医療費控除って何?そのメリットを簡単におさらい
nullまずは、医療費控除について簡単におさらいしておきましょう。
医療費控除とは、所得控除の一種で、申告をすることで、納めた所得税の一部が還付される制度です(参考:「医療費控除の申告に必要な書類は?“医療費控除費の明細書”の書き方は」)。1月1日から12月31日までの医療費が10万円を超えるか、所得が200万円未満の場合は所得の5%を超えた場合に申告が可能で、医療費控除が適用されると、6月から新しい年度に切り替わる住民税も減額されます。
給与所得者の方は、住民税は給与から源泉徴収されているため、減額されるメリットを感じにくいかもしれません。きちんと計算してみると、あなたも医療費控除のメリットを実感できるのではないでしょうか。
医療費控除で住民税はどのくらい安くなる?
null医療費控除をすることで安くなるのは、6月から新年度に切り替わる新しい年度の住民税です。
住民税は税金を支払っている人が一律の額で支払う「均等割」と、前年の所得金額に応じて負担する「所得割」の2つで成り立っています。
医療費控除で減額されるのは、「所得割」。その税率は所得の額にかかわらず10%となっています。
医療費控除の申告をした場合、控除額に10%を掛けた額が減額されます。例えば、年収400万円で1年間に18万円の医療費を支払った場合、住民税はいくら安くなるのでしょうか? 簡単にシミュレーションしてみましょう。
ステップ1:医療費控除額を計算
医療費控除額は、以下のように計算します。
医療費控除額=(医療費控除の対象になる医療費 - 保険金などで補てんされた金額)-10万円(総所得200万円未満の場合は総所得金額×5%)
年収400万円で18万円の医療費がかかった場合の医療費控除額は8万円です。
18万円(医療費) - 10万円 = 8万円(医療費控除額)
ステップ2:所得割の税率から住民税の減額を計算
続いて、医療費控除額に住民税の所得割の税率をかけます。
8万円(医療費控除額) × 10%(所得割の税率) = 8,000円(住民税減額)
新年度の住民税は8,000円の減額となります。
源泉徴収額0円でも住民税額は安くなるかも!? 「住宅ローン控除」の注意点
null「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した年に所得税が安くなる制度です。いくつかの条件を満たせば、年末のローン残高の一定割合が「税額控除」となります。住宅を購入した人、あるいは購入を検討したことがある人なら既にご存知の制度ではないでしょうか。
住宅ローン控除を活用すると所得税が全額還付されるケースもあり、その場合は重ねて医療費控除の申告をしても「もう戻ってくるお金はない」と考える人もいるかもしれません。
しかし……しっかり計算してみると、所得税が住宅ローン控除で全額還付されていても、住民税にはまだ控除可能額が残っている可能性があります。その場合は医療費控除の申告を行うことで、さらに住民税を減額することができます。
住宅ローン控除を利用している人も、一度改めて計算し直してみるとよいでしょう。
【参考】
過去の医療費控除の分は申請できる!「5年前」までOK
null確定申告の時期を終え、「医療費控除の申告が間に合わなかった……」とあきらめてしまう方は少なくないようです。
しかし、医療費控除を含む還付金の申告は、該当の年から5年間行うことができます。
例えば、平成25年分については、平成30年12月31日まで申告が可能です。確定申告が終わってしまっても還付金の申告は受け付けていますので、給与所得者で、年度末はバタバタしていて申告の時期に間に合わなかったという人は、落ち着いてから改めて申告をすることができます。
所得税の還付を受けることができるほか、住民税については、税額の軽減が間に合わなかった分が還付という形で指定の口座に振り込まれます。
今回は、医療費控除と住民税の関係についてお届けしました。
給与から自動的に天引きされている住民税は、軽減しても意外とメリットを感じにくいものですが、案外計算してみると大きな金額になっているもの。医療費が多くかかった年は、医療費控除の申告をして払い過ぎた税金を取り戻しましょう!
【監修】
ファイナンシャルプランナー
畠中雅子
約20年続いている『たまごクラブ』(Benesse)の連載のほか、新聞、雑誌、web上に多数の連載を持ち、セミナー講師、講演業務などで全国各地を飛び回る。主に教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」主宰。著著は『結婚したらすぐ考えるお金のこと』(KADOKAWA)ほか、60冊を超える。