1:「年収」は税金や保険料を引く前の金額
4月から昇格したり、年齢給が上がったことで、会社から昇給の通知をもらった方もいるのではないでしょうか?
『大辞泉』によれば、年収とは「1年間の収入」。月給制の場合、12か月分の給与に賞与などを足した額が年収となります。
<一般的に「年収」とは、社会保険料や源泉所得税、その他の控除(住民税や積立金など)が引かれる前の「総支給額」を指します。(中略)
源泉徴収票の「支給額」欄に書かれた金額が総支給額になります。>
との記述が転職サイトの『リクナビNEXT』にもありました。
転職の際に「以前の会社の年収は?」と問われたときには、総支給額を答えるのが一般的だそうなので、ご注意ください。
2:「手取り」は、実際に受け取る金額
一方で、毎月自分の手元に残るお金が、“手取り”。
『大辞泉』によると、手取りは
<給与などから税金その他を差し引いた、正味の受取金。実収入。>
を意味しているそう。
社会保険料や税金の負担は、ジリジリと上がる一方。さらに、子どものいる家庭でも2012年までに所得税や住民税の“扶養控除”が相次いで廃止され、「年収アップしたのに、手取りが全然増えなくて……」という方も多いのではないでしょうか?
3:「年商」は売上高
テレビに出ている派手な実業家が、「年商は○億円!」などともてはやされたりしますが、年商は年収とは異なります。
『大辞泉』によれば、
<企業・商店などの1年間の総売上高>
を指すそう。
売上額から、原料費や人件費、法人税、オフィス賃料……などなど全てを差し引いた分が純利益。つまり、年商は経営者が自分のためだけに使えるお金ではないということ。
「年商1,000万円の会社を営んでいます」と話している合コン相手の経営者が、白いスポーツカーに乗ってイタリア製の上等なスーツに身を包み、葉巻を吸っていたなら、身の丈に合った生活をしていない恐れが……。ちょっと警戒が必要かもしれません。
ちなみに働く女性の平均年収は…
ところで、働く女性の平均年収っていくらかご存知でしょうか?
国税庁が昨年公表した調査結果によれば、平成26年度の民間の事業所に勤務している給与所得者の平均額が、年間415万円。
男性と女性、正規と非正規を比較するため、もっと詳しくみていきましょう。
≪男女別の年収≫
男性・・・514万円
女性・・・272万円
なんと、男女で平均年収に倍近くの差が……! 女性は、結婚や出産を機に退職したり、育児が落ち着いてもパートや派遣社員といった非正規社員として働くことを選ぶ人が多く、男性の平均年収と大きなギャップがあります。
≪雇用形態別の年収≫
正規・・・478万円
非正規・・・170万円
正規社員と非正規社員とでは、2.8倍の格差があることがわかりました。非正規の方は、ここから税金を差し引かれたら、月に使えるお金が10万円くらいということになります。
手取り1千万円は超リッチ!?
以上のことを踏まえて、冒頭の質問、“年収1,000万円”“手取り1,000万円”“年商1,000万円”の誰が一番リッチなのでしょうか?
“年収1,000円”の方も、従業員は自分だけ、パソコンひとつで“年商1,000万円”稼いでいるという方でも、そこから税金などもろもろが引かれていきますから、基本的には“手取り1,000万円”の方が一番リッチだということになります。
以上、年収vs年商vs手取りの違いについて掘り下げましたが、いかがでしょうか?
転職や再就職の面接で、「希望年収は?」と聞かれたとき、業界や実力を踏まえた額を答えられるよう、年収と手取りの違いを頭のどこかに置いておいてくださいね。
【参考】
※ 松村明(監修)/小学館国語辞典編集部(2012)『大辞泉 第二版』(小学館)
※ 平成26年分民間給与実態統計調査結果について – 国税庁
2016/4/12 BizLady掲載