どう生き抜くかという内容です。
今でさえ日本の女性の平均寿命は87歳と長いですが、医療技術の発達により今後はさらに長寿になり90~100歳くらいまで生きる人も増えるでしょう。
私たちの親世代のように、60歳で定年退職して年金をもらいながらのんびりと暮らすというのは難しくなるかもしれません。
年金の受給開始年齢も引き上げられる可能性がありますし、そうなると私たちの場合は70~80歳くらいまでは働かないといけなくなる。したがって、今後は“学校を卒業してから約50年間働き続ける”という観点からキャリアプランを考えていかなければなりません。
今の世の中は恐ろしく速いスピードで変化し続けているので、その50年の間にも常に新しい知識・経験を身につけながらバージョンアップしていかないといけなくなる。最初に入った企業で定年まで勤めあげる、という今までのモデルは通用しなくなってきているのです。もはや、会社にいれば安心という時代でないのです。
これからは、“今の自分に必要なこと・やるべきこと”を自分の頭で考え、キャリアの主導権を握ること。これが非常に大切になるでしょう」
以上、“寿命100年時代”のキャリアプランについてお伝えしましたが、いかがでしょうか?
「これさえ守っていれば安心」というこれまでのマニュアルが無効となりつつある今、自分の頭で考え、自分の目で必要なことを見極めていく力がより一層求められるようになるのかもしれませんね。
【取材協力】
田中美和(たなかみわ)・・・株式会社Waris代表取締役/共同創業者。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー。国家資格キャリアコンサルタント。1978年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現 日経BP社)入社。編集記者として特に働く女性向け情報誌「日経ウーマン」を担当。これまで取材・調査を通じて接してきた働く女性の声はのべ3万人以上。女性が自分らしく前向きに働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年株式会社Waris設立。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」共同代表理事
2017/4/17 BizLady掲載