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冷やご飯もおいしい! 登紀子ばぁばが愛したトオヤマ亀印の「文化鍋」16cm【本日のお気に入り】

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今から約20年前、”ばぁば”の愛称で親しまれた日本料理研究家の故・鈴木登紀子さんのお料理記事を担当することになり、2回目の撮影が終わった時でした。

「あなた、ご飯は電気釜で炊いているの?」と聞かれ「はい、そうです」と答えると、「じゃあ、今日からこれを使ってごらんなさい。慣れれば簡単、電気釜よりうんとおいしいご飯が炊けるから。時間もかからないのよ」と手渡されたのが、この「文化鍋」でした。

文化鍋は、炊飯用のアルミ鍋のこと。登紀子ばぁばは文化鍋でご飯を炊いていました。鈴木家では代々文化鍋での炊飯が基本で、電気炊飯器は「触ったことすらない」のだとか。

「日本人の食卓は、まずご飯ありき。おかずでも汁ものでも、全部、ご飯に合うものになっているのはそのためなの。炊きたてのおいしいご飯とおみそ汁があれば、少々おかずはサボっても大丈夫。電気釜もいいけれど、知識としてお鍋でもちゃんとご飯が炊けるようにしておくこと。これが大事よ」

「はい!もう今日から毎日、このお鍋でご飯を炊きます」と調子よく宣言しつつ、実際はタイマーの便利さを捨てられず、その後10年ぐらいはたまに週末に使う程度でした。

鈴木登紀子さんの遺作となった著書『誰も教えなくなった、料理基本のき』(小学館)より。料理撮影では、正午になると「さぁあ、お昼ご飯にしましょ。食べなきゃだめよ」と、スタッフのために炊きたてのご飯と熱々の汁椀を御膳に並べてくれるのが常でした。

娘がご飯をおかわりするようになった

娘が5歳のときに私は前夫(娘の父親)と離婚。娘とふたり暮らしになり、炊飯器を3合炊きに買い替えました。

しかし、これがどうもおいしくない。もともと私は保温臭が嫌いだったので、炊き上がるとスイッチを切って、残りは冷蔵庫で保存し食べるときにレンチンする……という無駄な動きをあえて取っていたのですが、1合だけ炊くようになると、水加減を変えてもべちゃっとしておいしくないし、温め直しはますますおいしくない。

娘はというと、納豆、卵、まぐろがあれば幸せ。肉はひき肉なら食べます……という偏食大魔王。パンよりご飯派でしたが、レンチンしたご飯はほとんど食べませんでした。小学校では給食が始まるし、このままではマズいかも…と思っていたときに、そうだ!ばぁばの文化鍋をちゃんと使ってみようと。夕食の片付けのついでにお米を2合研いで水加減をしておき、翌朝、起きがけに頭の中で登紀子ばぁばの声を再生しながらコンロの火をON

「始めパッパで中チョロチョロよ! お鍋を強火にかけて、5分もすると蓋がカタカタ鳴りはじめます。そうしたら30秒待って極弱火に落とすの。2合だったら10分ぐらいで、水が上がってこなくなります。さらに1分ほど待つと、パチパチって小さな音でお米が『炊けたよー』って教えてくれますから、一瞬強火にして鍋中に残っている水分を飛ばし、すぐ火を切りなさい。

10分ほど蒸らしてできあがり。蓋を開けて、ところどころ“蟹の穴”のような凹みができていたら大成功よ」

蓋を開けた途端、ふわーっと炊きたてのご飯にしかない香りが湯気とともに立ち上がり、蟹の穴もいくつか開いていました。しゃもじで返すと、さらによい匂い。その日の娘の朝食は納豆ご飯とわかめのみそ汁でしたが、ソッコーでご飯をおかわり。

「ご飯おいしい?」と聞くと「うん!」。朝食でご飯をおかわりしたのはこの日が初めてでした。

子どもの舌は正直だなと実感しました。その日以来、ばぁばの文化鍋でご飯を炊くようになりました。いま、娘は15歳になり、受験勉強の追い込みで悪戦苦闘していますが、猫舌なので「冷やご飯もおいしい」と言って、塾へ行く前には冷やご飯に納豆と韓国のりをのせて、おやつがわりに食べたりしています。

カタカタと蓋が小躍りしながら沸騰中。水は上がってきますが、吹きこぼれることはありません。
炊き上がり。卵がけご飯、サイコーです!

吹きこぼれず、焦げつかず、とっても頑丈

文化鍋は蓋が鍋の内側にすっぽり収まるため、吹きこぼれにくいのが特徴です。また、鍋中の水分が蓋と鍋合わせ目に膜を作るため熱と水分が外に逃げず、ふっくらとご飯が炊き上がるのです。

水加減をちゃんとしておけば、焦げつくこともありません。でも、ちょっとお焦げが欲しい時は、炊き上がりにパチパチと音がしたら、そのまま10秒ほど数えてから火を切ると、ほんのり香ばしいお焦げが楽しめます。10年経って使用感はありますが、蓋のつまみや取っ手にいたるまでまったく損傷はありません。

トオヤマ 亀印の文化鍋はAmazonや楽天などのネットショップで購入可能です。私が使っているのは直径16cmの2〜2.5合炊き(税込3,800円ほど)ですが、直径22cmの6合炊きまであります。ぜひ、おいしい直火炊きご飯を毎日の食卓に!

IH電磁調理器では使用できません。

kufuraでも、たくさんの動画に出演してくださいました。

鈴木登紀子(すずきときこ)

日本料理研究家。192311月に青森県八戸市に生まれる。46才で料理研究家としてデビュー。東京・武蔵野市の自宅で料理教室を主宰するかたわら、『きょうの料理』(NHKEテレ)をはじめ幅広く活躍。2020年12月に肝細胞がんのため逝去。96才だった。遺作となった『誰も教えなくなった、料理基本のき』(小学館)はじめ、著書多数。


神史子(じんふみこ)

フリー記者/編集者。料理を中心に生活情報の記事を担当。単行本の制作も行う。特技はネイティブとケンカができるレベルの英語とスペイン語。中学生の母。

※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がkufuraに還元されることがあります。

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