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【犬山紙子の答えはなくとも育児会議〜楽になりたくて】vol.2 妊娠報告…結局いつするのがベスト?

『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)で「子ども本当に産んで大丈夫!?」「仕事と両立、本当にできるの?」など、出産についてとことん考えた犬山紙子さん。

そして2017年1月に女の子を出産し、育児まっただなかの今、どんなことを考えているのでしょうか? なかなか答えがでることはないけれど、先輩ママ、独身女子などいろいろな立場から「妊娠・出産・育児」にまつわるお話を聞いていきます。

【今回の会議参加者】編集K(7才女&3才男の二児の母)、編集S(独身)

 

妊娠中の心と体のためにも「信頼できる人」を作る

編集S:『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)でもひとつのテーマとして取り上げられていましたが、「妊娠報告いつすればいいの?」というのは大きな問題ですよね。過去に運営していたメディアでも、妊娠報告に関する記事はよく読まれていました。まだお腹が目立たない時期で見た目からはわからないし、どうするのが本当はいいのかなって。

犬山紙子(以下、犬山):流産の可能性は15%前後あるといわれていて。周りには言いづらいですけど、絶対だれかひとりには言ったほうがいいと痛感しました。こちらからは周りに言えないという状況でも、ばれないように動いてくれる“信頼できる人”をまず作るっていうのが、精神的にも肉体的にも大切だと思います。

編集K:それはやっぱり、会社の中で?

犬山:はい。私の場合は事務所の人間でしたが、普段地方に同行しないマネージャーさんが同行してくれたり、タバコの煙のある打ち上げをうまく断ってくれたり、本来のパフォーマンスができなかったときにフォローしてくれたり。何かがあったときにすぐ動いてくれる人がいてくれるのは本当に心強かったです。
しかし、これだけ言いにくいのって、流産の可能性が意外と高いということがあまり周知されてないからだとも思います。

編集S:たしかに、そこまで高いとは知らなかったです。

犬山:そういう状況だと、いわゆる安定期に入るまで……、あ、でも安定期って本当はないらしいんですが(完全に安全な時期はないという意味で)、安定期に入るまでは報告しないっていうのが主流になっていますよね。本来は言える社会が望ましいのですが……。
でもひとりか二人くらいには、流産のリスクの可能性とかも全部説明して「これくらいの%で流産するから周りにはまだ言いにくいのだけど、あなたの助けは必要なので」って説明するのは必要。ほんと、絶対必要だと思う。全員にだまって仕事をするのは、無理だと思います。

編集K:仕事量とかを管理する立場の人からしたら、知らずに頑張らせてしまって、万が一のことがあったら「ああ、あのとき……」って、それが原因ではなくても思ってしまうかもしれない。

犬山:おっしゃる通り! だから上司になった人たちの妊婦さんへの理解は必要ですね。男性の上司で「いや、ウチの嫁さんが妊娠したとき全然平気そうだったよ」とか平気で言う人、まだいますからね。

編集K:平気じゃないから~!

 

妊娠研修は企業研修の必須科目に!?

犬山:上司になった段階で、というか社会人として生きていくのであれば、妊婦さんとの接し方とか、妊婦さんはどんなときが大変っていうのは知識として持つべきですよね。研修すべきだと思ってます。これからの社会、妊婦さんも働きますから。それはもう避けて通れない道になってますよ。

編集K:その研修、絶対にあっていいと思いました、今。もちろん、答えはひとつじゃないとしても、知識として知っておくべきことは多いと思う。個人個人の(妊婦への)印象で行動されちゃうと、やるべき仕事がまだあるのに「もう帰れ、帰れ」と言う上司がいたり、「これはやって帰ってね」と言う上司がいたり。

犬山:本当に冷静に、妊婦に対してどうしたらいいのかっていうことを本人からヒアリングして決めてもらうのが一番いいですよね。出張を控えようとか、打ち上げだけど「タバコを吸っている人が多そうだから君は帰ったら?」とか、上司のほうから言ってくれると……

編集K:ありがたいですよね。妊婦だけじゃなくて、介護している方とか、本当に色々な状況にある人と一緒に働いくための基礎知識の研修は私も受けたい。

編集S:一方で、経産婦の方(上司)ゆえに冷たいっていうのも聞いたことがあるんですがどうでしょう?

犬山:もちろん優しい方もたくさんいるけれど、中にはそういう人がいたというのは結構聞きます。私できたからあなたできるでしょ、とか、自分がすごい辛い思いをしたからあなたもしなさい、みたいな。

編集K:産んでからも、「そんなに大変なら、預けなよ!」と言われたりもしますけど、なかなか簡単に預け先も見つからないし、子どものキャラクターにもよるし、答えなんてひとつじゃないじゃないですか。

犬山:そういう経産婦の方にどういう接し方をすればいいか、ですよね。

編集S:その人がやってきたことや信念にたいしてNOと言いたいわけじゃないじゃないですか。頑張ってきたはずだし。でも「私、本当にちょっと具合が悪くて踏ん張りがきかないんです」みたいなことを言えて、理解してもらえるようになるといいですよね。

犬山:医者のせいにするのが一番いいと思います。「なんか私ちょっとつわりが重いみたいで、なるべく注意したほうがいいって言われたんで」って言うとか。
あと、次は自分がそうならないようにしたいですよね。自分がそれだけ妊娠中つらい思いしたんだから、あなたもしなさいよ、みたいなのには絶対なりたくない。部活とかの理不尽な練習を後輩にもやらせるみたいな、“悪の連鎖”というのは絶対やりたくないので。経産婦の方へ“相談”するのもいいかもしれないですね。

編集K:相談っていうアプローチはすごくいいと思う。頼ってもらう感覚もあるし、そこで悩みとかも共有できるかもしれないし。

犬山:「こうじゃない?」と言われる前に、まずは先に自分の状況を伝えて、相手に相談する。

編集S:つわりなどの体の反応は無くせないけど、そういうお互いの気遣いで人間関係のストレスは減らしていきたいですね。

犬山:だから本当に入社タイミングとか管理職になるタイミングとかで、妊婦とかいろいろな状況にある人と働くってことを、しっかり研修してほしいんですよね! 理解がない限り、しわ寄せは妊婦さん、そしてお腹の赤ちゃんへ行きますから。

 

構成/kufura編集部 撮影/黒石あみ(小学館)

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