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試し書きは「永」の字を!書道家が教える「美文字になる筆記具」の選び方

子どもの名札、学校への提出物、役所などもろもろ手続きの書類など、デジタル時代とはいえ、主婦は何かと手書きで文字を書く機会が多いもの。そんなとき、自分の字が汚くて嫌になることはありませんか? 

字をきれいに書くにはどうすればいいのか、会員制書道サロン「書道のはな*みち」を主宰する書道家の髙宮暉峰(たかみやきほう)先生にご指南いただきました。今回は“筆記具の選び方”をお届けします。

ポイント1:自分の手になじむものを選ぶ

「まず、ボールペンを購入するときは、インクもれのしないもの、持ち手が太すぎないものを選びましょう。四色ボールペンなど多色のインクが入っているものは、持ち手が太いことが多いので、あまりおすすめできません。

どれくらいの太さがいいのかは、その人の手の大きさにもよりますので、必ず実際に手に取り、試し書きをすることが必要です。

また、ボールペンの芯は、女性は0.7mm、男性は1.0mmが標準的でしょう。0.35mmなど極端に細いものでは筆圧が強くなりすぎるおそれがあります」(以下「」内、髙宮先生)

ポイント2:値段にはこだわらなくていい

―ボールペンって100円ショップでも買えますが、他方で数千円、1万以上するような高級ボールペンもありますよね。やはり値段が高いもののほうが、字はきれいに書けるのでしょうか?

「いいえ、そうとも限らないです。日本の文房具はとても優秀ですので、値段の安いボールペンでもよいものはたくさんあり、きれいな字を書くことができます。

筆記具選びで大切なのは、値段よりも、その人にとって“書きやすいかどうか”。その見極めのためにも必ず試し書きを行いましょう」

ポイント3:試し書きでは“永”の字を書く

―試し書きの際には、どのような点に気をつけるべきでしょうか?

「試し書きでは、ボールペンのすべりやなめらかさを確認します。引っかかりを感じたり、インクのダマが出たり、インクの出方にムラがあったりするものは避けましょう。

試し書きでは線を引いたり、クルクルと螺旋を描いたりする人が多いと思いますが、それに加えておすすめしたいのは“永”の字を書くことです。

“永”の字は書写の基本となる8つの点画をすべて備えており、また、その筆法がすべての文字に共通するといわれています。この1字を書くことによる練習は千字万字に応用できるとされ、古くから書道の学習に必修とされてきたほどです。

試し書きの際も、“永”の字をなめらかに書けるかどうかを基準にするとよいでしょう」

―確かに! “永”の字には、ハネや左右へのハライなど、字のいろんな要素が含まれていますね。今までデタラメに線を書き散らすだけでなんとなく選んでいましたが、これからは“永”の字を試し書きするようにします。

ボールペンで書く際はプラスアルファの小道具を!

「ボールペンで書く際は、ペン圧という圧力がかかるので、それを緩衝してくれる下敷きがあるほうがいいでしょう。下敷きなしで、机の上に紙を直接置いて書くと、ペン圧を吸収してくれるものがないので、非常に書きづらくなります。また、ペン先が痛みやすくなる原因にも……。

小学生が使うような固いプラスチック製の下敷きではなく、弾力のある柔らかいデスクマットがおすすめです。ない場合には、紙を数枚重ねたものを下敷きがわりにするとよいでしょう」

 

自分の手に合っていない、すべりの悪いボールペンのせいで、書く字にも悪影響を及ぼしているかもしれませんね。今回ご紹介したアドバイスをもとに、“安くても書きやすい”お気に入りの1本をお店で吟味してみてはいかがでしょうか?


【取材協力】

髙宮暉峰・・・5歳より書道を始め、24歳で読売書法展初入選。書道師範になる。楽しくカンタンに字をキレイにする書道教室「書道のはな*みち」を運営。著書に『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』、『「まっすぐな線」から始めるペン字練習帳』などがある。

 

【参考】

髙宮暉峰(2006)『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』(日本実業出版社)


髙宮暉峰(2006)『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』(日本実業出版社)

 

 

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