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まずは固定費の見直しから!「老後資金」のために今やるべきこと

多くの働く主婦が漠然とした不安を抱えている、“老後資金”の問題。

前編では老後資金の基礎知識をファイナンシャルプランナーの風呂内さんにご解説いただきました。

後編では、老後資金を少しでもたくさん貯めるために今からできる具体的な対策について、引き続き風呂内さんにうかがいます!

投資は無理にする必要はない!まずは固定費の削減から

老後資金対策というと、投資について考える人は多いようです。金額が大きいだけに、何か金融商品を買った方が効率的に増やせるのではないかと思ったり……。

しかし、風呂内さんによると、無理に投資を始める必要はないのだそう。

「生活費3~6カ月分くらいの最低限の貯金があってはじめて、投資を考えるべきです。入院や転職など、もしもの時に対応できるだけの貯金は常に用意しておきたいものです。目安としては、500万円貯金があれば投資を前向きに考えてみても良いかもしれません。

それまでは、家計改善をする方が先です!

支出は、固定費と変動費の大きくふたつに分けられます。固定費の代表は、住居費、保険費、通信費、光熱費など。固定費の削減は継続的な努力を伴わず、一度見直すと自動的に節約できるので続けやすいです。

光熱費に関しては、電力自由化でより安い会社に乗り換えるという方法があります。住宅ローンがある方の場合は、より金利の低い金融機関でローンを借り換えて、コストを下げるのもあり。

マンションで家賃を毎月支払っている方の場合は、周囲の家賃が下がっている場合のみできるテクですが、思い切って家賃交渉をしてみましょう。

他にも、勤務地から現在の自宅までと同じ距離にあり、なおかつ家賃が今よりも安い物件に引っ越すという方法も。もちろん、引っ越し代がかかるので、現在の勤務先に今後も長く勤める場合のみ考えてみては。

通信費については、格安SIMを選んだり、料金プランを見直してみましょう。上限5Gのプランで2Gしか使っていない、契約時につけられた不要なオプションがそのままになっているなど、探せば案外無駄が多いものです。不要なオプションを契約時に強制的に付けられてしまう場合は、カレンダーに書いておいて必ず無料期間内に解約するようにしましょう」

保険料は節約できる?

要・不要の判断が難しいといわれる保険についてはどうでしょうか?

「保険の場合は、『子どもを絶対に私立に入れたい』『もしもの時のためにきっちりと備えておきたい』など家庭によって事情が色々なので難しい面もあります。

しかし、保険を契約した時と比べて現在は十分な貯金額があるのなら、保険料を減額してみてもいいかもしれません。

目安としては、年収の3倍に子どもひとりあたり1,000万円をプラスした金額です。

たとえば、年収500万円で子どもがひとりいる家庭の場合、500万円×3=1,500万円+1,000万円=2,500万円。生命保険の目安は2,500万円となります。しかし、すでに500万円の貯金があるのなら、保険は2,000万円にまで下げてもいいでしょう。

また、保険料の節約術として、まとめ払いをするのも手。保険は、月払いを年払いに変えるだけでも3%程度の割引が受けられることが多いです(商品によって異なる)。月2万円なら、2万円×12カ月=24万円、その3%で、7,200円も浮くことになります」

クレカより無駄遣いしにくい!ポイントがつくデビットやプリペイドで賢く節約

カード類も、日々の支払いに賢く活用すればポイントが貯まって節約に繋がります。風呂内さんのおすすめは、高還元率のデビットカードとプリペイドカード。

「日々の買い物などの変動費については、カード類の使い方を工夫すればけっこう変わります。従来、クレジットカードの還元率は1%程度で、優秀なカードとされてきました。デビットカードやプリペイドカードはクレジットカードよりも還元率が低いことが一般的でした。

しかし最近では、デビットカードやプリペイドカードで1%以上のものも出始めています。たとえば、デビットカードなら楽天銀行のJCBブランドカードなら1%。プリペイドカードは、LINE Payカードが2%です(2017年11月取材時点の還元率です)。

クレジットカードだと、ついつい使いすぎてしまったり、使うタイミングと引き落としタイミングがずれるので家計管理しにくいデメリットがあります。しかし、支払いと同時に口座から引き落とされるデビットカードや前払いのプリペイドカードなら、使いすぎる心配もあまりありませんし、家計管理もしやすいです。

衝動買いが心配な方は、クレジットカードでの支払いは固定費のみにしておくのもひとつの方法。クレジットカードで買い物をすると、感情に任せて買い物をする金額が2割増になるという調査データもあるくらいです。

しかし、今どきの節約では、お得なポイントは無視できない存在。使いすぎさえしなければ、クレジットカードは合理的な支払い方法です」

ネット銀行で先取り貯金!「iDeCo(イデコ)」は手数料に注意

貯金をするなら、“適切な場所選び”も重要。どこに、どんな風に貯めればよいのでしょうか?

「まず、貯金は先取りが鉄則です。私のおすすめは、メガバンクと比べて金利が良いネット銀行で定額自動入金をすること。ネット銀行にとっては、自行にお金を引っ張ってくることになるので手数料無料です。

そして、最近は個人型確定拠出年金『iDeCo(イデコ)』も無視できない存在。これは、加入者が月々の掛金を積み立てて、あらかじめ用意された金融商品の中から選択して運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取るというもの。

ちなみに、定期預金だけでも『iDeCo(イデコ)』は利用できます。掛金が全額所得控除の対象となるので、節税できる点もポイント。

掛金が月12,000円だとしたら、12,000×12カ月=年144,000円、所得税・住民税の合計で年2万1,600円以上安くなります(減税額は収入や扶養家族の人数などで変わります)。

しかし、口座開設費2,777円~、年2,004円~(2018年から年払いできるようになれば、もう少し費用が下がります)の手数料がかかる点には注意が必要。これはミニマムの数字で、金融機関によってはこれ以上かかることも。なので、拠出金が少なすぎると損です。もし利用するのなら、目いっぱいの金額でスタートするのが有利でしょう。

また、会社員の場合は、企業年金に上乗せできるマッチング拠出制度がないかを最優先で確認しましょう。上乗せで利用した方が手数料面でも有利です」

 

老後資金を少しでも多く貯めるための具体的な対策をご紹介しましたが、いかがでしょうか?

具体的な数値と対策がわかれば、あとは実行するだけ!   さっそく今日からスタートしてみませんか?


 

【取材協力】

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

風呂内 亜矢(ふろうち あや)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、一般社団法人みんなで作る良い行政サービス協会主任研究員。大手電機メーカー系SIer勤務を経て、2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『その節約はキケンです—お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか—(祥伝社)』、『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』、『図解でわかる! 投資信託(秀和システム)』等がある。公式サイト

 

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