体を使う人は体を、頭を使う人は頭を休める
精神科医であった斎藤茂太氏の著書、『「いい人生で終わる」ために大切なこと』にこんなことが書かれてありました。
<平日の仕事の疲れから、土日はゴロゴロして過ごすサラリーマンのことを否定はできない。(中略)しかし、肉体労働をして体そのものが疲労しているときは体を横にして休めるべきだが、肉体は疲労していないのに、体だけ休めてもあまり効果がない。こういうときは、多少だるくても体を動かしていたほうがかえってだるさが取れ、休息になるのである。>
オフィスワークをする人は、あまり体は疲れていないはずなので、ゴロゴロして体を休めるのではなく、頭を休めるべきなのかもしれません。「体を動かしているときはあまり難しいことは考えられない」といいますから、体を動かせば頭が休まるともいえるでしょう。
筆者の周りにはトライアスロンにチャレンジしている人が多くいますが、その多くはいわゆる“仕事がデキる人”です(最初は「トライアスロンは外資系企業で流行っているスポーツなんだ」と思ったぐらいです)。平日は過酷な勤務にさらされている彼らですが、休日はトライアスロンの練習に励んでいます。
オフタイムを充実させれば“人脈”ができる
デキる人の特徴に“人脈が豊富”ということがあります。人脈とは当然、名刺の数ではありません。困ったときやお願いしたい時に「あの人の役に立ってあげたい」と思ってくれる人が何人いるか、ということです。
「仕事ができる人ほど遊びも真剣」というのはよく言ったものですが、真剣に遊べる人はいい遊び仲間がいます。デキる人が遊ぶ人はもちろん話のレベルが合う“デキる人”。デキる人同士で真剣に遊べば充実した時間を過ごせるので、人間関係が深まります。だからこそ、いざ仕事の話になったときにはうまくいくのだと言えるでしょう。
仕事だけの付き合いでは“素の顔”が見えづらいもの。オフタイムだからこそ垣間見れる人間性やユーモアセンス、人生観などが本当の“人脈”につながっていくのです。もしあなたが人脈を作ろうと思うなら、自分自身のレベルアップをしつつ、オフタイムの人付き合いも充実させてみてはいかがでしょうか。
“学び続けること”“行動すること”を忘れない
「勉強なんて学生以来していない」という人、いませんか? 時代の変化は急速で、デキる人材が後に続いているのですから、何の努力もしていなければ追い抜かれてしまうことは当たり前のこと。“学ぶ”とは何も資格の勉強だけではありません。人間としての器を広げていくための読書や旅行なども大切ですし、新しい技術や情報、過去の歴史、政治経済など、あらゆる分野で学びを深めることが可能です。
一見自分の仕事とは関係ないことでも、たくさんの“点”を持っていれば、そのうちだんだんと“線”になり、自分の知識や見解として蓄積されていくものです。
また、学びという“インプット”だけではなく、それを“アウトプット”することで知識を体験として深めていくことができ、分野によっては社会貢献につながることもあるでしょう。そのような活動では、テキストや職場ではなかなか得られない知見を身につけることができます。
以上、“デキる人の休日の過ごし方”でしたが、いかがでしょうか?
一般的に言う“デキる”というと語弊があるかもしれません。本当にデキる人とはどういう人なのか、というところから考えてみるのもよいでしょう。どのような職についていても、年収がいくら高くても、人として尊敬できないような人は“デキる”とは言えないはず。
自分がどうなりたいか、ということを考えてみれば、「休日にどう過ごしたいか」が見えてくるような気がします。
【参考】
※ 斎藤 茂太(2007)『「いい人生で終わる」ために大切なこと』(小学館)
2017/5/3 BizLady掲載
執筆/坂口由乃