今回、アポイント時のマナーについて解説頂いたのは、『働き方のセブンマナー』(講談社)、『新しいビジネスマナーの基本』(高橋書店)などの著書を持ち、ライフスタイリストとして多方面で活躍されている北條久美子さんです。
特に今年は働き方の変化で、“オンライン会議”のアポイントを取る場面も増えてきているようですので、様々な場面を想定したアポイント時の注意点についてお届けします。
「アポイント」の意味は?海外でも通じる?
null“アポイント”は、“約束”を意味する名詞“アポイントメント”(appointment)の略。
ビジネスシーンにおいては、取引先と商談や会議などの約束をすることを“アポイント”と言います。
ちなみに、英語の“アポイント”(appoint)は“指定する”という意味を持つ動詞です。名詞的に使われている日本語の“アポイント”の意味とは異なっており、英語圏では通じないので注意が必要です。
「アポ」はアポイントの略。社外の相手に使ってもいい?
nullビジネスシーンにおいては、”アポイント”をさらに略して“アポ”と言うケースもあります。
社内の相手や同じプロジェクトのメンバーなど、普段から”アポ”という言葉がよく使われている組織の中で使うぶんには問題ありませんが、社外の相手と面談の約束をするときには適した言葉ではありません。
“アポ”という言葉が誰にでも通じる言葉というわけではないということを覚えておきましょう。
【「アポ」NG使用例】
・(取引先に対し)来週、アポを頂きたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
→アポイントの依頼時には“アポ”は用いない。この場合は「お時間を頂くことは可能でしょうか」など
・(受付にて)御社の●●様と13時にアポがあってうかがいました。
→受付では「お約束があって伺いました」などと伝える。
アポイントをとる前に準備しておくこと
null取引先とのアポイントには、打ち合わせ、プレゼン、営業など様々な目的があります。
「なんのためにこのアポイントが必要なのか」「相手にとってどんなメリットがあるのか」という点は明確にしておきましょう。また、初めてのアポイントの場合は、取引先や担当者についてある程度の前知識を蓄えておくことが大切です。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で取引先まで移動し、対面で人と会うことが以前より難しくなっています。”アポイントの目的の明確化”は以前よりも重要となっていくと思われます。
失礼にならないアポイントの心得4つ
nullさて、いよいよアポイントをとるにあたり、注意したい点は以下の4点です。
(1)「いつがよろしいでしょうか?」の質問は避ける
アポイント時に言ってしまいがちなのが「都合がいい日をおっしゃってください」「いつがいいですか?」の質問です。
表向きには相手の都合を配慮しているように聞こえますが、相手にとっては日程の候補日を提示するのが負担になってしまうこともあります。
こちらからあらかじめ打ち合わせの日程案を3~4案出し、相手の都合が悪かったら別の日時を提示するといったやり方のほうがスムーズに決まりやすくなります。
(2)月曜朝・金曜夕方はアポイントは避ける
アポイントの日時をこちらから提案する際、できるだけ避けたい時間帯があります。それは、月曜日の朝と金曜日の夕方です。週明けと週末前には仕事がたてこんでいる可能性があるからです。
(3)終わり時間を決めておく
アポイントの開始時間だけでなく、終わり時間も通知しておくことで、相手も自分も次の予定を立てやすくなります。
(4)アポイントの目的を相手と共有する
相手と対面で話すということは、相手の時間を頂くということです。先方にとって会うメリットを感じてもらうように「〇〇についてお話したい」「新商品のご紹介をしたい」といったふうに、あらかじめ目的を共有しておきましょう。
電話・メールでのアポイントの注意点
nullアポイントを取る際には、電話やメールといった連絡手段を用いるのが一般的です。
電話でアポイントを取ることができたら、アポイントを依頼した側がメールで日程を通知しておきましょう。電話での約束は日時の聞き間違いが生じたり、忘れてしまう可能性もあるからです。
また、定期的な案件であれば、打ち合わせ中に出席者の都合を確認し合って次回の日程調整をするケースもあります。その場合、後で出席者全員に確定した日程をメールで送信しておきましょう。
対面はNGでも「ウェブ打ち合わせのアポイントならOK」の場合
null2020年は、新型コロナウイルスの影響で従来の方法でアポイントを取る機会が減っているのではないでしょうか。
代わって“オンライン会議”のアポイントを取る機会が増加しているようです。
アポイントを取りたい相手から、直接訪問の代わりにオンライン会議を提案されたら快諾し、先に述べたことに注意しながらスケジュール調整をします。
その際、アポイントを依頼する側が、相手が使っている会議ツールに合わせて都合の良い方法を探っていくことが必要になります。
以上、今回は、北條久美子さんにアポイントの基本についてうかがいました。
「なんのためにこのアポイントが必要なのか」「相手にとってどんなメリットがあるのか」という点を明確にして、アポイントを成立させたいですね。
【取材協力】
北條 久美子
東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携わる。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。著書に『ビジネスマナーの解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『働き方のセブンマナー』(講談社)ほか。